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いまやミニ「1275GT」が300万円オーバーに! かつての不人気車はビミョーなスタイリングと台数の少なさから価格上昇中です

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いまやミニ「1275GT」が300万円オーバーに! かつての不人気車はビミョーなスタイリングと台数の少なさから価格上昇中です

希少価値がグングンと高まったミニ1275GT

グッドウッド・サーキットにて開催されるエクスクルーシヴなレースイベント「グッドウッド・メンバーズミーティング」の公式オークションとして行われた名門「ボナムズ」社のオークションでは、世界最上級のエンスー大国であるイギリス発信の国際オークションらしく、この国ならではのレア車にも遭遇できることもあります。今回は2024年4月14日に開催されたオークションに出品された「ミニ1275GT」。かつては不人気車と呼ばれたモデルが、時を経ていかなる評価を受けるのか? そのストーリーと、注目のオークション結果についてお伝えします。

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普通を目指したクラシック・ミニとは?

1950~60年代に英国最大の自動車メーカーグループの座にあった「BMC」は、1970年代を迎えようとする時期に「ブリティッシュ・レイランド」へと改組。しかしその実態は、当時のイギリス経済を蝕む「英国病」の影響もあり、迷走の一途を辿っていた。

1959年にデビューした大ヒット作「ミニ」は、1970年代を迎えて「BLMCミニMk-III」に進化。当初からのブランド名「オースティン」と「モーリス」が外されるとともに、上級モデルとして「ミニ クラブマン」が導入されることになる。

クラブマンの目的は、個性の強いぶん旧態化が懸念されていたミニを、1970年代トレンドの、より普通のスタイルに作り替えること。ブリティッシュ・フォードから移籍したスタイリスト、ロイ・ヘインズのデザインによる、角ばった形状に延長されたノーズと、その左右いっぱいのコンベンショナルなグリルは、フォードの「コーティナMk-2」の影響も感じさせる意匠となった。また、継続生産となった従来のノーズを持つミニMk-IIIと同じく、ドアヒンジを内部に組み込んだ改良型ボディシェルも、ここで初めて採用された。

くわえて、ブランドごと廃止となってしまった「ライレー エルフ」/「ウーズレー ホーネット」から拝借した巻上げ式サイドウインドウも、ミニとしては初めて採用されたほか、計器類も旧来のセンターメーターから、のちの「ローバー ミニ」まで継承されるドライバー目前の並列型となった。つまり外観だけでなく、内装も1970年代的な「普通のクルマ」であろうとしていたのだ。

そして、クラブマンのスポーツモデルとして設定されたのが、ミニ「クーパーS」の実質的後継車にあたる「1275GT」。そのAシリーズエンジンは、クーパー1300Sと同じく1275ccながら、キャブレターはクーパーSのSUツインからシングルへと格下げ。その結果、最高出力はクーパーSの76psに対して59psに低下してしまう。

それでも、フロントにはディスクブレーキが装備されたほか、パワーは4速クローズレシオギアボックスを介して供給された。

1275GTの外観は、ブラックアウトされたフロントグリルに、ワイドなロシュタイル社製ホイール(アロイ風スチール)、ボディカラーと対照的なサイドストライプによって通常のクラブマンと区別され、キャビン内では新しいスタイルのシート表皮と、クーパーSにもなかったタコメーターを組み込んだ3連メーターが装備された。

かつての不人気モデルは、今はレア車に?

先ごろ、ボナムズ社主催の「グッドウッド・メンバーズミーティング・オークション」に出品されたBLMCミニ1275GTは、このモデルとしては最終期に属する1979年に生産され、シャシーナンバーは「XE202-612236A」となる。

この1275GTは、新車時から英国の会社名義で登録・所有されており、現在に至るまで所有権は変わっていない。「アンダーソンズ・カーセールス」社から1979年6月14日付で発行された、車両代金請求書の原本が今もなお保管されている。

その資料を見ると、どうやら新車としてオーダーされた際からオプションとカスタマイズが満載だったようで、ブラックのペイントにビニール製のラグトップ(ソフトタイプのサンルーフ)、バッジバー、ドアやダッシュボードのウッドトリム、そしてウッド仕立てのセンターコンソールなどのモディファイが記されている。また、オリジナルの8トラック式カートリッジプレイヤーが残されているのも、時代を感じさせよう。

イギリスの車検証に相当するMoTは1980年代の後半まで遡り、3万3780マイル(約5万4000km)という現在の走行距離の裏付けとなる数値も記録されている。また、ドキュメントファイルには長年にわたる作業やメインテナンスの請求書も多数含まれており、最近では2020年に発行されたものが多い。

ただしこの整備記録が示す4年前のサービスを受けて以来、近年はほとんど走行していないことから、今後走らせる前には再びメインテナンスを受ける必要があるとのこと。また今回の販売に際しては、オリジナルのハンドブックや期限切れの納税証明ディスク、古いMoT車検証、インボイス、そしてV5C登録証明書などが添付された。

ところでミニ クラブマンおよび1275GTといえば、いかにもミニらしい可愛らしさやクラシカルな個性が失われたと判定されたためか、いわゆる「クラシック・ミニ」が1980年代以降に再び脚光を浴びたのちには、明らかに不人気モデルの烙印を押されていた。

また、クラシック・ミニ全体では1959~2000年に約540万台が生産されたなか、ミニの後継車を目指した「メトロ」に取って代わられるかたちで1980年に生産をカタログから消えるまでに生産されたのは、クラブマン サルーンが27万台以上、エステート版は約20万台、そして1275GTは約11万台に過ぎない。

つまりミニの延命を図る実質的後継車としては、失敗作といわざるを得ないモデルであり、実際ユーズドカー市場および前世紀のクラシックカー市場における価値は、オリジナルボディのミニよりはるかに低いものとされていた。

ところが21世紀に入ったころから、このビミョーな雰囲気のスタイリングにもファンが急増しているうえに、もとより生産台数が少ないこと、あるいは大多数の車両がすでにスクラップや部品取りとなっているせいか、希少価値がグングンと高まったことも相まって、いつの間にやら1275GTの人気も急上昇。

もちろんクラシック・ミニ全体の市場価格高騰も相まって、今回のオークション出品に際しても1万5000~2万英ポンドという強気なエスティメート(推定落札価格)が設定されていた。

そして2024年4月14日に行われた競売では1万5525英ポンド、つまり日本円にして約304万円という落札価格でハンマーが鳴らされることになったのだ。

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みんなのコメント

6件
  • 孟宗竹なら布里井ダム
    1275GTが不人気で格安な頃にベースに使われた個体はクーパーSのエンジンに載せ替え、フロント周りローバーミニに全交換等々手を加えられてまんまミニクーパーとして使われてましたね。
    モークのような特殊性の無いある種の無個性平凡な1275GTは当然のように受け入れられないで終わりました。
    時が流れ希少性が価格上昇して評価されるのもやはり微妙な気がします。
  • jam********
    今じゃ、このドアの薄さは、怖い。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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