それは「突起物」だから
ロールス・ロイス、メルセデス・ベンツ、ジャガー、国産車では日産のシーマなど、かつての高級車といえば、立体のエンブレムやマスコットがボンネットの上に置かれ、それがブランドを象徴するトレードマークとなっていました。しかし、2023年では採用がごくわずかになっています。
一番の理由は安全面の問題があるようです。2009年以降、「突起物規制」という国際基準が適応されており、「乗用車は歩行者などに傷害を与える恐れのある突起を有してはならない」という決まりがあります。
そのため、ボンネット上から突起物がなくなったことはもちろん、ボディの端部なども丸みを帯びたものになってきています。この規制ができて以降、ちょっとした突起であっても危険性が無視できないため、メーカーはボンネットマスコットを控えるようになりました。
現在でも立体エンブレムを採用しているベンツ「Sクラス」では、人がエンブレムの部分に当たった場合、ボンネット側に倒れることで、人になるべくダメージを与えない構造になっています。これは、ボンネットの上の突起物は、たわんだ状態で突出部が10mm以下であればよいという安全基準になっているためです。
また、盗難被害が多いというのも、エンブレムやマスコットが少なくなっている理由のひとつでもあります。そのため、ロールス・ロイスではマスコットの「スピリット・オブ・エクスタシー」を駐車時はボンネット内に格納する形式となっています。このタイプは盗難を防止するとともに、走行時に人に当たった場合でも衝撃を受けると瞬時に内部に隠れるようなっており、安全面にも配慮されています。
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