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トヨタ ヤリスクロス試乗記 売れるクルマ(1.5Lハイブリッド4WD)

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トヨタ ヤリスクロス試乗記 売れるクルマ(1.5Lハイブリッド4WD)

ヤリスクロスを公道で試乗することができた。プロトタイプでサーキット走行をしたレポートはすでに掲載しているが、車格的に日常使いでの評価のほうが気になるモデルだ。試乗したのは1.5Lハイブリッドと1.5L+CVTのモデルで、それぞれ4WDとFFに試乗できた。さらに特設コースで4WD機能の体験もしてきたのでお伝えしよう。

関連記事:トヨタ ヤリスクロス 世界で戦うコンパクトSUV試乗記 (1.5L FF CVT/1.5 FFハイブリッド/1.5L 4WD ハイブリッド) 

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ヤリスクロスのボディサイズは全長4180mm、全幅1765mm、全高1590mm、ホイールベース2560mmという大きさで、Bセグメントのコンパクトサイズ。だが、立体駐車場に入らない全高はちょっと残念。欧州を意識すると1550mmの高さでは厳しいということなのだろうか。

気になるポイントとは

ヤリスクロス全てに共通する印象は、より多くのユーザーに乗ってもらうことを意識した、ユーティリティにも注力したモデルという印象で、抜かりない仕上がりだ。目立った欠点はなく、尖った特徴もない。ちょっと気になるポイントはあるけど、ターゲットユーザーをしっかり見据え、全体がバランスしている印象だった。

最初に「ちょっと気になるポイント」をお伝えすると、ロードノイズがある。音が室内に入るのでコンパクトカーなのに、後席の人が身を乗り出さないとドライバーの声が聞こえにくいということがあった。リヤのラゲッジルームからとフロアからの音の侵入はちょっと気になる。

こうしたロードノイズの他にエンジン音も気になる。エンジン音は聞こえてもいいのだが、「いい音」ではないから気になるのだ。新開発の3気筒1.5Lエンジンは、ハイブリッドでも自然吸気でも共に大きい音がする。特にハイブリッドモデルでは静粛性も期待値が刷り込まれているため、ちょっと気になった。また高速での合流や追い越し加速など、アクセルを踏み込んだ時は「頑張っている」感じに伝わってくるのも寂しいか。

こうした印象は、パワーユニットがハッチバックのヤリスと同じものを搭載しつつも、車重の違いや俊敏さの仕上げ方の違いで印象が変わる。また路面が綺麗な場所では、滑らかに、そして静かに走るので対処は比較的容易にできそうな印象だった。またリヤドアの開閉音がチープなのが寂しい。運転席、助手席は気にならないが、リヤドアを閉めた時の安っぽい音は残念。欧州Bセグメントが軒並みレベルアップしているので、このあたりのツメはして欲しかった。

乗り心地ではハーシュネスがわずかに気になる。フリクションは特に感じないがマンホールとか、地面の凸凹などでは突き上げがある。とくにガソリンモデルのほうが気になる。ハイブリッドは車重があるためか、多少丸くは感じるものの、もっとまろやかないなしのほうがいい。

平均点の高さ

良かったと感じたのはステアフィールとシートの座り心地。ステアフィールはおおらかな感じで、クロスオーバーSUVであることや、誰が運転しても、運転しやすいと感じるような味付けになっていた。敏感でもなく、鈍感でもないちょうどいいフィーリングだ。

関連記事:トヨタ 至れり尽くせりのコンパクトSUV「ヤリス クロス」を発売

シートは運転席のフィット感がいい。そしてやわらかな座面と、ほどよくホールドされている感触もあり、印象が良かった。

エクステリアはヤリスシリーズとはいえ、キーンルックの印象を抑え欧州を意識した個性的なデザインだと感じる。一方インテリアでは、ドリンクホルダーやものを置くスペースなど過不足なく網羅されているが、これといった特徴は感じない。人によっては、少しチープな印象を受けるかもしれない。

