■カーボンにチタン、マグネシウムなど高級素材を惜しみなく使用した「NR」とは?
ホンダの「NR」は、市販車として世界初の楕円ピストン・エンジンを搭載し、カーボンファイバーやチタン、マグネシウムなど軽量素材と、ホンダの最先端技術を結集した次世代ロードスポーツバイクとして1992年に市場に投入されました。
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NRは、1978年の世界選手権ロードレースに楕円ピストン技術を採用したレースマシンNR500で挑戦を開始し、レースで蓄積した技術をもとに開発され、従来の大型バイクとは異なった独創的な考えを持つスポーツバイクとして誕生しました。
搭載されたエンジンは、楕円ピストン採用の水冷・4サイクル・V型4気筒で1気筒あたり吸気と排気バルブを各4本、計8バルブを配し、さらにチタンコンロッドと点火プラグを各2本装備しています。
楕円ピストン・エンジンの特徴は、従来の丸型ピストンに比べショートストローク化と摺動抵抗の低減による高回転化、多バルブ化(8本)による吸・排気効率の飛躍的な向上が可能となり、結果、低速域から高速域までワイドでフラットなトルク特性を発揮、幅広い回転域で力強く俊敏な応答性を実現できる画期的な技術です。
フレームは、アルミ・ツインチューブを採用し、最適なフレーム剛性を持たせると同時に軽量化も両立させ、しなやかな操縦性と優れた直進性を高次元でバランスさせています。
外観は、異形デュアルヘッドライトとカウル両サイドにプロジェクターライトを内蔵したフェアリングと燃料タンクからシート/リア部まで一体化された大型ボディカウルに、軽量・ 高剛性のカーボン素材を採用し、ボディカラーは赤色・ 高彩度塗装やチタンハードコートのウインドスクリーンを採用していました。また、NR専用部品は、車体に使用するボルト1本にまで至り採用されています。
「NR」発売以降、楕円ピストンを使用した車両の発売・発表はホンダからアナウンスされていません。将来また脚光をあびる日は来るのでしょうか。「NR」の価格は、1992年発売当時520万円でした。
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