EVシェア率は2年前と同等に
日本国内の最直近11月のEV販売動向が判明しました。販売台数、EVシェア率ともに前年比マイナス成長というEVシフト停滞模様を解説します(商用軽EVである日産クリッパーEVとホンダN-VAN e:の販売台数は執筆時点では判明していないため、販売台数とシェア率は微増の見込み)。
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まず、このグラフは2018年以降のBEVとPHEVの合計販売台数を月間ベースで示したものです。2024年11月の販売台数は1万504台と前年同月比でマイナス7.6%。とくに2023年12月以降12カ月連続で前年同月比マイナス成長という、EVシフト減速の流れが一過性のものではなくなっている様子が見て取れます。
次に、新車販売全体に占めるBEVとPHEVの販売台数の合計の比率を示したグラフを見てみると、直近の11月は2.9%と、前年同月に記録した2.99%と比較してもシェア率が停滞しています。
そのうえ2年前である2022年11月のEVシェア率が2.74%であったことから、じつは2年前のEVシェア率と同等水準と、EVシフトが後退状況にある様子が見て取れます。
次に、普通車セグメントの日本メーカーと輸入車メーカー、さらに軽自動車セグメントにわけて示したグラフを見てみると、白で示されている輸入EVは前年同月並みの販売台数に留まったものの、ピンクで示されている日本メーカーの普通車セグメントのBEV販売台数は889台と、前年同月比-22.7%という落ち込み具合です。
つまり、現在の日本国内のEVシフト後退のもっとも大きな要因は、日産リーフやアリア、トヨタbZ4Xのような国産の普通車セグメントの需要低下が要因であると結論づけることができます。
また、BEVの累計販売台数を年別に比較すると、2024年11カ月間において6万台弱ものBEVを発売したものの、2023年の11カ月間では8.4万台強を発売していたことから、2024年シーズンはEVシフト後退の一年となることがほぼ確定的となりました。
さらに、日本のBEV販売シェア率が世界の主要国と比較してどれほどの立ち位置であるのかを確認してみましょう。日本はデータが確定した直近の10月において1.56%という販売シェア率だったものの、最新データが判明している10月の世界全体のシェア率は16%に到達。さらに、10月の中国市場は30%に到達しています。
つまり、中国国内で売れている新車のうち10台に3台がBEVという状況です。いまだにBEVが64台に1台という日本とは別次元である様子が見て取れます。
アリアは大幅値上げが販売に影響か
それでは、この日本国内においてどのようなEVが人気であるのかを確認していきたいと思います。
まず、テスラは11月におよそ521台を販売しました。テスラジャパンがQ4で前年超えを達成するためには、12月で777台を売り捌く必要があり、2024年末の販売動向には注目です。
ちなみに、テスラ独自の急速充電ネットワークであるスーパーチャージャーは、11月末時点において累計126カ所、634基を建設。実際に123カ所が稼働中です。
また、10月中に新たに稼働した遠州森町スーパーチャージャーは、最新のV4スーパーチャージャーであり、設置台数も12基と日本最大級。とくに新東名沿いでの経路充電スポットとして充電渋滞が頻発していた浜松スーパーチャージャーに代わる重要拠点として、年末年始の帰省ラッシュにおいて、テスラオーナーが重宝することは間違いないでしょう。
次に注目していきたいのが、トヨタのEV販売動向です。トヨタは現在、トヨタbZ4X、レクサスUX300e、RZという3種類のバッテリーEVを発売中ですが、11月は107台と、前年同月比で21.9%減というマイナス成長に留まりました。10月はbZ4Xが85台、レクサスRZが29台、UX300eが0台と厳しい状況です。
また、日産アリアの販売動向について、10月は197台と、前年同月比で半減以下と落ち込んでしまっており、やはり120万円もの大幅値上げが需要に影響を与えていると推測可能でしょう。
次に注目するべきは中国BYDの存在です。BYDは11月に106台を発売したものの、8月に記録した298台以降、3カ月連続で販売台数が低下しており、失速している感は否めません。シールの1000台限定キャンペーンはいまだに継続中であり、その上でドルフィンにBaselineグレードを追加するなどによって需要を喚起しようとしているものの、12月に前年に記録した263台を超えることができるのか。2025年早々に投入予定のSea Lion 7にも要注目でしょう。
最後に気になる動向が韓国ヒョンデの存在です。11月単体で35台を売ったものの、前年同月の販売台数36台と横ばいです。果たして年度末にかけて、最新の新型IONIQ 5の存在によってどれほど販売台数を伸ばせるのかに注目でしょう。
何よりも、ヒョンデは2025年早々にもコンパクトEVのインスターを日本に導入する見込みであるものの、現状の販売体制では苦戦する可能性もあることから、やはり値段設定でインパクトを出すしかないと感じます。2025年度の補助金動向も含めて、実質で200万円台を実現することができるのかに注目していきたいと思います。
いずれにしても、この日本国内の最新EVシフト動向は前年同月と比較してもマイナス成長であり、EVシフト後退という状況が見て取れます。他方で2025年に注目するべき動向としては以下のとおりです。
・テスラが2025年早々にも発売をスタートさせる公算の「モデルYジュニパー」、さらに廉価モデルとなる「レッドウッド」
・BYDのSea Lion 7、ヒョンデ・インスター、ボルボEX90、アウディQ6 e-tron、A6 e-tron、メルセデス・ベンツの新型EQEやEQS SUVなどの輸入EV
・ホンダのN One e:とスズキのe VITARAなどの国産新型EV
これらの新型EVがどれほど日本国内のEV需要を喚起できるのかに注目です。
ちなみにホンダのN-VAN e:はすでに発売がスタートしており、10月単体で600台以上を発売していることから、このN-VAN e:の存在によって、さらにEVシフトが進むことにも期待できるでしょう。
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EV!EV!と言い続ける時代遅れのEVタイムス。