■ある意味、贅沢なクルマを振り返る
クルマ1台を製造するには数万点もの部品が必要です。そのため、各メーカーとも日々、部品1点1点についてコストダウンを模索しています。
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部品のコストはそのままクルマの価格に影響を及ぼしますが、高額なクルマの場合、当然ながら重要な場所にコストがかかっているわけです。
例えば、高性能なスポーツカーならば、エンジンや足まわり、ブレーキ、エアロパーツ、軽量化に必要な素材などが高コストとなっています。
また、高級車ならば塗装の質の向上や内装では本革やウッドなどの高価な素材を使い、静粛性を高める遮音材やタイヤ、快適装備の充実によって車両価格も高くなるのが一般的です。
一方で、それほど高額なモデルでなくても、しっかりとお金がかけられたクルマも存在。そこで、振り返ってみると実は贅沢だったクルマを5車種ピックアップして紹介します。
●三菱「ミラージュ」
1991年に発売された三菱4代目「ミラージュ」は、「ランサー」とコンポーネンツを共有し、3ドアハッチバックと4ドアセダンのバリエーションで展開されました。
そして、1992年にはそれまでマツダが記録していたよりもさらに小さく、世界最小を塗り替えた1.6リッターV型6気筒の「6A10型」エンジン搭載車を追加ラインナップ。
最高出力140馬力を発揮する世界最小V型6気筒エンジン「6A10型」は、4ドアセダンの「ROYAL」と「VIE LIMITED」に搭載され、本来はエントリーカーであるミラージュがジェントルでラグジュアリーなモデルへと仕立てられました。
この6A1系エンジンは1.6リッターから2.5リッターまでラインナップされており、2リッターを標準に設計されていたと考えられ、かなり無理矢理ですが小排気量化自体は難しくなかったといえます。
しかし、部品点数や製造コストを考えると1.6リッターで6気筒はオーバークオリティであり、重量増という面でも不利ですが、採用に至ったのはまさにバブルの名残だったからといえるでしょう。
その後、1995年に登場した5代目ミラージュでは1.8リッターV型6気筒の「6A11型」エンジンにスイッチされ、1999年にはラインナップから消滅してしまいました。
ちなみに、6A10型登場以前に最小だったマツダ製V型6気筒エンジンは1.8リッターでした。
●日産「マキシマ」
日産は1981年に北米市場で、「ブルーバード」をベースにした上級モデルの「マキシマ」を発売。日本でも1984年から「ブルーバードマキシマ」の名で販売を開始しました。
その後代を重ねて1988年には3代目がデビューし、日本でもマキシマへと車名が変わってブルーバードから独立した車種として展開。
3代目マキシマは、外装に曲面を多用することで柔らかな印象のスタイリッシュなアッパーミドルクラスのセダンで、日本ではバブル景気という背景もあって人気となりました。
そして、1991年のマイナーチェンジでは、よりラグジュアリーなグレードとして「マキシマ 3000SV」が登場。
エンジンは3リッターV型6気筒DOHCの「VE30DE型」で、4代目「フェアレディZ」や初代「シーマ」にも搭載された「VG30DE型」をベースとしていました。
もともとVG30DE型はFR用に開発されたエンジンだったため、FFのマキシマに搭載するにあたって単に横置き用にマウントまわりを設計変更するだけにとどまらず、マキシマのエンジンルームのスペースの問題から、新規でシリンダーヘッドとバルブ駆動系(タイミングチェーンまわり)を設計する必要がありました。
そうして搭載されたVE30DE型は最高出力195馬力とパワフルで、マキシマの商品力を向上させることに成功したといえます。
しかし、パワーの割にエンジン重量が重いという欠点があり、FFであるマキシマではよりフロントヘビーとなったことから1994年に4代目では、FF、FRどちらにも搭載することを前提に新開発されたV型6気筒エンジン「VQ30DE型」に換装。
そのため、VE30DE型は3代目マキシマ以外には搭載されず、わずか3年間で生産を終了してしまいました。
いわゆる「腰下」はVG30DE型というベースがあったにせよ、たった1車種のために主要な部品が新設計されて短命に終わったVE30DE型は、とても贅沢なエンジンだったといえるのではないでしょうか。
●ダイハツ「ソニカ」
2006年に発売されたダイハツ「ソニカ」は、それまでの発想とは異なる新時代の軽スペシャリティカーとして開発されたモデルです。
当時、軽自動車市場ではハイト系ワゴンが主流になりつつありましたが、あえて1470mmという低めの全高によってスタイリッシュな2BOXのフォルムを実現。
ボディ各所に風切り音やロードノイズを低減する技術を採用して静粛性を高めていました。また、低い全高による低重心化とロングホイールベースにより、優れた走行安定性と乗り心地の良い快適な走りを両立しています。
搭載されたエンジンは全グレードとも最高出力64馬力を発揮する660cc直列3気筒ターボで、トランスミッションはCVTが組み合わされ、余裕あるクルージング性能を目指しました。
さらにキーフリーシステムや、一部グレードには花粉除去モード付きのオートエアコン、セキュリティアラームが採用されるなど、軽自動車という枠にとらわれない充実した装備となっています。
当時、ソニカは高く評価されましたが、すでに市場には軽スペシャリティカーのニーズがなく販売は低迷。発売からわずか3年後の2009年に生産を終了しました。
これほどこだわった設計と装備ですが、ソニカのトップグレード(2WD)で価格は141万7500円(消費税5%込)と、かなりのバーゲンプライスではないでしょうか。
■実際にカスタムしたら、とんでもない価格になりそうな2台の派生車とは?
