現在位置: carview! > ニュース > スポーツ > マイケル・ジョーダンが共同オーナーの23XIレーシング、”独裁”進めるNASCARを独占禁止法違反で共同提訴

ここから本文です

マイケル・ジョーダンが共同オーナーの23XIレーシング、”独裁”進めるNASCARを独占禁止法違反で共同提訴

掲載
マイケル・ジョーダンが共同オーナーの23XIレーシング、”独裁”進めるNASCARを独占禁止法違反で共同提訴

 10月2日、NASCARに参戦するフロントロウ・モータースポーツ(FRM)と23XIレーシングは、NASCARおよびそのCEOであるジム・フランスを相手取って反トラスト法(独占禁止法)違反訴訟を起こした。

 今回の共同提訴は、両チームとNASCAR首脳部との数ヵ月にわたる行き違いをエスカレートさせたものだ。

■NASCAR、大型ハリケーンの被災者支援に尽力。関係者所有のヘリコプターも大活躍

 両チームはNASCARの新しいチャーター(出走権)契約の問題点を公言しており、両チームはその署名を拒否していた。

 両チームの共同声明では、次のように主張が述べられている。

「我々はレース、競争のスリル、そして勝利への情熱を共有している」

「レーストラックの外では、我々が愛するスポーツには変革が必要だという信念を共有している。レースが繁栄し、チーム、ドライバー、スポンサー、そして最も重要なファンに利益をもたらす方法で、より競争力のある公正なスポーツになるために、我々はともにこの独占禁止法違反訴訟を起こした」

 リリースではさらに、NASCARが透明性なく運営され、競争を抑制し、「チームオーナー、ドライバー、スポンサー、パートナー、ファンを犠牲にして不当に利益を得る 」方法でスポーツをコントロールしていると非難した。1948年の創設以来、NASCARはフランス一族が完全に支配してきた。

 FRMと23XIは、NASCAR首脳陣による反競争的慣行と呼ばれるものを以下のようにリストアップしている。

・NASCARのレースを独占するレーストラックの大半を買収する
・NASCAR公認レーストラックに独占契約を課す
・ストックカーレースで唯一競合するオートモビル・レーシング・クラブ・オブ・アメリカ(ARCA)を買収
・チームが他のストックカーレースに参加できないようにする一方で、『Next Gen』(NASCAR第7世代マシン)のパーツとマシンの所有権を保持する
・各チームはNASCARが選んだ単一サプライヤーからパーツを購入することを強いられる

 現行契約ではNASCARの収入の分配についてNASCAR自身が10%、レーストラックが65%、チームが25%という配分とされているが、NASCARがレーストラックを買収し、独占化。その分NASCARの取り分が増えていくという、歪な収益分配構造となっている。

 23XIレーシングは2020年にNBAのレジェンド、マイケル・ジョーダンとデイトナ500を3度制したデニー・ハムリンによって設立され、FRMは2005年からボブ・ジェンキンスがオーナーを務めている。どちらも比較的新しいチームだと言える。

 それぞれのチームはフルタイムで2台のマシンを走らせており、フロントロウ・モータースポーツは最近、突如撤退したスチュワート・ハース・レーシングからチャーターを購入し、3台体制に拡大する計画を発表した。訴訟では、23XIレーシングも2025年に向けて3台目のチャーターを購入する意向を示していることも明かされている。

23XIとFRMの次の動きと、ジョーダンの声

 チャーターシステムは、2016年より導入されている制度であり、新しい契約は2025年から2031年までのものだ。現行チャーター契約を結んでいる15チームのうち13チームは、厳しい期限を与えられた後に新契約にサインしている。

 FRMと23XIは、統括団体としてのNASCARが建設的な関与を拒否し、両者間の協議を妨害したため、訴訟が唯一の選択肢となったと非難している。

 長いプレスリリースには今後の動きについても詳細に記されている。

「今後数日のうちに、我々は独占禁止法に関する訴訟を継続しつつ、2025年のチャーター契約のもとで来年度のレースを行なえるようにするため、仮差し止め命令を申請する」

