ニューモデルラッシュが続く今年のフォルクスワーゲン・ラインナップのなかで、見逃せないニュースは大本命たるフルモデルチェンジ版ゴルフの導入だろう。本国での発表からおよそ1年半を経ての登場ゆえラインナップも充実しつつあり、ハッチバックに続いてワゴンボディのヴァリアントも上陸した。今回はその2モデルの試乗記をお届けする。
エンジンで異なるサスペンション形式
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見たことのない景色に出合ってみたい。そこまで行かなくとも、ちょっと気分を変えてみたいと思うことは誰しもあるだろう。ならば、少し“冒険”してみてはいかがだろうか。
いつもは通らない道を辿ってみたり、普段は選ばないような色のシャツを着てみたりすれば、いつもとは異なる風景や自分に出合えるはずである。
それはクルマ選びにも当てはまる。たとえば国産の王道セダンをずっと乗り継いできた人がいたとしよう。それはある種、オーナーの誠実さの現れともいえるが、同じカーライフを送るなら、定番と呼ばれる輸入車を選んでみてもかなり新鮮な空気が味わえるはずだ。そこでお勧めしたいのが、新しいフォルクスワーゲン・ゴルフ・シリーズである。
今年から日本に導入された新型ゴルフは、ハッチバックとワゴン(ヴァリアント)の2種類が用意される。いずれも“MQB evo”と呼ばれる新しい車体をベースに仕立てられているのがトピックで、加えてフォルクスワーゲンでは初となる48Vマイルドハイブリッドシステムの採用と、機能全般におけるデジタル化も注目のポイントだ。
ハッチバックのボディは、先代と比べて全長が30mm伸びているものの、幅は狭くなり高さも低められた。肥大化の一途を辿る現代車のなかにあって、安全要件や居住性をクリアしながらコンパクトになったことは、フォルクスワーゲンの英断といえるだろう。
エンジンは1L3気筒ターボと1.5L4気筒ターボの2種を設定。排気量の違いとともにリアサスペンションの形式が異なる点も見逃せない。1Lはこのクラスでの一般的なトレーリングアーム形式を採り、1.5Lは4リンクが奢られる。仕様違いはワゴンでも同様である。
新たな境地に入った爽快感
そんな新しいゴルフを試した。まずは基本とも言えるハッチバックの1L3気筒ターボ“アクティブ”グレードだ。新型では基本デザインを踏襲しながら切れ長のLEDヘッドライトになり、表情がかなりクールになった。室内では物理スイッチが最小限に留められ、シフトレバーさえも指先で操作する小型のロッカータイプとなっていて、運転席まわりが非常にすっきりとした。エアコンやオーディオの操作がタッチパネルに集約されたのは、フォルクスワーゲンが言うデジタル化の一端である。
Dレンジを選択して走り出してみると、ゴルフ・アクティブは1Lとは思えないほど力強く駆け出してくれた。それはなにより48Vバッテリーを用いたBSG(ベルト・スターター・ジェネレーター)を組み合わせたマイルドハイブリッド仕様となっている点が効いている。たとえばトヨタ・プリウスのような、モーターのみでの走行も可能ないわゆるストロングハイブリッドと比べると、BSGはある意味簡易版と言えるものの、発進時にはモーターがしっかりと加速をサポートしてくれる。モーターアシストは走行状況に応じて適切に働いてくれるから、どんなシーンでも痛痒を覚えることはない。それでいて今回のような山岳路を含んだ走行でも、特に意識せずともオンボード燃費は15km/L前後を保っていたから、燃費にもしっかり効いている。そんなパフォーマンスを目の当たりにすると、ひと昔前のように排気量が大きいクルマが偉い、というヒエラルキーは完全に過去のものとなったことを実感する。
新型ゴルフのハンドリングに尖ったところはなく、運転手の意志に忠実に動いてくれるのが何より爽快だ。乗り心地はあとで試した1.5Lモデルと比較してもトーションビームの1Lモデルが劣っているようなところはなく、優しい乗り味を伝え続けてくれる。そんな軽快なフットワークは歴代ゴルフのなかでも一歩抜きん出ているように感じた。フォルクスワーゲンらしい折り目正しさを保ちながら堅苦しさはない。ストレッチの効いたジャージ素材のセットアップで出掛けるような、スマートさが新しいゴルフにはある。
もう一歩踏み込むならヴァリアント
さらに気分を変えてみたいと思うなら、ワゴン・ボディのヴァリアントというチョイスもある。むしろ、私は積極的にこちらを推したい。というのはヴァリアントのほうがさらに乗り心地が磨かれているからだ。ヴァリアントはハッチバックよりもホイールベースが50mm延長されていることもあって、直進性が高く乗り心地が上質。これならばロングツーリングのパートナーとしても最適だし、進化したADAS(先進運転支援システム)の恩恵にも十二分に浴せるだろう。加えて後席の足元が広いため居住性が高く、荷物もたくさん積めるからオーナーの行動範囲はさらに広がる。
ハッチバックのお手本という矜持を示しつつも、そこに踏みとどまらずにチャレンジするからこそ、ゴルフはカテゴリーのトップランナーで居続けられるのだろう。誰よりも先に一歩を踏み出しているそんなゴルフとなら、いつもと同じ景色がひと味もふた味も違って見えるのは間違いない。
空力特性も見直されエアロダイナミクスが向上した新型のエクステリア。LEDを用いた薄型のヘッドライトが特徴的な表情を形作っている。
コクピットまわりのスイッチは必要最小限に留められ、10インチタッチスクリーンに機能を集約。エアコン操作はスクリーン直下のスライダーで行う。
平板に見えるがクッション性が高く包み込むようなかけ心地を提供してくれるフロントシート。細かくポジション調整ができるのはゴルフの良き伝統。
リアシートは大人でも十分余裕を持って腰掛けられる。ワゴンはホイールベースが延長されており、足元スペースはハッチバックよりも40mm近く広い。
ハッチバックの荷室容量は380L(最大1237L)を確保。これでも十分だが、ワゴンはさらに広く通常で611L、最大で1642Lまで拡大できる。
ワゴンのリアエンドはこれまでよりもかなり傾斜がつけられ、スタイリッシュになった。ルーフレールが備わるぶん、全高はハッチバックよりは10mm高い。
スペック
モデル名:フォルクスワーゲン・ゴルフ eTSI アクティブ
価格:¥3,125,000(税込み)
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,295×1,790×1,475mm
車重:1,310kg
駆動方式:FWD
トランスミッション:7速AT
エンジン:直列3気筒ターボ 999cc
最高出力:81kW(110PS)/5,500rpm
最大トルク:200Nm(20.4kgm)/1,500~3,500rpm
モデル名:フォルクスワーゲン・ゴルフ・ヴァリアント eTSI アクティブ
価格:3,265,000円(税込み)
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,640×1,790×1,485mm
車重:1,360kg
駆動方式:FWD
トランスミッション:7速AT
エンジン:直列3気筒ターボ 999cc
最高出力:81kW(110PS)/5,500rpm
最大トルク:200Nm(20.4kgm)/2,000~3,000rpm
問い合わせ先:フォルクスワーゲン 0120-993-199
TEXT:桐畑恒治(AQ編集部)
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みんなのコメント
やっぱベンベーサイコーッ!