5代目にモデルチェンジ どんなクルマ?
text:Shigeo Kawashima(川島茂夫)
【画像】新型ルーテシア比較 インテンス・テックパック/インテンス【細部まで見る】 全147枚
photo:Keisuke Maeda(前田恵介)
単なる偏見と思われても仕方ないが、ルノー車にはデザイン先行メカ保守的のイメージがある。5代目となるルーテシア(クリオ)はその偏見を見事に打ち砕いた。
外観デザインは、事前情報がなくとも一目でルーテシアの新型と分かるほど、先代のイメージを残している。
車体寸法は多少コンパクト化されたものの、ほぼ先代を踏襲する。
個人的には大人っぽい雰囲気を纏ったくらいの変化で好感を持てたが、ビッグMCと言われても納得してしまう。
大きく変わったのはハードウェアである。
ルノー日産三菱アライアンスにより開発されたCFM-Bを採用。同プラットフォームを採用する初のルノー車となるが、国内向けの日産車と三菱車に採用モデルがないことから、日本では唯一のCMF-Bモデルとなる。
パワートレインは1.3Lターボと7速DCT。エンジンは、ミラーボア・コーティングによるライナーレス構造など、日産の技術を導入にされ軽量化と低摺動抵抗化は図られている。
「全身、次世代設計」と言いたくなる内容だ。
ゼンにも全車速ACC、BSM
今やコンパクトカーでもフル・モデルチェンジなら設定が当たり前になりつつあるACCなどの先進運転支援システム(ADAS)の導入は、新型の大きな注目点の1つである。
受注生産となるゼンも含めて、全車速型ACC、車線逸脱警報、標識認識、BSM、リアカメラなどを標準装着。
試乗したインテンス・テックパックには、加えて走行ライン制御型LKA(レーンキープアシスト)、俯瞰表示全周カメラなどが標準装着される。
前方の測距システムはカメラ/レーダー併用型を用いている。
システム概要を見るとキックス以降に採用されたプロパイロットを思わせるが、使用した印象もよく似ていた。
国産にも負けない? ADASの出来
ACCは、交通量が多く速度変化が頻繁な状況でも、穏やかな自動加減速制御を行う。
車線維持の支援操舵補助は、車線内蛇行や強引な操舵介入感も少なく、馴染みのいい制御。
後発なら当然という言い方もできるが、ADAS自慢の多い国産コンパクトカー対比でも使い勝手に優れている。
また、全車に7インチ・モニターのディスプレイオーディオを標準採用。
スマホとのミラーリング機能を備えるほか、OPにより独立型のナビ機能に拡張も可能。
なお、インテンス系には標準でBoseサウンドシステムも装備。実用性もプレミアム感も車格以上である。
滑らか/心地よい 加速をレポート
回転を抑えた悠々たる力強さ、回転上昇に合わせた伸びやかな加速。そのどちらも備わっているのが、新型ルーテシアのパワートレインである。
昨今のターボ車では珍しくもないが、ゆったり巡航から加速への移行の滑らかさやタイミング、連続加速時の加速感の維持が、心地よいパワーコントロール感を生み出している。
巡航時のアクセルの踏み込み量や緩加速への移行では、最大トルク24.5kg-mに見合った余力を示す。
だからといってトルク任せに巡航ギアを維持するわけでもなく、「もう少し切れ味よく加速させるか」と思うかどうかのタイミングでダウンシフトする。
変速時の加速の断続もスムーズであり、DCTではかなりドライブフィールに気を使った制御である。
ドライブモードで「スポーツ」を選択すれば、加速時の“早めダウンシフト”に使用回転域の上昇で、さらに小気味よく扱える。
「エコ」モードでは穏やかに感じたエンジン音も、回せば程よく存在感をアピール。
パドルシフトを用いれば、性能を引き出す手応えはさらに高まる。ただし、「エコ」モード同様に荒さはなく、ヤンチャなドライブフィールを期待する向きには、ちょっと大人しく感じられるかもしれない。
乗り心地 どんな感じ?
新型ルーテシアの走りで最も感心させられたのは、乗り心地だ。
穏やかというか洗練というか、機械的な粗さがとても少ない。硬柔では量れない肌身感覚の優しさを感じた。
路面凹凸やうねりに対するサスストローク量はそれほど大きくない。同クラス平均と考えていい。
ただ、微小域から深いストロークまで安定した動き出しと収束感がある。
中でも路面の細かな凹凸の吸収がよく、いささか誇大かもしれないが、例えれば厚手のカーペットの上を歩くような感じ。ガチャ付くような振動が極めて少ない。
ルーテシアとは思えない、とは失礼が過ぎるが、ルノー新世代を実感させられた。
乗り心地に日和ったと誤解してはいけない。
ストロークやブッシュの使い方の巧みさは操安にも好影響。コンパクトカーらしい応答性を維持したまま、据わりのいいライン・コントロール性を示す。
貼り付くような接地感には乏しく、手応えを求めるドライバーには物足りないかもしれないが、街乗りから高速、山岳路まで気負わずに操れるタイプである。
「買い」か?
新型ルーテシアは、荷室の拡大など実用性も改良点の1つに挙げられているが、ファミリー&レジャー用途まで拡大するには無理がある。
適応用途からすれば新しくなったばかりのプジョー208、国産車ではヤリス辺りがコンペティターとしては有力。
もっとも、これらのクルマは嗜好的な要素、つまりはキャラとの相性が重要であり、ADASなどの次世代標準となる決定的な機能の差がなければ、個人的な好き嫌いで選ぶのが本筋とも思える。
ルーテシアの標準的なグレードとなるインテンスの価格は約260万円で、これも同様の装備を備える208とトントン。ちなみに、同予算でヤリスはハイブリッド4WDの最上級グレードが選べる。
さすがにコスパでは国産車が有利だが、嗜好的な共感で乗り越えられるくらいの価格設定だ。
ならどのようなユーザータイプが似合いか考えれば、ルノーファンはもちろん、日常からドライブまで、心地よく使える肌触りのいい乗り味を求める人に勧めたい。
新型ルーテシア 試乗車スペック
ルノー・ルーテシア・インテンス・テックパック
価格:276万9000円
全長:4075mm
全幅:1725mm
全高:1470mm
最高速度:-
0-100km/h加速:-
燃費:17.0km/L(WLTCモード)
CO2排出量:-
車両重量:1200kg
パワートレイン:1333cc直列4気筒ターボ
使用燃料:ガソリン
最高出力:131ps/5000rpm
最大トルク:24.5kg-m/1600rpm
ギアボックス:7速DCT
乗車定員:5名
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