●トヨタ「bB オープンデッキ」
1999年に発売されたトヨタ初代「ヴィッツ」は、グローバルカーとしてだけでなく、トヨタのコンパクトカーラインナップを形成する中核となるモデルでした。
そのため、初代ヴィッツのシャシやコンポーネントを流用することで、複数の車種を展開。そのなかの1台が若者層をターゲットとした小型トールワゴンの初代「bB」です。
2000年に発売されたbBはボクシーな外観と、内装もヴィッツとは大きく異なるポップなデザインで、トールワゴンとしての使い勝手の良さや手頃な価格が相まってヒットを記録。
そして、2001年には異色の派生車、「bB オープンデッキ」が発売されました。
bB オープンデッキは荷室部分がピックアップトラックと同様な荷台となっており、キャビンの荷室部分の上半分を切り取ったようなイメージで、荷台となっていますが商用車ではなくの5ナンバー登録の乗用車です。
荷台は決して大きくないため、長尺物を収納する際にはキャビンと荷台を隔てるドアを開けると室内と荷台がつながる、トランクスルーを採用。
また、bBが一般的な4ドアだったのに対し、bB オープンデッキでは右側がワンドア、左側はセンターピラーレスの観音開きドアを採用するなど、リアシートへの乗降性も考慮されていました。
まるでショーカーともいうべきbB オープンデッキは、フロントセクション以外のボディパネルがほぼすべて新作されたことで、かなりのコストがかかっていたと思われますが、価格は169万円(消費税含まず)と、ベース車の中間グレードほどの低価格でした。
しかし、トラックのような荷台はユーザーが限定されてしまい、販売は低迷。登場からわずか2年後の2003年にラインナップから消滅してしまいました。
●ホンダ「N-BOXスラッシュ」
現在、日本の自動車市場でもっとも売れているクルマといえばホンダ「N-BOX」シリーズですが、初代は2011年に発売され、同社独自のセンタータンクレイアウトの採用と、エンジンルームのサイズ圧縮などにより、ライバルを上まわる広い室内空間を実現したことで大ヒットしました。
そして2014年には初代N-BOXをベースに全高を1670mmまで低くして、クーペをイメージしたフォルムの派生車「N-BOXスラッシュ」が誕生。
N-BOXスラッシュはすべてのピラーを短くして全高を下げる手法を採用し、さらにリアドアをN-BOXのスライドドアに対してヒンジドアに変更されるなど、フロントセクション以外のボディパネルと、ウインドウガラスすべてが新規で設計されたことになります。
内装では配色や素材の異なる5つの世界観を表現した5パターンを用意。
オーディオは8スピーカー+サブウーファーのハイクオリティなものが設定され、ディーラーオプションで内装の微振動を低減するデッドニングキットが用意されるほど、音質に強くこだわっていました。
ほかにも、電動パーキングブレーキやパワーステアリングのアシスト力を選択できる「モード切り替えステアリング」なども、N-BOXスラッシュのみの装備です。
もともと、初代N-BOXの開発段階でN-BOXスラッシュは計画されておらず、エクステリアデザイナーが遊びで書いたスケッチから量産化が決まったといいます。
開発チームのこだわりが凝縮されたN-BOXスラッシュは、2代目N-BOXが発売された後もモデルチェンジすることなく継続して販売されていましたが、2020年2月に生産を終了しました。
※ ※ ※
本文中のbBオープンデッキとN-BOXスラッシュは、販売的には順風満帆とはいえなかったモデルですが、メーカーがつくったカスタマイズカーそのもので、見ているだけでも楽しくなります。
たしかに使い勝手という点ではスタンダードなbBやN-BOXの方が優れていますが、この2台にはメーカーとしての余裕のようなものが感じられます。
しかし、メーカーも商売でクルマを売っているわけですから、売れないという実績が明らかでは、こうしたモデルが再び出ることは難しいでしょう。
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みんなのコメント
ほんとに、損してる。
何故か今の車のほうが販売料金は上がってるけど。