ただ、ラゲッジスペースの広さや、ガソリンモデルだとゴルフバッグを2本真横にして詰めること、3分割のリヤシート中央を倒せば、長尺もののスキー板や釣竿といった道具類がストレスなく積めることなどユーティリティは追求している。そしてリヤバンパー下を蹴り込む動作でリヤハッチが開くなど、上級車の装備をするなど、オーナーになれば、使い勝手の良さをことあるごとに感じるモデルだとイメージできた。

4WD性能をアピールするも

そして4WDの性能についても体験できる会場が用意されていた。ハイブリッドモデルには「トレールモード」と「SNOW」モードがある。リヤの駆動にモーターを使ったE-Fourで、いわゆる生活四駆と言われるもの。車速では60km/h程度までは駆動するが、それ以上の車速には対応していない。

シチュエーションとしては雪道など滑りやすい場所での脱出。ヤリスクロスは最低地上高が170mmでSUVと呼ぶにはすこし低めではあるが、アプローチアングルが24度あり、多少の悪路も問題ない。キャンプ場などでの腹打ちはしないレベルだ。そのためつい入り込んでしまってスタックという場面がなきにしもあらず。という時にトレールモードが役に立つ。

トレールモードは空転するタイヤに強いブレーキをかけ、グリップしているタイヤに駆動力がかかり、脱出できるという機能だ。そのため、普段使うような機能ではないが、万が一の安心材料だ。

そしてスノーモードは、ノーマルモードの延長線にあり、滑らないコントロールをしている。雪道やアイスバーンなど極端に滑りやすい路面では出力を抑える制御をし、タイヤの滑りをコントロールする。腕に自信がある人だと使いにくい機能だが、必ずしも運転が得意という人ばかりが乗るわけではないことを想定した機能だ。

一方ガソリンモデルの4WDは、「ROCK&DIRT」と「MUD&SAND」の2つのモードがある。ロック&ダートは岩場やダートでスタックしたとき、ブレーキをかけることで駆動輪にトルクがかかる機能で、ハイブリッドのトレールモードと同じ制御ロジックだ。

マッド&サンドはその逆で、アクセルを踏めば踏んだだけタイヤが回転する方向の制御で、空転しすぎたと判定されると少しブレーキがかかるという制御。砂場やぬかるみなど、タイヤを回転させて進むようなシチュエーションでの利用になる。

これらの機能を体験するために、人工的なスリップゾーンや、モーグルを設置していた。あくまでもハードな使い方というより、運転が得意でない人でも安心して走行できるように考えた機能ということを確認した。

抜かりない仕上がりの良さ

そうした誰もが運転するクルマという位置付けだけに、駐車アシスト機能や高速道路での運転支援機能は秀逸だ。駐車支援は前進、後退のシフト切り替えは手動で行なうが、それ以外はクルマ任せでいい。しかもスピーディだ。運転に慣れている人と同等レベルの速さで、テキパキと駐車してくれるので、実用性が高い。

基本は白線のある場所と前後の車両を認識しての車庫入れ、縦列駐車が可能だが、白線がなくてもメモリー機能を使うと、目印のない場所でも駐車支援機能(アドバンスドパーク)は使える。

さらに高度運転支援機能も優れている。高速道路で先行車追従機能を使い走行すると、車間維持や割り込みなどにも滑らかに対応する。とくにブレーキのタイミングがドライバーの意思より遅いと不安になるが、程よいタイミングでブレーキがかかる。しかも滑らかに減速をするので、制御感を感じなく同乗者が不安になることもないと思う。

こうした性能を体験してみると、必ずしも運転が得意な人が運転するとは限らない、ということを前提に作り込まれたモデルだとよく分かる。車両の姿勢、ピッチングやアンダーステア、直進性など、車両任せになっているドライバーが運転しても、安心して安全に走行できるモデルだと感じた。「売れるクルマの造り方」といったほうが的を得ているかもしれない。<レポート:高橋明/Akira Takahashi>

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みんなのコメント

4件
  • トヨタから何等かの恩恵を受けていると思われるカージャーナリストの提灯記事が多い中で、高橋さんの記事は客観的に見られいて好感が持てる。
  • 先代のヴィッツも初期モデルと後期モデルでは全く別物の完成度になっていたので、ヤリスもマイチェンしたら化けると思う。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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