新型ポルシェ「911」に設定された「タルガ」に小川フミオが試乗した。
タルガの歴史
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いまも変わらない魅力を持つのが、ポルシェのタルガトップだ。クーペ(メタルトップ)なみの耐候性と静粛性、それにフルオープンに迫る開放感を兼ね備えている。最新の「タルガ4」はいろいろな意味で爽快感たっぷりのモデルで、スポーツドライビングの醍醐味とは疾走感だけでないことを教えてくれる。
タルガトップとは、ルーフの上だけ外れ、ドーム型ともいうべきリアウィンドウとリアクオーターピラーは残る、ポルシェ独自のスタイルだ。1965年に登場した第1世代の911タルガは、“世界で最初の安全なオープン車”と評された。
企画の原点は、当時すでに厳しさを増しつつあった主市場である北米の安全基準をクリアすることだった。デザインをみると、911クーペをベースによくこんなスタイルを考えついたものだなぁと、私は感心してきた。その証拠に、基本デザインは、一時の中断や変更があったものの、最新モデルが引き継いでいる。
なぜタルガというのか? 911ファンのひとはよくご存知のように、当時ポルシェのマーケティング部門では、モータースポーツのイメージをもたせたかったという。そこで思いついたのが、イタリアの伝統的なレース「タルガフローリオ」のイメージを援用することだったとか。
1906年に最初のレースが、シチリアの貴族フローリオ家の後押しで始まった公道レースが「タルガフローリオ」。
1950年代までは、ブガッティやアルファロメオやフェラーリが勝利の栄冠を手にしてきたものの、1959年にポルシェが「718RSK」でいきなり優勝。その後も、数かずのレーシングモデルでもって、このレースでは向かうところ敵なしの成績を収めた歴史がある。
911、最高です
911タルガは、先述したとおり、安全なオープンモデルとして企画されただけに、レーシングモデルのような鋭さとは無縁だ。ガラス面積が多いぶん、車重もそれなりに増加している。現在のタルガ4は、911カレラ4より100kgほど重い。
レーシングモデルと比較するのは無謀かもしれない。しかし、283kW(385ps)の最高出力と450Nmを発揮する2981cc6気筒エンジンが、4つの車輪を駆動するシステムは、公道では、充分すぎるほどパワフルだ。
ひとことでいって、みごとな加速感。アクセルペダルを軽く踏みこんだだけで、ジェット機がぐんぐんと加速していくような、パワフルな内燃機関ならではの痛快な感覚で速度を上げていく。メーカー発表による静止から100km/hまでの加速タイムはわずか4.4秒。納得の加速感である。
かつての911を特徴づけたエンジン音は、欧州をはじめとする市場の騒音規制の影響で、だいぶ“丸め”られ、おだやかだ。それでも6本の気筒内での爆発が、振動とともに、ドライブしている私にビンビンと伝わってくるのは、快感を通りこして、至上の喜びとも言いたくなるほど。
911のドライブで、すばらしい点は、ステアリングだ。路面の状況を逐一、ステアリング・ホイールを握る私の手のひらに伝えてくれ、かつ、こちらの動きへの反応はするどい。
クイックなステアリングなら、他社のスポーツカーでも味わえるものの、クルマと“対話”しながら走っていられるような気にさせてくれるのは、911をおいてほかにない、と私は思っている。加速、減速、操舵といったドライバーからの入力に対しての、車両の反応速度の設定が、じつに巧妙だ。
シャシーやサスペンションアームのしなりぐあいなどは金属の特性まで調整して、911の“味”を作るのに精通しているエンジニアだからこその技、と私は聞いたこともある。いつもこの乗り味ゆえ、911って最高、と感心してしまう。
快適性の追求
911タルガ4は上記のような操縦感覚を備えつつ、オープンにしたときは、風がしっかり乗員にあたる。ウィンドシールドはけっこう高く、乗員に覆いかぶさるような設計であると思うものの、サイドウィンドウを下げて走ると、コクピットに風が容赦ないというかんじで入ってくる。
風が嫌いなひとは、サイドウィンドウを上げるといい。スパイダーと呼ばれるボディ形式では(本来フルオープンで走るものなので)サイドウィンドウを上げるのは禁じ手という意見もある。ブラウン系のベルトにブラックのシューズを合わせるようなもの、といえばいいのか。でもタルガなら、快適性の追求は許されるだろう。
フルオープンで高速道路を走行すると、サイドウィンドウを上げていても、横を高速で流れていく風がサイドウィンドウのガラスに当たって、意外なほど大きな音を立てる。私はこのクルマに乗って那須高原へ出かけたので、東北自動車では早々にクローズドにして、一般道に下りてから林道をタルガトップを開けて走った。そこでは気分最高である。
4530mmの全長と、1300mmの全高、それに対して1850mmの全幅。いまの911カレラシリーズと、全幅と全高は共通だ。私にとって、市街地ではちょっと幅がありすぎかな? と感じないでもない。
フロントで1591m、リアで1557mmのトレッドを確保して、高い操縦安定性を実現し、痛快なドライブ感覚を得るためにはしようがないのかもしれない。このボディ幅を“我慢”することへの見返りは充分にある。
価格は1760万円。問題があるとしたら、輸入台数が限られているため、稀少価値が出ている点だ。もし販売店でこのクルマを見つけることが出来たら、このうえない幸運に恵まれていると考えてもいい。お金があっても乗れない。それがいまのポルシェ911の、もうひとつの特徴になっている。
文・小川フミオ 写真・小塚大樹
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