流行りのSUVとは一線を画す性能を持つ2モデル
気候変動の影響だろうか、降雨量が想定以上に多くなり、水害のニュースを見かけることも多くなっている。また、日本は地震大国でもあり、災害時の移動手段として愛車の活用を考えている人もいることだろう。
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実際問題としては、状況がわからないなかで無暗に移動するというのは逆に危険な行為であり推奨できないのだが、災害時の移動といった話題になると名前が挙がるのが、世界に誇る日本のクロスカントリー4WD、トヨタ・ランドクルーザーとスズキ・ジムニーだ。
4.6リッターV8エンジンに各種電子デバイスを満載したランドクルーザーと、660cc 3気筒ターボで駆動系はシンプルなジムニーという両極端なモデルだが、いずれもローレンジを持つ本格的な4WD機構を持つ。流行りのSUVとは一線を画す性能を持っている。
さらに、シチュエーションによりそれぞれに良し悪しがあり、ランクル VS ジムニーの最強クロカン対決というのは、クルマ趣味人のディスカッションテーマとしては盛り上がるものだ。パワフルなランクルと、ボディがコンパクトで自由度の高いジムニー、それぞれにメリットがあるのは直感的に思い浮かぶだろう。
では、クロスカントリー4WDの基本スペックで比べてみるとどうなるのだろうか? ■ランドクルーザー走破性スペック
最低地上高:225mm
アプローチアングル:32度
デパーチャーアングル:25度
ランプブレークオーバーアングル:25度 ■ジムニー走破性スペック
最低地上高:205mm
アプローチアングル:41度
デパーチャーアングル:51度
ランプブレークオーバーアングル:28度 こうして見比べると、障害物とボディとの干渉に左右するアプローチアングル、デパーチャーアングルではジムニー有利に見えるが、最低地上高で20mmの違いというのは大きい。
ランクルは水深70cmの川を渡ることができる!
絶対的な走破性ではランクル有利といえるだろう。さらに、ランクルには車高調整機能があり、悪路走行用のハイモードを選ぶとフロント50mm、リヤ60mmも車高アップができる。
さらに、ジムニーは公表していないが、ランクルは登坂能力45度、最大渡河性能700mmといった驚異的なスペックを持っている。ジムニーにしてもエアクリーナーから水を吸ってしまわないように高い位置に吸気口をレイアウトするなど工夫はしているが、さすがに700mmの深さの川を渡るのは厳しいだろう。
もっとも、これらはノーマル状態での話であって、改造を前提にするともっと踏破性を上げることができる。車高を上げることもできれば、シュノーケルを装備して渡河性能をアップすることもできる。タイヤを大きくしたり、悪路でグリップするラグタイヤにしたりといったラフロードに合わせたカスタマイズを施せば、もっともっと走破性を高めることができる。そうしたカスタマイズパーツやメニューでいってもランクルとジムニーともに充実している。その点でもいい勝負ができるといえそうだ。
走行中に災害にあってしまったときに、危険な状況から脱出するのであれば性能を引き出して走行するのは仕方がないといえるが、クロカン4WDだからといって危険な状態に嬉々として飛び出していくのはNGだ。たとえ700mmの渡河性能を持っていたとしても、それは勢いよく流れている荒れた河川を渡れるという意味ではなし、浸水している市街地では水の中にどんな障害物があるかもわからない。その意味では、どんなに走破性が高くても、リアルワールドで性能を引きだそうとすることは命知らずな行為といえる。
ランクルやジムニーの走破性というのは、万が一の状況で命を守ってくれる。だからこそ、あえて危険な状況に飛び込んでいく必要はない。どんなにカスタマイズして走破性を高めたとしても、その性能を発揮するのはオフロードコースなど安全が確保できるところに限っておいたほうがいい。
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