近年はフルモデルチェンジまでのスパンが伸び、マイナーチェンジで劇的にフロントマスクを変えるクルマが存在する。
劇的に変えるのはそうする必要があるからで、モデルライフの中でメーカーのデザインコンセプトが変わったことが理由だったり、販売台数テコ入れのためだったり様々だ。
5年モノあたりがちょうどいい!? 登場から改良に改良を重ねて「今が買い頃」なクルマ 10選
そんな状況ではあるが、現行国産車で大胆整形後、以前より良くなったクルマと、もしかして前のほうがよかったんじゃないか? というクルマが存在するのではないか。そんな例を、清水草一氏が完全な独断と偏見で4台ずつピックアップ!!
文/清水草一
写真/トヨタ、日産、ホンダ、スバル、三菱、スズキ、ダイハツ、ベストカーweb
[gallink]
■大胆整形が成功した現行国産車1/フォレスター
フォレスター マイナーチェンジ前
フォレスター マイナーチェンジ後
今年6月のマイナーチェンジで、フロントグリルが大型になり、逆にヘッドライト小型になった。現行フォレスターのデザインは、登場時は「これでフルチェンジ?」と言われるほどキープコンセプトだったが、その代わり弱点もない堅実なものだった。
売れ行きも特に問題なく、今回のマイチェンも、売れてないゆえのテコ入れではない。その割には比較的大胆な顔の整形が入ったという印象だ。
グリルの大型化は「デカグリル」の時流を考えれば、それほど大きくなったわけではないが、枠がブラックアウトされ、精悍さを増している。
逆にヘッドライトは、内側を削減?してシャープ感を演出。上側に残されたデイライト部のイメージが強くなった。
スバルのデザインの方向性は、古典的なカッコよさにあり、今の時代からすると保守的だが、その範囲内で、適度に大胆に化粧直しされて、印象が強くなっている。つまり成功していると見る。
■大胆整形が成功した現行国産車2/ハイラックス
トヨタ ハイラックス(マイナーチェンジ前・2019年6月)
ハイラックス マイナーチェンジ後。大型の大径グリル、薄型化されたヘッドランプにより迫力が増した。新色のオキサイドブロンズメタリックはオフロードで映える
2017年に国内販売が復活したハイラックスだが、2020年8月のマイナーチェンジを受けて、顔のイメージがガラッと変わった。
以前は、ピックアップトラックの文法に則った、ウルトラオーソドックスな顔つきだった。ありきたりな横桟グリルに、妙に両端が跳ね上がった異形ヘッドライト組み合わせは、バランスが悪かった。
しかしマイナーチェンジで、今どきのピックアップトラック顔に変身。グリルは一体化されて面積は約2倍にアップ。分厚いメッキの縁もついて、大幅にオラオラ度がアップした。
ヘッドライト形状は似たようなものだが、グリルの存在感が数段上がったことで、見た目のバランスが断然よくなった。マイチェン整形の成功例だ。
■大胆整形が成功した現行国産車3/レクサスIS
2013年、現行モデルデビュー時レクサスIS
ビッグマイナーチェンジ前の2019年9月に登場した特別仕様車I Blue
2020年11月、フルモデルチェンジに近い内容のビッグマイナーチェンジを受けた現行IS
2013年にデビューしたレクサスISは、世界的なセダン不況のあおりをうけ、フルチェンジを断念。2020年11月のビッグマイナーチェンジでビッグ整形を受けた。それはもう整形というより再生と言うべき変貌ぶりで、Aピラー以外は全部新しくなっている。
さすがにシャシーベースが同じなので、基本的なプロポーションは変わっていなが、全身が彫りの深いイケメンに変身。ガイジンっぽい日本人から、本物のハーフになったとでも申しましょうか?
特にカッコいいのは、リアピラーからトランクにかけてのリアのラインだが、顔もかなり変わった。スピンドルグリルはシャープになり、ヘッドライトはより異形化。まゆ毛型のデイライトがヘッドライト上側から下側に移り、大胆さを増している。特徴の強いイケメン顔になったのではないだろうか。
現行レクサスIS 整形後のリアスタイル
■大胆整形が成功した現行国産車4/デリカD:5
ビッグマイナーチェンジ前のデリカD:5
ダイナミックシールドのマスクが与えられたビッグマイナーチェンジ後のデリカD:5
もはや「伝説的」と形容してもいいくらい、大胆整形の大成功例だ。もともとデリカD:5はスタイリッシュだった。2005年の東京モーターショーに出展された「コンセプトD:5」は、月面車的な未来感があり大好評。2007年の市販時には、かなり常識的になってはいたが、決して悪くないデザインだった。
が、三菱自動車の経営状況の悪化により、フルモデルチェンジは延び延びに。そのまま12年間売られ続けた。顔が大きく変わったのは、2019年のこと。またしてもフルチェンジは見送られたが、ビッグマイナーチェンジにともなうダイナミックシールドの採用により、すさまじく大胆に整形されて登場し、多くのクルマ好きを震撼させた。
当初は「あまりにも醜い!」「夢に見るほどコワイ」等、酷評の声ばかり聞こえてきたが、その大胆すぎる整形は、見れば見るほど目を逸らせなくなる魅力を持っていた。今ではこの顔、そんなに怖くないでしょ? 怖いどころかカッコよくないですか?
