発表された4つのバリエーションのうち、「クロスオーバー」が発売となった、トヨタ新型「クラウン」。残るは「セダン」「スポーツ」「エステート」の3種だが、クルマ好きにとって気になるのは、やはり「スポーツ」だろう。トヨタは、クラウンスポーツについて、「エモーショナルな雰囲気を持ち、運転しやすいパッケージとともにスポーティな走りをお楽しみいただける」モデルだと説明しているが、現時点その詳細な内容は明らかになっていない。
はたして、クラウンスポーツはどのような姿で登場するのか。発売となったクラウンクロスオーバーの姿や、明らかになっているクラウンスポーツのデザイン画像から推測しながら、そのライバルとなるモデルについても、考えていこう。
あぁー待ち遠しい!! 2023年登場!! 新型クラウンスポーツの実力と強力ライバルは…ポルシェ!!
文:立花義人、エムスリープロダクション
写真:TOYOYA、BMW
新型RX F SPORT搭載の「DIRECT 4」の搭載も期待できる!!
2022年7月に開催された新型クラウンの発表会において、赤のボディカラーで登場し、ひと際目を惹く存在だった、新型クラウンスポーツ。全体のスタイリングは前後オーバーハングの短いスポーティなクロスオーバーSUVであるが、塊感のあるボディに流麗なルーフライン、薄型のヘッドランプ、立体的な造形の前後バンパー、ブラックガーニッシュで囲んだリアコンビネーションランプなど、走りの良さを予感させるデザインに仕上がっている。
特に前席ドアの中央下部あたりから後方のドア、フェンダーアーチの手前あたりで跳ね上がるようなデザインのベルトラインが印象的で、リアフェンダーがボリュームたっぷりに張り出しているように見え、力強い走りをイメージさせてくれる。
このデザイン手法でイメージするのは、2022年6月に初公開されたレクサスの新型「RX」だ。やはりクラウンスポーツのように、リアに向かって跳ね上がるようなベルトラインが特徴となっている。この造形についてRXでは、「eAxleが生み出すトラクションの力強さを表現」としている。「eAxle」とはハイブリッドモデルのリアに搭載される高出力モーターのことで、新型クラウンにも採用されている。
クラウンスポーツのデザインは、eAxleによって、十分納得のいくスポーティなハンドリングを提供することを示唆しているように見えることから、新型RXに設定された、走る楽しさを追求したパフォーマンスモデル「F SPORT Performance」に搭載される四輪駆動制御「DIRECT 4」の搭載も期待できるだろう。DIRECT4は前後輪のグリップ力を最大限に活かし、車両姿勢のコントロールも行いながら、ダイレクトかつトルクフルで気持ちのいい走りを実現するシステムだ。電動化技術を最大限に駆使し、「スポーツ」の名に恥じない仕様で登場してくれるはずだ。
パワーユニットは未発表だが、クラウンクロスオーバーと同様、デュアルブーストハイブリッドと従来のTHS-IIとなるのが濃厚とみている。また、フロントグリルの開口部の形状から、バッテリーEVも用意されるだろう(エステートもおそらくバッテリーEVがある)。
新型クラウンスポーツ。前席ドフェンダーアーチの手前あたりで跳ね上がるようなデザインのベルトラインが印象的で、ボリュームたっぷりに張り出しているように見えるリアフェンダーが、力強い走りをイメージさせてくれる
ガチンコライバルは、「マカン」「X4」「GLCクーペ」あたりか
クラウンスポーツのボディサイズは、全長4710mm×全幅1880mm×全高1560mm、ホイールベースは2770mmとのことだ(開発目標値)。トヨタ「ハリアー」と同じぐらいのサイズ感だが、全高は100mmも低い。クラウンスポーツのライバルとなるモデルは、単なるクロスオーバーSUVではなく、「高級スポーツクーペSUV」という視点で探すべきだろう。
そうなると、国産車では、トヨタ「ハリアー」や、レクサス「NX」や「RX」などの身内以外は、比較検討できるモデルを挙げるのが難しい。マツダ「CX-60」が相当しそうに思えるものの、ターゲットも価格レンジも異なるし、高級かといわれるとそういうわけでもないから違う。
「高級なスポーツSUVモデル」となると、マセラティ「レヴァンテ」、ポルシェ「カイエンクーペ」、ランボルギーニ「ウルス」、アストンマーティン「DBX」、このほど発表されたフェラーリ「プロサングエ」などが挙げられるが、どれも「スーパー」が付くような性能と価格であり、クラウンが辿ってきた歴史を考慮すると、そのままぶつけるのはいささか無理があるように感じる。
サイズや価格帯から考慮すると、最も近いライバルと言えるのは、ポルシェ「マカン」、BMX「X4」、メルセデス「GLCクーペ」あたりになるだろうか。伝統的なセダン、クーペモデルから派生したSUV、そしてそこからさらに派生したクーペSUVという成り立ちがあるから、伝統を重んじながらも、時代の多様性を受けてラインアップに加えられた、という意味ではクラウンスポーツに近いといえる。ただこれらも700万円~1000万円と、クラウンスポーツの価格はわかっていないものの、クラウンクロスオーバー(435~640万円)の価格を考えたとき、ずっと高い。
また、これら欧州クーペSUVたちは、ブランドごとに異なる「魅力」が備わっており、どれを選んでも高い満足感が得られるモデルたちばかりだ。こうしたクルマを検討するユーザーの目は相当に肥えており、内装のデザインや質感に対する感度が異常に高い。クラウンスポーツが、高級感や走りの質感という面で、十分なレベルに仕上げていくのは当然だろうが、そう簡単に追いつける相手ではなく、ライバルの中で大きな存在感を示すためにも、クラウンシリーズは、さらなるつくりこみが必要と考えられる。
BMW X4。伝統を重んじながらも時代のニーズに応えた高級クーペSUVだ
◆ ◆ ◆
クラウンスポーツは2023年登場予定とのこと。デザインは素直にカッコいいし、高級モデルとしての走りや装備も期待できる。クラウンの持つ伝統と歴史の重みを「スポーツ」はどのように解釈し、実現させてくるのか!?? 登場が待ち遠しい。
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