「この仮処分申請では、NASCARとジム・フランスの両者に対し、両者の排他的慣行と、いかなる競争からも自分たちを隔離する意図に関する証拠開示を求める予定である。23XIレーシングとフロントロウ・モータースポーツは、2016年のチャーター契約のもとでチームが受けてきた反競争的な条件に対して3倍の損害賠償を求める」

■デニー・ハムリン - 23XIレーシング共同オーナー

「私の考えでは、それはとてもシンプルなことだ。周りを見渡すと、世界最高で最も競争力のあるスポーツでは、チームが繁栄すればファンも恩恵を受け、スポーツを成功させるために投資する全員がその成功を公平に分かち合うべきだと理解している。適切な改革があれば、レースでもそれを実現できるはずだ」

■マイケル・ジョーダン - 23XIレーシング共同オーナー

「私が常に熾烈な競争者であり、勝利への意志が私と23XIチーム全員を毎週サーキットに駆り立てる原動力になっていることは、誰もが知っている。私はレースというスポーツとファンの情熱を愛しているが、今日のNASCARの運営方法はチーム、ドライバー、スポンサー、ファンにとって不公平だ。今日の行動は、みんなが勝てる競争市場のために戦う意志があることを示している」

■ボブ・ジェンキンス - フロントロウ・モータースポーツ・オーナー

「私は20年間このレーシングコミュニティの一員であり、フロントロウ・モータースポーツ・チームと我々の成功をこれ以上ないほど誇りに思っている。しかし、今こそ変革のときだ。他の成功したプロスポーツリーグと同じように、チーム、ドライバー、スポンサーが長期的な企業価値を築き上げることで、我々の投資に対して報われるような、より競争力のある公平なシステムが必要だ」

■カーティス・ポーク - 23XIレーシング共同オーナー

「独裁ではなく、真のパートナーシップが我々の目標だ。2年以上にわたって、私はNASCARの中でより公平で透明性の高いシステムを支持することに専念してきた。そこでは、フランス・ファミリーと統括組織の重要性を認識しつつ、すべての利害関係者にとって最善のことを行なうべきだ。わずか数時間の予告でチームに強要された契約は、こうした目的を達成するものではない。新契約は、このスポーツにおけるチームの声をさらに疎外し、フランス・ファミリーの手中に支配権と権力を集約し、彼らだけの利益を得ようとするものだ。今日の我々の行動が、我々が愛するこの偉大なスポーツのために協力し合う未来につながることを願っている」

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油5円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

