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トヨタのミニバンはやっぱりすごい! 新型ノア&ヴォクシーの見どころとは? 前編

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トヨタのミニバンはやっぱりすごい! 新型ノア&ヴォクシーの見どころとは? 前編

フルモデルチェンジしたトヨタの新しい「ノア」と「ヴォクシー」を、世良耕太が徹底解説! 前編では、“使い勝手”をレポートする。

アルファードに負けていないエクステリア

家族のミニバン、堂々フルモデルチェンジ──新型トヨタ・ノア&ヴォクシー登場!

国産5ナンバーミニバン……と、言いたいところであるが、先代ではエアロパーツ装着車は5ナンバー枠を超えた全幅1735mmだったので言い直すことにして(枠を超えていたのはフロントセクションのみだったが)、5ナンバーサイズをベースとする国産ミニバンのトヨタ・ノア/ヴォクシーがフルモデルチェンジして4代目に移行した。事前にパソコンの画面で新型の画像を見たときは、「キープコンセプトだね」と、感じた。

キープコンセプトであることに変わりはないが、そう決めつけるのがいかに危険であるかを、実物を目の当たりにして思い知ることになった。キープコンセプトとは“代わり映えしない”と、同義ではないのだ。新型ノア/ヴォクシーの変わりようは劇的だし、数々のアイデア賞ものの技術や装備が投入されている。

ノアのエクステリアは従来どおり、正統派ミニバンのイメージを受け継いでいる。落ち着いたデザインを受け継ぎながら、上質さを増した印象だ。一方、スポーティな印象が強かったヴォクシーは先鋭さを増した。社内のプレゼンでは一旦ダメだしを食らったほど、過激な方向に進化している。

ノアもヴォクシーも、事前にパソコン画面で確認したのはフロント側ばかりで、リアスタイルは実車で初めて確認した。

これが、実に“良い”のである。先代のリアコンビネーションランプは2車ともに縦基調だったが、新型はひとまわり大きく、上級の「アルファード」「ヴェルファイア」と同様の横基調になっている。全幅は全車1730mmになって若干ワイドになり、真後ろから見たときの安定感が増した。

そこに、横基調のリヤコンビネーションランプが組み合わさって、さらに迫力が増したように感じられる。ノアのリヤコンビネーションランプのグラフィックは翼を拡げた鷲のよう。車幅いっぱいに広がる2本のテールランプが点灯するヴォクシーは、妖しげなムードだ。

いずれにしても個性的。作り手のこだわりは、リヤワイパーを見えないようにした点だ。なんと、ルーフスポイラーを全車標準装備にしたのは、ワイパーを隠すためである(もちろん、空力的な効果もあるし、サイドビューを伸びやかに見せる効果もある)。

ワイパーが露出しているとブレードを起点に汚い筋跡がリヤウインドウにあらわれたりするが、ルーフスポイラーに格納しておけば、落胆必至の悩みの種とも無縁でいられる。クルマは顔も大事だが、後ろ姿の手入れも重要なことを、新型ノアとヴォクシーは教えてくれる。

2列目はロングスライド機構で広々!

開発責任者は、「ミニバンってキャビンオリエンテッドだと思うんですよ」と、言い切った。そのほかの多くのクルマのようにドライバーオリエンテッドではなく、である。

「乗り降りのしやすさ、シートの使いやすさ、シートに座ったときの快適性、シートアレンジがいかに簡単か……こうした、ミニバンに求められる点を少しずつ改善して使いやすくしました。ノア/ヴォクシーは前の型から乗り換える方が多いのですが、乗り換えた方が、『さらに使いやすくなった』『良くなった』『快適になった』と言ってくださることを目指して開発しました」

新たに開発した機能のひとつが、7人乗り仕様のセカンドシートに採用された「ストレート超ロングスライド」だ。

先代もロングスライド出来たが、スライドさせるとき、左右のシートを一旦中央に寄せてから後ろにスライドさせる必要があった。リアのホイールハウスが干渉するからだ。スライドさせるのにひと手間必要で面倒だし、中央に寄せてスライドさせるので、スライド後はセンターにあったテーブルやカップホルダーは使えず、隣との感覚が狭くなって窮屈でもあった。

新型ノア/ヴォクシーのセカンドシートは、リクライニング機構をシート骨格の内側に配置することで張り出しを減らし、中央に寄せず、ロングスライドが可能になった。

さらに、Cピラーを外側に立てた設計にすることで、ロングスライドさせた状態での頭まわりの広がり感を向上させた。Cピラーの設計変更は、セカンドシートをスライドさせずにサードシートを使ったときも恩恵を生む。

“熱意”に脱帽

サードシートは従来、薄型ゆえに「座り心地が悪い」と、不評だったという。クッションが充分に確保できず、硬かったのだ。

新型でも薄いのに変わりはないが、少しでも座り心地を向上させるため、従来のSばねからネットタイプのスプリングに変更し、座り心地を改善した。

また、サードシートは従来、格納する際は跳ね上げた後にストラップを取り出し、留め具に固定する必要があった。両手での作業が必要だし、手間でもあった。新型は持ち上げて押し付ければ自動でロックする機構を採用。片手で作業できるし、元に戻す際もレバーを引くだけの簡単な操作で済み、格段に使いやすくなった。

乗り降りの点では、助手席側に「ユニバーサルステップ」と名づけた格納式ステップを設定したのが目を引く。モーターを使った低床ステップの展開機構は従来から存在したが、それではオプション価格はゆうに2桁の万円になってしまう。

「必要な方に躊躇なく選んでいただきたい」(開発責任者)からと、知恵を絞って開発したのがユニバーサルステップだ。パワースライドドアの動きと連動させ、“からくり”を使って電気的な仕掛けを必要とせず、メカニカルな機構のみで格納式ステップを成立させた。オプション価格は3万3000円で、電動式に比べて格段に手が出しやすい。

“からくり”は手動式のバックドアにも採用した。上ヒンジで1枚もののバックドアは、全開しようとすると車両の後方に1m以上のスペースが要る。狭い場所で荷物を出し入れするときは少しだけ開けた状態にして、それ以上開かないように手で押さえ、窮屈な体勢で荷物を出し入れする必要があった。あるいは、バックドアが開いてしまわないよう、誰かに押さえてもらう必要があった。

世界初採用の「フリーストップバックドア」はラチェット機構を使った“からくり”を用いることで、簡単な操作で、任意の位置でバックドアを止めておくことが可能だ。車両後方にスペースがない状況でも、簡単に少し開けた状態にすることができる。かゆいところに手が届く、便利な機能といえるだろう。

パワーバックドアも使い勝手についてよく考えられている。「開」と「閉」の2つのスイッチは、スライドドアのレール後端に設置してある。スイッチはレールと同化しているので、指摘されなければ存在に気づかないほどだ。「こんなところに!」という印象で、まるで隠し扉のスイッチのようである。しかも開閉スイッチは両サイドにあり、手動バックドアと同様、任意の位置でバックドアを止められる。ドアの開け閉めの邪魔にならない位置に立ち、ドアの状態を確認しながら開け閉めできるのがいい。

新型ノア/ヴォクシーは、感心するほどあちこちで使い勝手が高められている。

改善ポイントの数は、使う人の気持ちを思う開発陣の熱意に比例すると感じた。その熱意に対して、脱帽するほかない。

文・世良耕太 写真・安井宏充(Weekend.)

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