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9代目はヴァリアントのみ フォルクスワーゲン・パサート 試作車へ試乗 先代以上に良いクルマ

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9代目はヴァリアントのみ フォルクスワーゲン・パサート 試作車へ試乗 先代以上に良いクルマ

ティグアンとパワートレインなどを共有

最近の欧州車の話題といえば、バッテリーEV(BEV)のことばかり。だが、フォルクスワーゲン・パサートのような内燃エンジン車が、世界的に見れば市場の中心にあることは間違いない。

【画像】9代目はヴァリアントのみ VWパサート・プロトタイプ 現行型とID.7 競合ワゴンも 全144枚

フォルクスワーゲンは、パサートにサイズが近いBEV、ID.7の販売をまもなくスタートさせる。だが、従来のパサートが終了するわけではない。しっかり新世代が控えている。

この並行的なモデル展開は、ゴルフに対するID.3、ティグアンに対するID.4などと通じる。同社はBEVの開発に数10億ポンド(数1000億円)規模の予算を費やしており、これまで3000万台を売り上げてきたパサートには、資金獲得という重要な役目がある。

今回、筆者が招かれたのはドイツ北部、エーラレッシエンに位置するテストコース。2023年9月に予定される正式発表に先駆けて、周辺の一般道も交えて、新しいパサートのステアリングホイールを握らせていただいた。

1973年の初代(B1型)から数えて9世代目となる新型(B9型)は、今のところ欧州市場を中心に、ステーションワゴンのヴァリアントのみの販売が計画されている。生産は、スロバキアのブラチスラバに構える同社の工場で行われる。

プラットフォームは、フォルクスワーゲンのMQBエボ。3代目ティグアンと、プラグイン・ハイブリッドを含むパワートレインなどを共有する。ともに安定した販売数を稼いでおり、スケールメリットを活かした生産が可能となる。

ボディもインテリアも8代目から一新

試乗したプロトタイプのボディには、QRコードのような模様が一面に貼られていた。それでも、スタイリングが8代目から進化していることは、観察できるだろう。

大きな特徴といえるのが、ヘッドライトから水平に続くバー状のライトと、塞がれたスリムなフロントグリル。ラジエターやフロントブレーキの冷却は、バンパー側のグリルでまかなわれる。

ボディサイズは先代から拡大され、全長と全幅、全高は順に、4917mm、1852mm、1482mm。それぞれ144mmと20mm、7mm大きくなり、ホイールベースも50mm伸ばされ2841mmになる。BMW 3シリーズより、5シリーズへ大きさは接近した。

インテリアも一新。ボディの見た目より、変化の幅は大きいかもしれない。

ダッシュボード自体が新しく、ドライバーの正面には10.25インチのメーター用モニターを配置。中央には標準で12.9インチ、オプションで15.0インチの、タッチモニターが据えられる。

ステアリングホイールのスポーク部分には、近年採用されているタッチセンサー式ではなく、実際に押せるハードボタンが並ぶ。シフトレバーはなくなり、ID.7でも採用される、ステアリングコラムから飛び出たノブ状のコントローラーに置き換えられる。

シフトレバーのなくなったセンターコンソールは、カップホルダーを含めた収納機能を充実。スマートフォンの充電パッドも用意される。

ホイールベースの延長に伴い、後部座席の前後長は50mm拡大。荷室容量もトノカバー下で40L増え、690Lになる。リアシートを倒すと、1920Lの大空間が現れる。

2.0L 4気筒ディーゼルターボで余裕の走り

フォルクスワーゲンのCEO、トーマス・シェーファー氏によると、パワートレインには最新の4気筒ガソリンとディーゼルがラインナップされ、すべて排気ガス規制のユーロ7に合致するとのこと。一部は電圧48Vのマイルド・ハイブリッドになる。

詳細はまだ不明だが、排気量は1.5Lから2.0Lの間。トランスミッションは、7速デュアルクラッチ・オートマティック(DSG)に加えて、6速マニュアルも一部で選べる。標準で前輪駆動だが、四輪駆動も用意される。

プラグイン・ハイブリッドも提供予定。1.5L 4気筒ガソリンエンジンに駆動用モーターが組み合わされ、システム総合で203psか271psに設定されるという。

駆動用バッテリーの容量は、約26kWhと大型化。電気だけで走行可能な距離は、最長128kmへ伸びる。また、ACだけでなくDCの急速充電器にも対応する見込み。

予習はこのくらいにしておこう。9代目パサートの運転席へ座り、センターコンソールに配されたスタートボタンを押す。シフトセレクターのノブを回し、Dを選択する。

試乗車には、2.0L 4気筒ディーゼルターボが搭載されていたが、低速域ではトルクが太く粘り強い。回転フィールも、洗練されているように感じた。新型パサートでは最も強力なユニットということで、発進加速は鋭く、中間加速も意欲的。

7速DSGは素早く反応し、低回転域での余裕を活かし、高速道路をゆったり穏やかに巡航できる。アクセルペダルを踏み込んでもキックダウンしたがらない性格付けは、最近のDSGに共通している。

操縦性や乗り心地は明らかに向上

ステアリングの反応は正確で、適度な重み付けが好感触。セルフセンタリング性が強く、フィードバックは8代目から明確に増えている。

サスペンションもアップデートされ、ツインバルブ・ダンパーを獲得。衝撃吸収性を高めつつ、落ち着いた姿勢制御を叶えている。ワダチや隆起部分が目立つ路面でも、遥かに滑らかに処理しているように感じられた。

コーナーでの敏捷性も向上。8代目よりシャープに回頭し、ラインをトレースしやすく、運転の楽しさも増している。スポーツワゴンへ進化した、とまではいえないとしても。

大幅に一新されたインテリアは、知覚品質が高く居心地が良い。インフォテインメント・システムを含む、車載機能の操作性も悪くないようだ。

まだプロトタイプの段階ではあるものの、先代以上に優れたクルマヘ進化することは間違いなさそうだ。長年改良を重ねてきたステーションワゴンらしく、ユーザーが期待するであろう実用性や品質は、しっかり保たれている。

加えて、正確性を増した操縦性と上質な乗り心地も獲得している。従来のように親しみやすく、動的能力は引き上げられ、熟成度を増すといっていい。

近年は、ステーションワゴンが減少傾向。9代目パサートの登場は、多くの既存ユーザーにとって心強い存在になるのではないだろうか。

フォルクスワーゲン・パサート・ヴァリアント・プロトタイプのスペック

英国価格:約4万5000ポンド(約787万円/予想)
全長:4917mm
全幅:1852mm
全高:1482mm
最高速度:241km/h(予想)
0-100km/h加速:7.8秒(予想)
燃費:−km/L
CO2排出量:−g/km
車両重量:1600kg(予想)
パワートレイン:直列4気筒1968ccターボチャージャー
使用燃料:軽油
最高出力:192ps
最大トルク:−kg-m
ギアボックス:7速デュアルクラッチ・オートマティック(前輪駆動)

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みんなのコメント

3件
  • 世界中で“セダンの終活”が始まっている。。。
  • audiと同様に縦置き3LエンジンのAWDとか出ればいいのに。
    ここ数年での車両価格の値上がりが辛いので価格を抑えたVWも考える時が来たのかもしれない。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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