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静かで快適「大人のフェラーリ」 550 マラネロ UK版中古車ガイド(1) フィオラノでF512 Mを凌駕

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静かで快適「大人のフェラーリ」 550 マラネロ UK版中古車ガイド(1) フィオラノでF512 Mを凌駕

F512 Mより3.5秒も速くフィオラノを周回

約20年間、ミドシップ・スーパーカーへ傾倒していた、20世紀末のフェラーリ。だが残り5年で21世紀がやって来るというタイミングで、フロントエンジンの550 マラネロを発表し、自動車ジャーナリストやブランド・ファンへ衝撃を与えた。

【画像】静かで快適な「大人のフェラーリ」 550 マラネロ 456と575 365「デイトナ」に812も 全115枚

長いフロントノーズに収まったのは、5.5LのV型12気筒。実用的なパッケージングを叶えつつ、高速域での安定性を高める空力特性も獲得していた。空気抵抗を示すCd値は、0.33に抑えられていた。

スタイリングを手掛けたのは、ピニンファリーナ社。4シーターの456 GTから影響を受けつつ、サメをイメージさせるフロントまわりや、250 GTOにも似たフロントサイドのエアアウトレット、デイトナを想起させるツイン・テールライトなどが特徴だった。

フロントエンジン・レイアウトに回来しつつ、300km/h以上での走行を許容するため、多大な努力が投じられたことは間違いない。ミドシップより、整備性も優れていた。

電子制御のアダプティブ・サスペンションは、ステアリングやスピード、ブレーキ、加速度の情報をもとに自動制御。トラクション・コントロールと相乗させることで、ミドシップ・レイアウトが強みとする鋭い操縦性を凌駕すると、フェラーリは主張した。

実際に同社のテストコース、フィオラノを攻めた550 マラネロは、テスタロッサの進化版、F512 Mより3.5秒も速く周回。V12エンジンの位置をシャシー中央へ寄せることで、50:50の理想的な重量配分を叶え、秀でた能力を獲得していた。

WSRは33台限定 バルケッタは460台

ダイナミックな造形のアルミニウム製ボディパネルは、アルミとスチールのサンドイッチ素材、フェラン材を介してスチール製シャシーへ溶接。フロントとリアのバンパーは、コンポジット素材で成形されている。

インテリアは全面レザー。スポーツシートや、カロッツェリア・スカリエッティ・コレクションといったオプションで、パーソナライズが可能だった。エアコンとパワーシート、ツイン・エアバッグ、パワーウインドウやパワーミラーは標準装備だ。

1998年に、550 マラネロはアメリカ・オハイオ州で最高速記録を3本も樹立。訴求力を一層高めることに繋がった。またこれを記念し、ワールド・スピード・レコード(WSR)という特別仕様をリリース。生産数は33台に限定された。

2000年後半には、ピニンファリーナ社によるオープンボディをまとった550 バルケッタが登場。フロントガラスは僅かに高さが抑えられていたが、走行中であれば雨天でも車内の快適性が保たれるよう、設計されていた。

バルケッタでは、ヘルメットもペアで装備。ソフトトップは備わるが、もっぱら停車時のみの利用が想定され、むしろ110km/h以上での走行時には適さないと主張されたほど。生産数は460台で、現在のコレクターからの注目度はクーペ以上に高い。

2004年に自動車雑誌の「エボ」は、直近10年間における最高のドライバーズカーとして550 マラネロを選出。「これほど実用性に優れ、能力に長けたスーパーカーは過去に存在しなかった」と絶賛している。

オーナーの意見を聞いてみる

フェラーリ・マニアのナイジェル・ケリー氏は、自動車雑誌の記事に影響を受け、550 マラネロへ興味を抱いたという。「11年前に、専門ショップで328の整備を依頼した時に、このクルマが売られていたんです」。と当時を振り返る。

「多くがレッドなのに、これはイエロー。自分が購入しなくては、と思ったんですよ。普段乗っている、フェラーリ・カリフォルニア Tもイエローです。550はとても気に入っています。運転すればするほど、好きになる感じですね」

「英国からイタリアまで、550を走らせてフェラーリの工場を訪ねた時は、大歓迎を受けました。これは、盛大に雄叫びをあげるV12フェラーリではありません。静かで快適な、大人のフェラーリです。でも、しっかり8000rpmまで回りますよ」

「購入時の走行距離は3万2000km程度で、分厚いファイルに請求書の束がとじてありました。9000ポンドを投じて、クラシケも取得しています」

「ベルトやプーリー、ホース類、燃料ポンプなど、多くは交換済み。エンジン上部が不調になり、ヘッドを1度降ろしていますが、それ以外の信頼性は高く快調です」

英国で掘り出し物を発見

フェラーリ550 マラネロ(英国仕様)

登録:1998年式 走行:6万6800km  価格:9万4990ポンド(約1795万円)

ブルー・ポッツィに塗られた、珍しい550 マラネロ。ボルドー・レザーとロッソ・カーペットで内装は仕立てられ、ボディとのコーディネートが華やか。ダッシュボード上部とステアリングホイール、ピラーは、ブルーからブラックに変更されている。

整備記録はしっかり残り、キーは3本付き、イモビライザーも備わる。エンジンルーム内もキレイで、状態はかなり良さそうだ。

フェラーリ550 マラネロ(欧州仕様)

登録:1997年式 走行:12万8996km 価格:15万ユーロ(約2460万円)

ロッソ・コルサのボディにクレーマ・レザーのインテリアが組み合わされ、フェンダー上のエンブレムが輝かしい1台。ドイツ人が初代オーナーで、2005年以降は6名のイタリア人が乗り継いできたという。

ホイールにはガリキズがあり、テールパイプは変色している。クロームメッキのシフトノブは、ヒビ割れしている。エンジンルーム内も、もう少し手を加える余地はあるだろう。だが2015年に、フェラーリのマラネロ工場で重整備を受けている。

この続きは、フェラーリ550 マラネロ UK版中古車ガイド(2)にて。

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みんなのコメント

4件
  • f(ふ
    発売された当時、御殿場でフェラーリ美術館などをやっておられた日本有数のフェラリスタである松田さんにフィオラノパッケージの550と512TRとF512Mなどを一気乗りさせてもらった。TRやMはミッドシップなのとエンジン位置が高いのと重さで楽しさは別として扱うのに気を使ったが550はFRだから扱い易くまたフィオラノパッケージのハンドリングはフロントの操舵感がダルさがなく一発で決まるものでコースでも速くは走らせられたと思うし気を使わず楽に乗れる車だった。
  • 000
    ヨダレ垂れそうなぐらいの笑顔のフェラーリなんて、あったんだね〜。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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