航続距離は控えめ
text:Kenji Momota(桃田健史)
【画像】MX-30ってどんなクルマ【詳細を見る】 全220枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
マツダが事前にアナウンスしていたとおり、マツダ初の量産型EVのMX-30 EVモデルの日本発売が発表された。
リース販売ではなく、ベースモデル451万円で通常販売する。同モデルは2020年9月から欧州で先行発売されており、すでに累計1万台を受注した。AUTOCAR英国編集部を含めて欧州メディアはMX-30 EVモデルの公道試乗をおこなっている。
そうしたなかで、日本のユーザーが気になるのは航続距離だろう。満充電で256km(WLTC:国際調和排気ガス 燃費試験法)と、一般的なガソリン車と比べると半分程度というイメージだ。
また、量産型EVとして日本でもすっかりお馴染みになった日産リーフの場合、ベースモデルの航続距離は満充電で322km、また上位モデルでは458kmとMX-30 EVモデルと比べて長い。
周知のとおり、EVの航続距離は搭載する駆動用電池の容量に応じて長くなる。MX-30 EVモデルが電池容量35.5kWhに対して、リーフのベースモデルは40kWh、また上位モデルは62kWhと大きい。
このほか、海外メーカーではテスラ・モデルSがロングレンジプラスで652km、テスラ・モデル3がスタンダードレンジプラスで448km、そしてジャガーIペイスが438kmなどである。
では、MX-30 EVモデルの航続距離、つまり搭載する電池容量をマツダはどうやって決めたのだろうか?
マツダの新たな挑戦
MX-30の開発責任者、竹内都美子主査はオンライン開催した商品説明会で、MX-30 EVについて「マツダのEVの第1歩をこのクルマで提案する」と表現した。
マツダの電動化戦略は、2017年に発表したマツダZoom-Zoom宣言2030が基盤にある。ここでは、2030年までにマツダが製造・販売するすべてをクルマを電動化するとしている。
周知のとおり、この電動化はEVと同義ではなく、動力補助用モーターを発電機としても使うマイルドハイブリッドや、モーター駆動がエンジン駆動と切り離してEVモード走行も可能ないわゆるストロングハイブリッド、外部からの充電が可能なプラグインハイブリッド、さらに水素を燃料とする電気自動車である燃料電池車を含めて、これらすべてを電動車と表現するのが一般的だ。
実は、マツダはMX-30 EVモデルの前にも2010年代前半にデミオEVを量産したことがあるが、当時のマツダ幹部は「対応するのは致し方ないことだ」と表現した。
あくまでも、米カリフォルニア州でのZEV(ゼロエミッションビークル)規制への適合のため、事実上の数合わせとして対応せざるを得なかったのだ。
こうした、「米ZEV法ありき」という法規制を最優先した考え方が、長きに渡り自動車メーカーのEV戦略にあてはまる。だが、MX-30 EVモデルでは、規制ありきを超える「マツダらしさ」を感じる。
交点とは?
ZEV法に加えて、中国のNEV(新エネルギー車)規制や、欧州のCO2規制などがあり、MX-30 EVモデルも当然、そうした法規制へのマッチングとしての商品という側面がある。
また、今回マツダが提示した、あるグラフがとても興味深かった。縦軸にCO2排出量、横軸にクルマが製造されたからの累計走行距離をとった。
グラフに描かれた線はレッド(電池容量95kWhのEV)、グリーン(MX-30 EVモデルの電池容量35.5kWh)、そしてグレー(マツダ3スカイアクティブD)の3本だ。
グラフだが、最初の時点で上から、レッド、グリーン、グレーと、それぞれに差がついている。これは、EVでは電池を製造する際の原材料から製造工程までのCO2量がディーゼル車に比べて高いことを示している。
それが走行距離が進むと、それぞれの線は右肩上がりとなるが、レッドはずっと高い数値を維持。一方で、グリーンとグレーの線は、あるところで交差し、グレーがグリーンを抜く。
これが、電池パックの交換時期として想定している、16万kmの半分、または半分より少し多い走行距離となる。
竹内主査によると「この交点や、全体のグラフの変化から電池パック35.5kWhを仮定したうえで、開発を進めた」という。
マツダとしては、こうしたクルマの製造から使用、そして廃棄に至るまでのクルマの一生である、LCA(ライフサイクルアセスメント)を重要視している。
マツダらしさ貫く姿勢
それから、今回のオンライン会見であらためて、マツダのMX-30にかける本気度を実感した。
これまでの経緯を振り返ってみると、2019年10月の東京モーターショーで世界初公開されたMX-30は、同じくマツダ3と車体などを共用する、スモール商品群であるCX-30と比べて、同じSUVなのに商品として大きな違いを感じた。
マツダに対して失礼を承知でいえば、MX-30の商品コンセプト「わたしらしく生きる」に対して、筆者はある種の違和感を持った。
人馬一体やスカイアクティブなど、従来のマツダらしさを表面的には強調せず、また魂動デザインも趣向を変えたからだ。
だが、そんな違和感は、今回のEVモデルに関するプレゼンを聞いて一掃された。
新たなるマツダを追求するという開発スタッフの、そしてマツダという企業としての、「マツダらしさ」を貫こうという信念をしっかり感じ取れたからだ。
35.5kWhで航続距離256kmは、前述のようにLCAという実務的な視点だけではなく、「わたしらしく生きる」という、まっすぐ前を向いて歩もうとする人に対する、やさしさというサポートなのだと、解釈できるようになった。
そのうえで、さらに航続距離が必要な人には、電池容量を増やすのではなく、小型ロータリーエンジンを発電機として活用するレンジエクステンダーをすすめる。こちらは2022年発売予定となる。
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みんなのコメント
「らしさ」いらないから航続距離延ばした方がマツダは自動車会社として生き残れるのではないか。