新型車を矢継ぎ早に国内に向けて投入している日産。特に昨年から今年にかけて元気がよくなってきた印象が強い。この復調は本物なのか? 復調が本物ならば何が引き金となったのか? 最新の日産と日産車を徹底研究しよう!
※本稿は2022年8月のものです。
文/ベストカー編集部、写真/NISAAN、ベストカー編集部 ほか、撮影/奥隅圭之
初出:『ベストカー』2022年9月26日号
この「復調」は本物なのか? 最近ちょっと上向きな感じの日産を考察する
■最新5モデルは存在感も大きい
新型フェアレディZの発表は日産ファンを色めき立たせた。現行のZ34型のプラットフォームを活用しながら見事に「新型」を作り上げたとあってはなおさらだ
今年(2022年)に入って日産が急に元気を取り戻してきた印象だ。
新型フェアレディZの発表、発売は昔からの日産ファンをワクワクさせているし、アリアやSAKURAといった電気自動車を積極的に開発、投入していることは「元気の源」としての意義は大きい。
アリアはミッドサイズSUVで搭載バッテリー容量が大きく、価格もそれなりに高価なため、「自分にはちょっと関係ないなぁ」と感じていた人も多かろうが、軽自動車のSAKURAは20kWhの小容量バッテリーに割り切ったこともあり、価格は250万円前後。
国のEV補助金が55万円、さらに都内在住だと補助金が45万円あるため、150万円程度の負担額で最新の電気自動車に乗れるとあって、8月上旬時点で累計受注は2万2000台を超え、納車は早くとも来年3月以降という状況だ。
■長い間「日本国内市場を軽視している」とされてきた日産
日産はここに至るまで20年以上、日本国内市場を軽視しているといった批判にさらされてきた。ビジネスとしては、まずは会社の経営を安定させることが大命題。
自動車の販売が低迷している日本市場にしがみつくよりも、販売拡大が期待できる北米、中国、さらにはインドやロシアなどの市場に向けた商品開発(=新型車開発)を重視することは当然だし、異論はない。
とはいえ「でも……」という思いが長年、1970年代、1980年代の日産車にワクワクしてきたオールドファンをやきもきさせてきたこともまた事実であった。
スカイラインはインフィニティQ50だし、フーガもシーマもインフィニティモデル。
しかも、国内に向けた特段の仕様変更もないし、マイナーチェンジも実施されず放置されたまま……。
2022年8月末に国内販売の終了がアナウンスされたマーチ。同様に生産終了となったキューブなどとともに「なぜ?」の声は多い
■現行型ノートで状況が一気に好転
そんな印象を大きく変えたのが現行型ノートの投入だった。
200万円を切るガソリンエンジンモデルを設定しなかったことについて、デビュー当初はベストカーでも疑問視して指摘したこともあったが、e-POWER専用車としたことで個性は際立ち、さらに実際に試乗すると出来上がったクルマの完成度の高さを実感。
エクステリアデザインもスリークで嫌味がなく、インテリアの質感も高い。「こんな日産車を待っていたんだよ!!」率直にそう思った。
最近の日産は、日本のユーザーのためにしっかりと考えて作ったということが伝わるクルマ作りをしてくれている。それは熱心なクルマ好きだけではなく、多くの一般ユーザーの心をも揺さぶっている
■日本のユーザーに向き合ったクルマづくりができている
SAKURAも同様だ。
一見デイズをEV化したんだろ? と思うのだが、よく見るとグリルやバンパーなどの樹脂パーツだけではなく、AピラーやルーフラインまでSAKURA専用設計。
ドアパネルも違っていて、手間もコストもかかっている。
でも、結局はそういうことなんだと思う。日本のユーザーのためにしっかりと考えて作りました!!
そういう開発が心を打つ。それは我々のような熱心なクルマ好きだけではなく、多くのユーザーにも響くのだ。
Zもしかり、アリアもしかり、だ。
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復調と言っていいのではないだろうか。