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「レジェンドシリーズに加わったエレガントな2ドアクーペ」スポーティ色を極力排した独自のポジション【ManiaxCars】

掲載 更新 11
「レジェンドシリーズに加わったエレガントな2ドアクーペ」スポーティ色を極力排した独自のポジション【ManiaxCars】

ホイールベースを短縮してリヤトレッドを拡大!クーペ専用設計に見えるホンダの実直さ

2.7LV6エンジンがもたらすゆとりの走り

「純正タービンでトルク60kgmを絞り出すBNR34サーキットスペック!」2.8L+ハイカム仕様でもタービンは変えない!?

5ナンバーと3ナンバーが混在した4ドアセダンに対して、3ナンバー専用ボディが与えられたレジェンド2ドアハードトップは1987年2月に登場。

それは、国内ではなく世界を見据えた斬新とも言えるエクステリア思想で、ホンダにとっては大きなチャレンジだったに違いないし、裏を返せば2ドアハードトップとして最高のプロポーションを追求しようとしたホンダの明確な意思表示とも受け取れる。

全長4775mm、全幅1745mm、ホイールベース2705mmという数値は4ドアセダンに対して65mm短く、10mm狭く、55mm短い。デザイン的な処理でどうにでもなる全長と全幅はともかく、クルマの基本骨格を構成するホイールベースまで変えてきたところにホンダの本気がうかがえる。

また、リヤトレッドも4ドアセダン比+40mmとなる1500mmに設定。機能的にはスタビリティの向上、視覚的には安定感のアップを実現しているのだ。

そうして生まれたスタイリングは流麗の一言。そう思わせられる一番の理由は、必要とされるボディ剛性を確保しながら可能な限り細く設計されたピラーと広いガラスエリアにあって、とくにBMWの3.0CSや初代6シリーズを思わせるようなCピラーの細さは芸術的と言っても大げさではない。さらに、ボディ面とガラス面の段差をできるだけなくしたフラッシュサーフェス化も、クリーンなエクステリアを生み出すのに一役買っている。

80年代半ば以降に3ナンバー車が設定されたスペシャリティクーペと言えば、ソアラにレパード、ユーノスコスモにアルシオーネSVXあたりだが、それらがスポーティな雰囲気も漂わせてたのに対して、レジェンドを表現するならエレガントの一言だ。

内装もしかり。天然銘木を美しく仕上げた本木目コンソールにウールモケット(標準)または本革(オプション)シートなど、真のクオリティが追求されている。つまり、ラグジュアリーであることを前面に押し出した国産スペシャリティクーペはレジェンドをおいて他にないと言ってもいい。

エアバッグ内蔵4本スポークステアリングを装備。エクスクルーシブはセンターコンソール以外、メーターバイザーやパワーウインドウスイッチにも天童木工製の本木目パネルが採用される。メーターのレイアウトはシリーズ共通だけど、レッドゾーンが6400rpmからとなるのがC20Aターボを搭載するTi系との違い。

エアコンはフルオートタイプ。左右には走行中に外気を直接導入できるラム圧ベンチレーションが配され、足もとは暖かく、中央の吹き出し口からは涼しい風を送るクールベントシステムも備わる。純正オーディオは20W×4アンプを持つフルロジックカセットプレイヤー付きAM/FM電子チューナー。

ミッションは4速AT。そのセレクターレバーにはガングリップタイプが採用される。

オプションの本革シート仕様。前席のセンターアームレストやドアトリムにも本革が使われる。運転席は電動調整式だ。

後席は天地方向のスペースは確保されているが、前席でゆったりしたポジションを取られると足もとスペースがかなりキツイ。

センターコンソール後端には後席から操作できるオーディオリモートコントロールスイッチとシガーライターを装備。コレが備わるのは、2ドアハードトップエクスクルーシブとセダンの最上級グレードXiエクスクルーシブだけ。また、リヤスピーカーボード中央にはフタ付きの小物入れも。

意外だったのがリヤクォーターウインドウ。恥ずかしながら、開閉式とは知らなかった…。全開でもウインドウが完全には下がり切らないが、車内の換気を考えても開くのと開かないのでは大違い。パワーウインドウスイッチが備わる左右ドアトリムはアームレスト状のデザインとされ、灰皿も設けられている。

全身からラグジュアリー感を漂わせるレジェンドクーペ。そのフロントノーズに横置き搭載されるのは、2.7LV6SOHC 24バルブのC27A型で、前期型4ドアセダンに搭載されていたC25A型のボア拡大版となる。

また、新開発の複合可変吸気システムや軸受けをボールベアリング支持とした大口径シングルボアスロットルボディなども採用され、180ps/23.0kgmを発揮。組み合わされるミッションは4速ATのみとなる。C20AのNAとターボも用意される4ドアセダンに対して、2ドアハードトップは実質的にひとつ上の車格が与えられてると言っていい。

エンジンは2.7Lという排気量もあって、アイドリング回転+αの領域から豊かなトルクを携える。パワーの盛り上がりを感じられるのは2500rpmからで、4000rpmまではラグジュアリークーペにふさわしいジェントルなフィーリングを楽しませてくれる。

ところが、それ以上の回転域ではエンジンサウンドが一段とトーンを高め、アクセルペダル操作に対するピックアップも鋭くなるなど、がぜんスポーティに変身する。4速ATでS(スポーツ)モードを選ぶと、その傾向がさらに顕著に。高回転域をキープした走りや素早いキックダウンなどが、アクセル操作ひとつで可能になるのだ。4000rpmまではおとなしく、それ以上は元気よく…そんな二面性をホンダはあえて与えたような気がしてならない。

足回りはダンピングが効いていて、張りのある乗り心地を提供してくれる。不快な突き上げなどはなく、かといって高級車にありがちなフワフワとした感触もない。イメージだけで言えば欧州車的だ。

が、ひとつだけ頼りなく思えたのは接地感が希薄なこと。路面の上を滑るように走らせるのを狙ってのことかもしれないし、乗っているうちにきっと慣れてもくるだろうが、そこだけに違和感を覚えたのは事実だ。

試乗を終えて、ちょっと離れたところからクルマをグルッと1周見回してみる。レジェンド2ドアハードトップが一番カッコよく見えるのは、言うまでもなく斜め後ろからだ。Cピラー周りの造形は本当に見ていて飽きない。

メカニズムばかりに目が行って、外装デザインにはまるで無頓着な自分ですらそう思うほどだから、このスタイリングが多くの人を惹き付けるのは間違いない。

■SPECIFICATIONS

車両型式:KA3

全長×全幅×全高:4775×1745×1370mm

ホイールベース:2705mm

トレッド:FR1500mm

車両重量:1420kg

エンジン型式:C27A

エンジン形式:V6SOHC

ボア×ストローク:φ87.0×75.0mm

排気量:2675cc 圧縮比:9.0:1

最高出力:180ps/6000rpm

最大トルク:23.0kgm/4500rpm

トランスミッション:4速AT

サスペンション形式:FRダブルウィッシュボーン

ブレーキ(F/R):ベンチレーテッドディスク/ディスク

タイヤサイズ:FR205/60R15

TEXT&PHOTO:廣嶋健太郎(Kentaro HIROSHIMA)

●取材協力:カラーコンセプト TEL:093-601-1600

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みんなのコメント

11件
  • この頃のホンダは一番良かった。
  • 昔俺がMZ20のソアラ、親父がこのレジェンド2ドアハードトップ乗っていたけど、車の大きさが一回り大きく国産車離れした流麗なプロポーションはアダルトカーの極致だったな。こういう本物のイカした車、今のホンダには作れないのかね!
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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