S660生産終了 2021年3月正式発表
text:Kumiko Kato(加藤久美子)
【画像】レアな風景に? 日本を走る新車のホンダS660【3モデル】 全107枚
editor:Taro Ueno(上野太朗)
2021年3月、ホンダの軽スポーツカー「S660」が1年後の2022年3月に生産終了することが発表された。
生産終了まではまだ1年近くあるものの、発表直後から注文が殺到し3月30日には「完売」となってしまった。もう今は、新車のS660をディーラーで購入することはできない状況だ。
同時に、にわかに騒がしくなっているのが中古車相場、業者オークションでの価格である。
予想通り、いや予想以上の勢いでS660の価格が高騰しつつある。
大手中古車雑誌のサイトでも検索ワードの1位が「S660中古」となっており、その人気がうかがえる。
北関東のとある中古車業者も驚きを隠せない。
「人気があるのは圧倒的にMT車です。ATはまだそこまでという感じですが、MT車人気につられて価格が上がり始めています」
「2月初めの頃は今回より条件のよい走行8000kmで評価点5のS660(X車)が150万円以下で落札されていました」
「それが、3か月後の5月初旬では、X車に比べて走行距離が3倍以上長く、また評価点も低いS660(Y車)がなんと200万円超で落札されました。これは業者間でも衝撃でしたね」
「おそらくX車が今、オークションに出品されれば300万円近くになる可能性もありますね」
「またホンダのコンプリートカーであるモデューロX版はさらに人気があります。H30年発売のモデューロXに至っては今年4月以降、中古車店の店頭から消えました。中古車雑誌にもほとんど出ていません」
「また、最後の特別仕様車『S660モデューロXバージョンZ』(2021年3月発売)も完売していますが、315万超の新車価格がどこまで上がっていくのが怖いくらいです」
「業者オークションに出る前に、海外に送られる可能性もありますね」
また、ホンダ車を専門に扱う中古車業者もこの急展開に戸惑いを見せている。
「昨年秋頃から、S660(MT車)の応札価格はじわじわと上がってきていました。そして2月初旬までは例えばスタート価格100万円だとしたら応札価格は150万円など、およそ1.5倍の価格までセリがおこなわれていたのです」
それが、生産終了を公式にホンダから発表された今年3月以降、状況が一転したという。
「S660の応札価格が急激に高騰しており、スタート金額→応札額が2.5~3倍になりつつあるのです」
「例えば80万円でセリがスタートしたS660が2月初旬なら120万円で応札となっていたのが、今後は200万円超での応札が当たり前になるかもしれませんね」
それだけではない。出品台数にも大きな変化が見え始めているという。
オークションへの出品台数が激減
業者オークションでS660が軒並み高値で応札となっているわけだが、出品台数に大きな変化が見え始めているという。
「わたしが参加している業者オークションでは、そもそも出品台数からして激減しているんです。2月頃までは週1回のオークションで毎回10~15台のS660が出品されていましたが、今は多くても5台程度。少ないときには2台という日もあります。日本全国でこの傾向はあると聞いていて、S660の奪い合いが始まっている印象ですね」(北関東の業者)
オークションへの出品台数が激減……これはどういうことだろうか?
それには、これら高額なS660の需要がどこにあるのかを考えてみると答えが見つかりそうだ。
高額なホンダS660の需要 海外?
もちろん、高額なホンダS660の日本国内での需要は一定数あるだろう。
しかし、昨今、高値で取引されているS660に関しては日本国内ではなく、海外向けではないか?
