■ルーフテントは果たして快適なのか?
近年、アウトドアブームや車中泊ブームに関心が寄せられていますが、そのひとつとしてルーフや荷台にテントを張る「ルーフテント」という方法も注目されています。
では、実際にルーフテントを使うメリット・デメリットにはどのようなものが挙げられるのでしょうか。
【画像】内部はどうなってる? ポルシェでも寝れる「ルーフテント」登場! 軽バンでは快適? 実車を見る!(41枚)
数ある自動車用アイテムのなかで、ここ数年需要が伸びているのが「ルーフテント」です。
ルーフテントは30年ほど前からありますが、第一次キャンプブームの後にあまり見かけなくなっていました。
しかし、第二次キャンプブームが起爆剤となり、2年ほど前から復活。今や幅広い層に広がっているアイテムです。
使う理由については、車中泊の快適性の向上をはじめ、テントとちがう設営・収納のしやすさ、愛車のオーバーランダーカスタムなどいろいろ。需要は右肩上がりのようです。
しかし、ほとんどが海外製ということもあって、いまや市場では慢性的な品薄状態になっています。
ただ、実際に使っているオーナーにその評価を聞いてみると、賛否両論。
非常に快適だという人がいる一方で“買って失敗した”という人も。よくよく調べてみると、評価の要因になっているのは“作りの違い”にあるようです。
ひと口にルーフテントといっても、そのタイプはいろいろ。大きく分けると、テントタイプとハードタイプに分かれます。
テントタイプは、ルーフ上のそのままテントが建つ状態を想像してもらえば間違いないと思います。
設営はキャンプ用テントより格段に容易ですが、ワンウォールでとくにフライシートなどは付きません。
収納した後は専用カバーをかけるなど、設営・撤収に多少の手間がかかります。一方で、居住空間を広くできる構造であることがメリットです。
一方のハードタイプは、ルーフボックスのようなハードケースにテントが入っているタイプをいいます。
展開するときはダンパーの力を借りておこないますが、扇状に開くもの、垂直に上がるもの、さらには180度開くものなど、さまざまなタイプがあります。
設営・収納が非常に簡単で、雨が降っている時などに利点を感じます。またハードカバーに守られているため、テント生地の耐用年数が高いというのもメリットのひとつです。
いずれのタイプも、床には厚手のマットレスが敷かれており、商品によっては照明や換気ファンも装備されています。
欧州や豪州がルーフテントの本場ですが、最近は中国から安い商品も入ってきています。欧州製ルーフテントを扱っているインポーターは次のように語ります。
「ルーフテントは何といっても使っている素材次第です。
安い物は、まず生地にほとんど撥水性がなく、耐久性が非常に低いのです。雨が沁みてきて室内がビチョビチョになったとか、寒冷地で使ったら凍って酷い目に遭った、2、3年で生地が破れたという話もかなり聞きます。
こういった粗悪品ときちんとしたクオリティのものが同じ土俵で語られてしまうから、売り手としては非常に困りますね」
※ ※ ※
品質が悪くなくても、タイプの違いで評価が分かれることもあるといいます。
「そもそもテントタイプは当たる雨の音が大きく、ハードタイプは静かという傾向にあります。
神経質な人がテントタイプを買ってしまうと、雨天時にはうるさくて眠れないということがかなりあるようです」
筆者もルーフテントで寝たことがありますが、そのテントはゴージャスな低反発マットレスが敷かれており、驚くほど快適でした。
しかし、夜半にある出来事で悩まされることに。それは「揺れ」。
寝返りを打つ度に、車体がロールし、それで目が醒めてしまうのです。
■まだまだあるルーフテントの「メリット・デメリット」とは
さらに、風でも揺れます。
そのときのクルマがリフトアップしているクロスカントリー4WDだったということもありますが、ワンボックス車などでも揺れて寝られないという人は少なくないようです。
とあるキャンピングカーユーザーから、こんな話を聞きました。
「ウチは妻と二人なのですが、タウンエースキャンパーの就寝スペースをもっと広く使おうということで、ルーフテントを付けました。
でも、実際に使ってみると寝返りでかなり揺れますし、下で寝ている妻も僕が寝返りをする度に起きると大ブーイング。
硬いサスペンションに替えてみましたが、あまり変わらないですね」
ルーフテントのユーザーは揺れを解消するために、いろいろと工夫をしているようです。
ジャッキを2個用意して、車体の揺れをアウトリガーのように押さえるとか、床束という建築用の器具を使うなど。
市場には、キャンピングカー向けの揺れ防止ジャッキも流通しています。
いずれもジャッキアップするというのが共通ですが、傾斜や地面の凹凸があるような場所では、器具が倒れる恐れもあるため、使用には十分な注意が必要です。
ちなみに、失敗したくないという人はどんなルーフテントを購入すればいいのでしょうか。先ほどのルーフテント輸入業者に聞いてみました。
「見分けるポイントは、やはり価格でしょうか。
2人、3人用ですと、50万円前後が目安ですね。
20万円以下のものを私も使ってみましたが、やはりクオリティが悪く、とりあえず寝られるというものでした。やはりルーフテントも値段相応ということでしょう」
※ ※ ※
ルーフテントの場合、愛車に取り付ける費用も発生します。
重い物ものは数十kgあるため、クルマによってはチェーンブロックなどを使わないと装着できないことがあります。使う設備や道具を考えると、なかなか個人では難しいようです。
取り付け費用は数万円かかるため、トータルで考えると60万円前後の予算が必要になります。
キャンピングカーを購入することを考えればリーズナブルといえますが、やはり使用頻度が高くないと高価な買い物になることに。
ちなみに、ルーフテントはタイプよっては車体の外にはみ出したり、ハシゴをかけたりしないと使えない場合があります。
こうした構造のものは、高速道路施設や道の駅などの公共施設では使用がNGとなっています。
「便利そう」「快適そう」で衝動買いせずに、販売スタッフにライフスタイルを相談したうえで、慎重に商品選びをするのが、快適なルーフテント生活をおくるコツといえそうです。
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