アジアの建築にインスパイア 孤高の1台
英国の自動車メーカーであるロールス・ロイスは、オーダーメイドの「ドロップテイル」シリーズの第3弾として、新たに「アルカディア・ドロップテイル」を公開した。
【画像】えっ、世界に1台しかない「オーダーメイド車」ってどんなクルマ?【ロールス・ロイス・アルカディア・ドロップテイルを写真で見る】 全18枚
およそ2000万ポンド(約3億8000万円)を投じて製作したと言われ、そのスタイリングはインドネシア、シンガポール、ベトナムなど、依頼主が好む地域の建築やデザインからインスピレーションを得ているという。
ドロップテイル・シリーズは顧客の要望に沿って1台ずつクルマを設計・製作するプロジェクトで、これまでアメジストとラ・ローズ・ノワールが公開されており、今回のアルカディアはその最新作となる。
ロールス・ロイスによると、アルカディアの白い塗装にはアルミニウムとガラスの粒子が使われており、さらに細かく見ていくと「興味をそそられるレベル」になっているという。
また、依頼主はシルバーによる仕上げに強くこだわり、開発プロセスに深く関わったとされる。
加工に難儀したウッドパネル 時計にもこだわり
インテリアでは、依頼主の嗜好に沿って開発されたウッドパネルをふんだんに使用。質感を求めて「サントス・ストレートグレイン・ローズウッド」という木材を採用したが、従来のロールス・ロイスの市販車で使用される木材よりも硬く、技術面での大きな課題となった。
この木材は機械で加工すると裂けやすく、また乾燥すると割れやすいという。さらに、熱帯気候の中で木材を保護するために、特注のラッカーも開発しなければならなかった。当初は船舶と同じようなコーティングも検討されたが、定期的な再塗布が必要なため退けられた。
結果的に、ラッカーや塗装の開発、233枚の木材の加工には、合計8000時間以上を要したという。
また、ダッシュボードにはロールス・ロイス独自の時計が備わっているが、これも同社の部品の中で最も複雑なもので、研究に2年、組み立てに5か月を要したとされている。
デザイン責任者のアンダース・ワーミング氏は、「アルカディア・ドロップテイルでは、英国のラグジュアリーに独自の価値を見出す個人のライフスタイルを反映した、ミニマリズムと繊細さを大胆に表現しています。この歴史的な自動車を製作することで、最高レベルのビスポーク・デザインと我々の比類なき能力を証明することができました」と語っている。
パワートレインは、ロールス・ロイスお馴染みの6.75L V12ツインターボを搭載し、さらに30psのパワーアップが図られ、最高出力600ps、最大トルク85.7kg-mを発生する。
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