日本のオークションに出品される間もなく、中古輸出専門のブローカ―などを通して海外に持ち出されている可能性もある。
とくにホンダ製スポーツカーの人気が非常に高い香港への輸出には要注目。
香港では「日本製のスポーツカー=HONDA」といわれるほどホンダ車の人気が高い。
昨年11月に発売が開始されたホンダ・シビック・タイプRリミテッドエディションなど、香港では正規販売がされなかった限定車においては、日本やイギリスから高値で仕入れられて香港で販売されている状況だ。
(現在、4月上旬よりは業者オークションでの相場は落ち着いている)
小さくても優秀な軽 海外でも高評価
実際、ホンダS660に関して言えば、香港のホンダディーラーにて正規販売はされなかった。
にもかかわらず、S660の愛好家で作る「S660 Hong Kong」に代表されるオーナーズクラブも存在し活動も盛んだ。
香港を中心とするアジア圏(左側通行)に輸出する日本の業者いわく、「日本での値段が4月半ば以降、非常に高額になっていますが、海外(香港を中心としたアジア圏左側通行の国)の客は金に糸目をつけない富裕層ばかりです」と言う。
「人気なのはS660のマニュアル車で、わたしが取引をしている香港の中古車店には、在庫がない状態が続いており、日本からの入荷を待っています」
「色の希望は白か赤が多いですが、実際、ボディカラーの希望など聞いていられない状況です。まあ、リッチな人たちですから、色なんて塗り替えてしまえばいいという感じです」
同じ左側通行の国としてイギリスでの人気も高まりつつあるという。そもそも軽自動車じたい、ほとんど海外輸出がおこなわれていない。
それゆえ、海外の日本車ファンにとっては、「軽自動車はミステリアスなクルマ」「自分の国では売っていない希少性が魅力!」「小さいのにおもしろい。マニュアル車でスポーツ走行ができる日本の軽はすごい!」などなど、大人気となっているのだ。
また、「右ハンドルしかないなら、(25年ルールが適用されて初めて右ハンドル車の登録が認められる)アメリカにS660が入ってくるのはまだまだ当分先だね」と残念がるアメリカのファンもいるかもしれないが、25年経たずとも輸入方法はある。
「Show or Display」という輸入方法だ。
「Show or Display」には年間走行距離や走行ルートに制限があるものの、「歴史的かつ技術的な価値があるクルマ」であると米国政府機関が認めれば、25年経たない右ハンドル車であっても輸入が認められる可能性があるのだ。
オープンカー人気がそもそも高いアメリカである。ミドシップ&MT車でスポーツ走行を堪能できるクルマであり、小さくても良く考えられたエモーショナルなデザインを持つS660は北米でも人気となるだろう。
ミステリアスな日本の「Kei CAR」はJDMファンにはたまらない憧れの存在なのだ。
ホンダS660の高騰の理由がもう1つありそうだ。
もう1つ、ホンダS660の高騰理由
2021年4月23日。ホンダの三部敏宏社長は就任会見にて世界を驚かせる発言をした。
「グローバルで販売する新車を2040年までにすべて電気自動車(EV)と燃料電池車(FCV)にする」というものだ。ハイブリッドやPHEVすら含まない、「EVとFCVだけ」である。
これはつまり、この先、ホンダからはS660のようなクルマ(ガソリンエンジンで走る2座オープンカー)など、絶対に出て来ることはないことを示すだろう。
手に入れたければ、早急に現在日本にあるS660を入手するしか方法はないことになる。
ホンダの「2040年全車完全電動化」宣言も、S660の価格高騰を大きく後押ししていることは間違いないだろう。
「S660は将来的に値上がりするから今のうちに買っておいた方が良い」という段階ではなく、すでに生産終了10か月前で新車が買えなくなっている現在、中古車、新古車価格の高騰は始まっていると言えよう。
右ハンドル車が登録できる国には限りがあるが、S660の輸入を心待ちにしている富裕層がたくさんの香港では、「いくらでもいいからS660を手に入れたい!」という香港人も大勢いる。
また、基本は右側通行ながら、右ハンドル車の登録が認められている韓国でもS660人気はじわじわ高まっている。
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みんなのコメント
いつも無い物ねだり。そんなに欲しくないくせに。