別れの言葉はなしか? ダニエル・リカルド、F1ラストレースの裏側。さようならも言えなかった理由とは
別れの言葉はなしか? ダニエル・リカルド、F1ラストレースの裏側。さようならも言えなかった理由とは
motorsport.com 日本版
ルノーのF1エンジン開発撤退に、現場スタッフが猛批判「経営陣の信頼が失われ、スポーツの歴史が損なわれる」
ルノーのF1エンジン開発撤退に、現場スタッフが猛批判「経営陣の信頼が失われ、スポーツの歴史が損なわれる」
motorsport.com 日本版
レッドブル、F1での共闘開始を前にフォードとの関係性を拡充。女性ドライバー育成プログラムのパートナー契約を延長
レッドブル、F1での共闘開始を前にフォードとの関係性を拡充。女性ドライバー育成プログラムのパートナー契約を延長
motorsport.com 日本版
WECトヨタでも活躍したニコラ・ラピエール、現役引退を発表。ヒョンデと提携するクールレーシング運営に専念
WECトヨタでも活躍したニコラ・ラピエール、現役引退を発表。ヒョンデと提携するクールレーシング運営に専念
motorsport.com 日本版
ルイ・ヴィトンやTAGホイヤーとのコラボもある!? F1、LVMHグループと10年超の大型契約締結。年間額は100億円超え?
ルイ・ヴィトンやTAGホイヤーとのコラボもある!? F1、LVMHグループと10年超の大型契約締結。年間額は100億円超え?
motorsport.com 日本版
F1ルーキースプリント、今季は実施なしの方向。短期間での準備・調整間に合わず……2025年開催に向け検討続く
F1ルーキースプリント、今季は実施なしの方向。短期間での準備・調整間に合わず……2025年開催に向け検討続く
motorsport.com 日本版
フェルスタッペンの引退示唆、話半分に聞いちゃいかん! マルコ博士が警鐘鳴らす「彼は楽しくなくなれば『止めにしよう』と言う人間だぞ?」
フェルスタッペンの引退示唆、話半分に聞いちゃいかん! マルコ博士が警鐘鳴らす「彼は楽しくなくなれば『止めにしよう』と言う人間だぞ?」
motorsport.com 日本版
2輪の新星アコスタが目指すのは、“バスケの神様”マイケル・ジョーダンの再現。新興KTMをシカゴ・ブルズにすることはできるか?
2輪の新星アコスタが目指すのは、“バスケの神様”マイケル・ジョーダンの再現。新興KTMをシカゴ・ブルズにすることはできるか?
motorsport.com 日本版
ロッシの”伝説”はまだまだ続く! 来季は活動縮小でもレースへの情熱は消えず「あと10年はクルマでレースをしたい」
ロッシの”伝説”はまだまだ続く! 来季は活動縮小でもレースへの情熱は消えず「あと10年はクルマでレースをしたい」
motorsport.com 日本版
ルノーが2025年限りでのF1パワーユニット開発終了を正式発表。メルセデスのカスタマーチーム化が濃厚
ルノーが2025年限りでのF1パワーユニット開発終了を正式発表。メルセデスのカスタマーチーム化が濃厚
motorsport.com 日本版
カリフォルニア州裁判所、シュタイナー元代表に対するハース社の訴えを退ける。書籍の”商標権”をめぐる裁判に判決
カリフォルニア州裁判所、シュタイナー元代表に対するハース社の訴えを退ける。書籍の”商標権”をめぐる裁判に判決
motorsport.com 日本版
F1トップチームは1日にしてならず。中団脱却目指すアルピーヌ新代表、巨大組織を動かすためには「忍耐が必要」
F1トップチームは1日にしてならず。中団脱却目指すアルピーヌ新代表、巨大組織を動かすためには「忍耐が必要」
motorsport.com 日本版
アストンマーティン、今や常勝軍団マクラーレンの“慎重な”アプデ計画に注目「検証しないのは愚かなこと」
アストンマーティン、今や常勝軍団マクラーレンの“慎重な”アプデ計画に注目「検証しないのは愚かなこと」
motorsport.com 日本版
【MotoGP】ヤマハのエンジンV4化計画、もし“知らなくても”クアルタラロ「契約延長していた」実際は決断前に把握
【MotoGP】ヤマハのエンジンV4化計画、もし“知らなくても”クアルタラロ「契約延長していた」実際は決断前に把握
motorsport.com 日本版
レッドブル重鎮のマルコ、6月にはリカルドに見切り? ホーナー代表は続投に尽力「私がいなかったらマシンを降りていただろう
レッドブル重鎮のマルコ、6月にはリカルドに見切り? ホーナー代表は続投に尽力「私がいなかったらマシンを降りていただろう
motorsport.com 日本版
元チーム代表シュタイナーに対するハースの訴訟は棄却される。著書における写真素材の使用は商標侵害にあたらず
元チーム代表シュタイナーに対するハースの訴訟は棄却される。著書における写真素材の使用は商標侵害にあたらず
AUTOSPORT web
フォーミュラE、公式テストで全チームが女性ドライバー起用へ。少なくとも半日の走行を義務化
フォーミュラE、公式テストで全チームが女性ドライバー起用へ。少なくとも半日の走行を義務化
motorsport.com 日本版
マクラーレンの“最新秘蔵っ子”ウゴチュクがFIA F3にステップアップ。名門プレマ「彼には非常に高い潜在能力がある」
マクラーレンの“最新秘蔵っ子”ウゴチュクがFIA F3にステップアップ。名門プレマ「彼には非常に高い潜在能力がある」
motorsport.com 日本版

みんなのコメント

この記事にはまだコメントがありません。
この記事に対するあなたの意見や感想を投稿しませんか?

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村