佐藤 新社長「次世代BEVをレクサスで」
執筆:Wataru Shimizudani(清水谷 渉)
【画像】新型EV「レクサスRZ」 外装色を確認する【内装/デザインをチェック】 全114枚
3月30日、レクサスがバッテリーEV(BEV)専用モデルの「RZ」を発売した。
トヨタは4月1日から佐藤恒治氏が新社長となることは既に発表しているが、佐藤氏の前職は「レクサス」のZLチーフエンジニアだった。
佐藤氏は社長就任を前に「次世代のBEVをレクサス・ブランドで開発していく」というコメントを発していたが、このRZはレクサスBEVの方向性を示す、まさに社長就任を宣言するかのような1台といえるだろう。
RZは、レクサス初のBEV専用モデルとして、電動化技術がもたらすレクサスらしいクルマを感性に訴えかける走りとデザインで体現し、BEVを軸とするブランドへの変革の起点となるモデルだ。
その内外装に関しては、昨年に公開されている。今回は、新たに発表された内容を中心に、レクサスRZの概要を紹介していこう。
航続距離は494km 電池の劣化対策は?
RZは、前後に2基のモーターを搭載する4WDだ。
モーターのパワースペックは、フロントが最高出力150kW(204ps)/最大トルク266Nm、リアが80kW(109ps)/169Nmを発生する。
約494kmの航続可能距離と、レクサスならではの乗り味「レクサス・ドライビング・シグネチャー」を両立するために、ハイブリッド車で培った技術を活用し、専用プラットフォームの良さを最大限に引き出すシステムを開発した。
具体的には、BEV専用の大容量電池(総電力量71.4kWh)や、シリコンカーバイドのパワー半導体素子をインバーターに採用(トヨタ&レクサス初)、そしてHEV開発で培った低損失化技術も織り込むことで、航続可能距離の伸長に貢献している。
電池昇温システムは、電池昇温用電圧ヒーターに加えて、空調用高電圧ヒーターを活用することで、従来のシステムと比較して、多くの熱を電池に供給する。
さらに、電池制御技術の向上により世界トップクラスの電池容量維持率(試算値だが10年後で90%以上)の確保を目標とし、長く安心して乗り続けることを可能にしている。
また、タイマー充電機能を組み合わせることで、走行直後の充電を避けることで電池の劣化を抑制。充電量上限設定機能で満充電を避けることでも電池の劣化を抑制できる。
OTAでいつでも最新 デジタルキーも
RZには、レクサスならではの先進技術も、さまざまなものが導入されている。
たとえば、OTAアップデートにより、常に最新のソフトウェアに更新可能で、購入後もクルマに新機能が追加され性能が向上する。最新の運転支援技術を備えた、より安全・安心なクルマに進化するわけだ。
また、ドアのアンラッチ機構はスイッチによる電気制御「eラッチシステム」に置き換えることで、ムダな動きのないスムーズなドア操作と滑らかな操作フィーリングを実現。
さらに、デジタルキー専用のスマホアプリをインストールすることで、この機能を有するクルマに対して、スマホを携帯していれば、画面操作なしでドアのロック/アンロック、クルマの始動ができる。
所有するデジタルキーに対応したクルマが複数ある場合でも、1台のスマートフォンで操作可能だ。
スマホ間でデジタルキーの受け渡しができるから、家族・友人間で離れた場所でクルマの貸し借りも簡単に行える。
価格・特別仕様車
RZの正式名称は「RZ450e」。ブランド初のBEV専用モデル発売を記念して、最初の500台は、限定の特別仕様車「ファーストエディション」となる。
外観は、専用の配色を施したバイトーンのボディカラー2種類をはじめ、専用ブラックホイールを装着。
内装は、ステアリングへ特別仕様車専用の印字を、センターコンソール部に専用の「RZ450e First Edition」プレートをあしらっている。オラージュ(明るいブルーグレー)とブラックの専用カラー配色により、通常モデルとは異なる特別感のあるコーディネートとした。
主な特別装備には、以下のようなものがある。
専用外板色(ソニックカッパー&ブラック、またはiサーメタリック&ブラック)
専用ブラック塗装アルミホイール(前後20インチ)
専用印字付きステアリングホイール
専用プレート(センターコンソール部)
専用インテリアカラー(オラージュ&ブラック)
レクサスRZの価格は下記のとおりだ。
RZ450eバージョンL:880万円
RZ450eファーストエディション:940万円
RZ450e スペック
全長:4805mm
全幅:1895mm
全高:1635mm
ホイールベース:2850mm
航続距離:494km(20インチ車)
総電力:71.4kWh
電費:147Wh/km
最高出力(前):150kW(204ps)
最高出力(後):80kW(109ps)
最大トルク(前):266Nm(27.1kg-m)
最大トルク(後):169Nm(17.2kg-m)
タイヤサイズ:18/20インチ
EVオーナー専用サービス登場!
また、レクサスではRZ450eの発売に合わせ、BEVオーナー専用のサービス「レクサス・エレクトリック・プログラム(以下、LEP)」を開始する。
そのサービスは多岐にわたるが、主なものを紹介しておこう。
「BEVコンシェルジュ」 ユーザーの困りごとに担当者が寄り添いながらサポートする。
「販売店急速充電」 全国183店舗のレクサス販売店に50kW以上の急速充電器を設置する。
「普通充電器設置支援」 レクサスオリジナル普通充電器本体+設置工事(基本工事部分)を無償で提供する。
「レクサス充電ステーション」 商業施設などに150kW以上の急速充電器を備えたレクサス充電ステーションを設置し、LEP対象者は専用アプリで事前予約や支払いなどをシームレスに可能となる。
「ルート検索」 レクサス充電ステーションや目的地までの移動ルートや予測充電残量を加味し、充電スポットまで案内する。
「レクサスバッテリー3Rプログラム」 ユーザーが購入したBEVを下取りや買い取りなどの際に、新車では20万円、CPO(認定中古車)では10万円をバッテリー3R(リユース・リデュース・リサイクル)への協力金として設定する。
この導入を通じて、レクサスの強みである販売店網や顧客サービスを活かし、ユーザーがBEVを購入してから売却までの間に直面するさまざまな不安・困りごとをサポートし、レクサスならではのサービスや体験を提供。ユーザーがBEVとともに過ごす時間を楽しく、そして豊かにしていくという。
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