■トヨタ新型「グランビア」を中国市場に投入へ
トヨタが「グランビア」の名前を冠する新型モデルを中国へ投入することが中国政府機関への届出情報からわかりました。
高級ミニバンとしても知られる「アルファード」よりも大きなボディサイズを持つ新型グランビアとはどのようなモデルなのでしょうか。
【画像】これが新型「グランビア」だ! リアエンブレムがカッコイイ! 実車の写真を見る!(37枚)
この情報が判明したのは中華人民共和国工業情報化部(通称:工信部)のサイトからです。
工信部は日本でいうところの経済産業省や総務省の業務を扱う機関となり、中国では自動車メーカーが新型モデルを正式発表する前に、その情報を工信部に届け出る必要があります。
そのため、工信部が掲載する情報を元に、これからどのようなクルマが発表されるのかが事前にわかるシステムとなっています。
グランビアといえば、日本では1995年から2002年まで販売されていたトヨタのワンボックスカーとしても知られています。
また、現在では海外で展開される「ハイエース(H300系)」をベースにした高級ミニバンモデル「グランエース」(日本名)のオセアニア地域や中東地域、ベトナム、台湾向けの名称としてグランビアが使用されています。
これらに加え、今回は大型ミニバン「シエナ」の姉妹車としてグランビアが中国で誕生することになります。
シエナはアメリカをはじめ、カナダや韓国、台湾で展開されているトヨタの海外専売車、今までは一貫してアメリカで生産されてきましたが、2021年11月から中国での販売が始まったことに伴い、中国国内での生産がスタートしたことで話題となりました。
中国におけるシエナはトヨタと広州汽車の合弁会社「広汽トヨタ」が生産・販売。それに対する姉妹車のグランビアは第一汽車との合弁会社「一汽トヨタ」が生産・販売をおこないます。
日本の自動車メーカーが中国では合弁会社をふたつ以上有する場合は、それぞれの合弁会社から同じ車種を、デザインが異なる姉妹車としてリリースする傾向にあります。
例えばトヨタは、「カローラ/レビン」、「アリオン/レビンGT」、「イゾア/C-HR」、「カローラクロス/フロントランダー」、「RAV4/ワイルドランダー」、「ハリアー/ヴェンザ」、「クラウンクルーガー/ハイランダー」、「クラウンヴェルファイア/アルファード」などを、それぞれ一汽トヨタ/広汽トヨタで展開しています。
グランビアに関する詳細なスペックは工信部に届出された情報や写真からわかります。
大まかなデザインは既存のシエナと同一ですが、シエナはアメリカ向けシエナの「LE」や「XLE」グレードと同様の高級感あるフロントマスクなのに対し、グランビアは「XSE」グレードが採用する黒のメッシュグリルを基調としたスポーティな顔立ちです。
リアに目を向ければ、シエナにはない「GRANVIA」エンブレム、一汽トヨタのエンブレム、そして北米向けXSEと同様のスポーツリアバンパーが目立ちます。
ボディサイズは全長5175mm×全幅1995mm×全高1765mm-1785mmとなっており、基本的にはシエナと同一です。
また、パワートレインに関してもシエナと同じで、2.5リッター直列4気筒エンジン(A25A-FXS型)を搭載するハイブリッドのみとなっています。
ちなみ、届出されているエンジンの名称は「A25H」としていますが、これは天津一汽トヨタが製造するA25A-FXSのバリエーションを区別するための独自の名称です。
これ以外にも、A25Aは日本製ガソリン仕様、A25Bは日本製ハイブリッド仕様、A25Cは広汽トヨタ製ガソリン仕様、A25Dは広汽トヨタ製ハイブリッド仕様、A25Fは長春一汽トヨタ製ハイブリッド仕様と、中国独自の識別コードが割り振られています。
■北米や日本とは違う中国市場とは
世界的に見ると、シエナが販売されていない日本や東南アジアなどの市場では「アルファード」や「ヴェルファイア」、一方でその2モデルが販売されていない北米や韓国ではシエナが販売されています。
そのため、すでにアルファード、ヴェルファイア、そしてシエナが展開されている中国市場はかなり特徴的なものとなっています。
そこにシエナの姉妹車としてグランビアが投入されるので、大型ミニバン市場はさらに活発化することが期待されるでしょう。
工信部に情報が載るということは、そのクルマが正式に発表されるまで間もないことを示しています。
筆者(中国車研究家 加藤ヒロト)の考えでは、2022年4月に開催される北京モーターショーで何らかの情報が明らかになるのではないかと予想します。
トヨタは中国市場でアルファードとヴェルファイア、シエナを展開しており、それにグランビアが加わる形になります。
昨今加熱している大型ミニバン市場向けに一汽トヨタからの選択肢を用意することで、消費者に向けてさらなる提案をおこなえるような体制が構築されるようです。
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