スポーツ・エヴォリューションは国内外のマーケットでも格別
ヨーロッパでもっとも格式が高いとされるクラシックカー・コンクール「コンコルソ・デレガンツァ・ヴィラ・デステ」に付随して開催される、RMサザビーズの「Villa Erba」オークションは、近年ではコンコルソ・ヴィラ・デステの公式オークションの地位を占めている。今年は「The M Power Collection」と銘打ち、このイベントの主催社でもあるBMWの名車たち、ことに近現代の「M」モデルたちが多数出品されることになった。今回はそこで目玉商品となった1台。歴代「M3」の中でも最も人気の高いE30系のさらに特別なモデル「M3スポーツ・エヴォリューション」のプロフィールと、その競売結果についてふりかえってみよう。
わずか138台のみのBMW「M3 GTS」の現在の価格は? 新車価格を大きく上回る2700万円超えで落札!
グループA規約のために開発された、特別なM3とは?
BMWの歴史的傑作、元祖M3が初めてその姿を現したのは1985年のこと。翌年3月には、旧ETC(欧州ツーリングカー選手権)や独DTMシリーズのホモロゲーションに必要な5000台の生産が、本格的に開始されることになった。
ベースとなったE30系3シリーズに似てはいるものの、ほとんどのボディパネル、ブレーキシステム、心臓部とされた2302ccの4気筒DOHC16バルブ「S14」型エンジンなど、多くのコンポーネントはBMW「M」社がM3独自に開発したもの。
翌1987年シーズンに向けてFIAグループAホモロゲーションを獲得し、生来の目的たるDTMをはじめとするサーキットレースや、同じくグループAが適用されたラリー競技でも輝かしい戦果を収めてゆく。
しかし、レースの世界ではつねにアップデートが求められること、また、シーズン毎にレギュレーションが改定されるのが当たり前のこととされており、グループAでもサーキットレース用の「スポーツ・エヴォリューション(ES)」規約が施行。500台(1992年以降は250台)以上の追加生産が必要とされ、それに対応したベース車両、いわゆるエヴォリューションモデルが求められてゆくことになる。
そこでBMWでも、年毎に変化するレース規定に合わせて設定されたホモロゲート用市販車をシーズンごとに限定生産した。まず1987年に発売された「M3エヴォリューション」は、専用の大型フロントスポイラー、リアウイング下にはリップスポイラーを装着。エンジンにも改良が施され、210psを発生した。続いて88年シーズン用には「エヴォリューションII」が登場。220psまでパワーアップを果たし、ヘッドカバーは白をベースに3色のMストライプを配した結晶塗装が施された。
そして「M3スポーツ・エヴォリューション」は、これまでFIAグループA「ディヴィジョン2(1601cc~2500cc)」の上限には余裕のあったエンジン排気量を2467ccに拡大。そのかたわら、特殊な薄板ガラスをはじめとする軽量コンポーネントの採用により1200kgまで軽量化を果たした結果、0-100km/h加速6.5秒、最高速度は248km/hをマークする究極のE30系M3となったのだ。
3000万円を大幅に超える、記録的ハンマープライスの理由は?
BMW M3スポーツ・エヴォリューションの生産台数については、規定台数の500台ほか諸説あるというが、RMサザビーズ社のカタログでは1989年12月から1990年3月にかけて600台が生産されたという説をとっている。
今回「The M Power Collection」からRMサザビーズ「Villa Erba」オークションに出品された個体は、ミュンヘン郊外のBMW M部門ガルヒンク・ファクトリーから1990年1月25日にラインオフ。フランクフルト・アム・マインの「Helm Glöckler」社を介して納車され、1990年7月18日に引き渡し検査および登録が行われたという。
約2000kmの初テスト走行はその1週間後に行われ、その後32年間で記録簿には14回の整備スタンプが押されてきた。
そして、2020年12月2日に「The M Power Collection」の1台として登録されるまでは、DTMで有名な「シュミット・モータースポーツ・テクニック」のシュミット・ファミリーのもと、その生涯の大半を過ごしたことが判明している。
M3スポーツ・エヴォリューションではブラックが比較的多数を占めていた中、この個体のような「Brillantrot(ブリリアント・レッド)」のボディカラーに「アンスラサイト」のインテリアを組み合わせ、エレクトロニック・ダンパーコントロールを装備した車両は、ドイツ本国でもわずか8台のみが登録されたに過ぎないとのことである。
また、この個体にはエアコンディショナーに電動サンルーフなど、当時人気の高かったオプションを装備し、現時点においてもサービスブックとマニュアルが付属されていた。
1980~90年代の「ヤングタイマー」人気に沸く近年のクラシックカー/コレクターズカー国際市場においても、E30系M3はスター的な人気モデル。スタンダード版でも1000万円超えは当たり前となっている。さらに「役モノ」となるエヴォリューション3モデルには2倍以上の高値がつくが、さらにスポーツ・エヴォリューションは国内外のマーケットでも格別とされているようだ。
くわえて、ヴィラ・デステのコンクール本選や、ヴィラ・エルバのコンクール一般公開会場では、主催母体でもあるBMWの素晴らしいクラシックモデルたちが、主役ないしはゲストとして登場することに影響を受け、隣接するオークション会場もBMWに対して購買意欲が高まりそうなことから、2023年5月20日の競売はなかなか白熱するかと思われていたが、その予想はみごとに的中したといえよう。
終わってみれば21万2750ユーロ、現在の日本円に換算すれば約3260万円という、驚きの高値で落札されることになったのである。
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みんなのコメント
E36 M3がまだ現役の頃だったけど。
S13やS14、EF EG EKのシビックもいたな。
良い時代であった。