デリカD:5の販売は、一時はかなり劇的に向上。現在はさすがにそれほどではないけれど、それでも平均して月に1000台以上売れており、三菱の登録車のなかではダントツだ。誕生から14年も経ってるのに(涙)。
■整形前のほうがよかったんじゃないか現行国産車1/ミラージュ
三菱 ミラージュ(マイナーチェンジ前・2019年6月)
三菱 ミラージュ(マイナーチェンジ後・2020年4月)
こちらもデリカD:5と同じく、既存モデルにダイナミックシールドを導入したパターンだが、D:5と違って、バンパー形状がほぼそのまま残っているところに、「X」が重ね塗りされている点など、取って付けた感が強い。
もともとコロンと丸みを帯びたフォルムに、優しい顔つきだったところに、あの悪魔的な「X」が入れられたのだ。ランサーにおけるブーレイ顔の気配がかすかに漂っていて、これで目立つより、前の人畜無害顔のほうがよかったかも……という気がしないでもない。
■整形前のほうがよかったんじゃないか現行国産車1/プリウス
プリウス 整形前
プリウス 2018年12月改良型
2015年に発売された4代目プリウスは、登場時からデザインが大不評。特にフロントフェイスは「なんじゃこりゃ」という声ばかりで、日本国内だけでなく、主力市場たる北米での評判もさんざんだった。販売台数も、発売から2年後には急落。デザインの失敗は確定した。
そこでトヨタは、発売から3年後の2018年、マイチェンにともなうデザイン整形を発表。しかし販売は回復せず、現在に至っている。
私としては、当初のデザインは決して悪くはなかったと思っている。複雑すぎるヘッドライト形状はいまひとつだったが、テールランプの造形をはじめとしたリアビューは未来感満点でステキだった。
マイチェンでは、フロントフェイスやリヤコンビランプが常識的な形状に変更されたが、校則でバリカン刈りされた高校生のようで、どこか痛々しい。販売も回復しなかった。
■整形前のほうがよかったんじゃないか現行国産車1/レジェンド
ホンダ レジェンド(マイナーチェンジ前・2014年11月)
ホンダ レジェンド(マイナーチェンジ後・2018年2月)。ダイヤモンドペンタゴングリルは日本国内専用のデザイン
年内で国内生産終了が決定しているクルマに鞭打つのもナンですが、一応現行モデルなので、入れさせていただきます。
発表時は、当時のアキュラ車に共通する、上側がブッといメッキグリルだったのが、マイチェンでロボットカラス天狗風の5角形グリルに変更。フロントボンネットの左右の峰もロッキー山脈の如く盛り上がり、ものすごいご面相となった。
もともとすさまじくカッコ悪い顔だったレジェンド。全世界で不評というかスルーされ、歴史的な販売不振をかこっていた。それをテコ入れすべく、新しいアキュラの統一デザインが取り入れられたけれど、これがまた大コケだったということです。
問題はレジェンドよりも、アキュラの統一デザインにある。アキュラの統一デザインは、ひとつ前の世代も今の世代も、世界一カッコ悪くて時代遅れ。2代目NSXは、ひとつ前のアキュラ統一デザインの犠牲となり、スーパーカーなのにメッキグリルを付けて登場した。新型インテグラもまるでペケ! アキュラデザインをどげんかせんといかん。国内市場とはもう関係ないけど。
■整形前のほうがよかったんじゃないか現行国産車3/オデッセイ
オデッセイ整形前
整形後 現行オデッセイ
こちらも今年いっぱいで生産が終了するモデルです。またしても死者に鞭打つ私をお許しください。マイチェン整形の失敗例は、それだけレアになっているのです。
現行オデッセイは、背の低いミニバンの退潮に打ち勝つべく、適度に全高を上げて顔のイバリも増すという中途半端なコンセプトで登場。予想通り販売不振にあえいだ。
その失敗を挽回すべく、顔の大胆整形を行ったが、これが絵に描いたような負の連鎖だったのであります。元のデザインもまったく魅力なかったが、マイチェン後はグリルが妙に出っ張って、さらにブス化が進行。いったい何をしたいのか、最後まで見えませんでした。
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「整形後で成功した有名人 整形前のほうがよかった有名人」って記事、書けますか??