取材時の同伴車両として、また普段の足として、2カ月の期間限定で活躍してくれたシトロエン C3エアクロスSUV。また最後の1週間、ディーゼルエンジンを搭載した「シャインパッケージ BlueHDi」にも触れることができたので、合わせてレポートしよう。今回は後編。
オールシーズンタイヤを装着する理由がわかる、C3エアクロスの機能
ドライバーのさまざまな走り方に対応する懐の深さが、C3エアクロスSUVにはある。
【長期レポート】シトロエン C3エアクロスはDS3や2008の兄弟モデル、ではなかった。ひそかに感じた懐かしさの正体とは 【前編】
一般道をゆったりのんびり流していれば、あたりの柔らかなサスペンションが衝撃を吸収してくれる。そのうえ、2021年11月の大幅改良と同時に採用された「アドバンストコンフォートシート」は、シート生地下のアンの厚みを従来の2mmから15mmに増量していることもあり、路面からの入力だけでなくエンジンの振動まで抑えてくれているように感じる。
乗りはじめてから数回は、反発力を強めに設定されているクッション性のためなのか、クルマを降りるとお尻に違和感を感じることもあったのだが、乗り続けていると身体にフィットするように変形して心地よさへと変わっていった。
わりとゆったりとした幅広な形状でサイドサポートも低めに設定されているのだが、活発にワインディングロードを駆け抜けようとした時などは、このしっかり感のある構造、そして滑りにくいテップレザー生地がちょうどいい塩梅に身体を支えてくれるのだ。
コーナリングでの走行フィールについては前回でも軽く触れたが、ある程度のロールを許容しつつも、その先へヨレていかないねっとりとした感触は個性的で面白い。また、これまでの期間で、ブレーキングを含めたなどさまざまな状況で試してみても、タイヤが音を上げるようなシーンには出くわさなかった。
さぞかし優れたグリップ性能を持つタイヤを装着しているのだろうと思いきや、一般的にはドライグリップでノーマルタイヤに劣るとも言われているオールシーズンタイヤを装着しているのだ。銘柄を確認してみると、日本の大手カー用品店では売られていない「ブリヂストン ウェザーコントロール A005 EVO」を標準装備している。欧州で開発・生産を行われ、海外で販売されているオールシーズンタイヤだ。
Vシェイプのトレッドパターンを持つオールシーズンタイヤはロードノイズも大きくなりがちだが、C3エアクロスの静粛性能は高速道路を走っているときでも想像しているよりずっと高い。タイヤの性能という意味だけでなく、クルマとしての遮音性も高められているのであろう、比較的高い音域の「コォー」というこもらない音が聞こえてくる。
ちなみにスノーフレークマークを刻印されているので、冬季の高速道路で行われることもある冬用タイヤ規制に対応しているタイヤだ。もちろん無理は禁物。
俊敏性に優れるガソリン仕様と、よりコンフォートなディーゼル仕様
このシャインパッケージには、オールシーズンタイヤの他にも悪路を安心して走行するための機能「グリップコントロール」を標準装備している。スノーモードやマッドモードなど5つのメニューから選択することで、FFでありながら高い悪路走破性を実現するというもの。
なぜ4WDにしないのかという疑問もあるだろうが、プロペラシャフトやリアデフなどの重量物を搭載し、しかも摩擦によって燃費も悪化させるのではなく、もっとスマートに、機能を追加することで悪路走破性能を高めようというのがシトロエン流悪路走破術の考え方だ。車両価格を抑えられるメリットもある。
実は一度、わずかな距離だったがサンドモードを選択して砂地を走行してみたのだが、「タイヤが空転しないようにブレーキ制御して、駆動力を伝える」という機能が効いているのか、確かに空転するようなことはなかった。もっとじっくり試すべきだったのだが、ふかふかした砂地の奥まで進む度胸は私になかったということだ。いずれにしても、いざという時の頼もしい存在であることに違いはない。
さて、このレポート期間中に当たる7月1日、C3エアクロスにディーゼルエンジンを搭載した「BlueHDi」が追加され、1週間ほど乗ることができた。長期レポート車と同じシャインパッケージなので装備や機能はまったく同じ、ということでエンジン比較をしてみた。
1.2L直3ガソリンターボ(130ps/230Nm)はアクセルペダル操作に対するエンジンレスポンスが良く、高速道路の追い越しのような場面でもすぐに加速体制へ移れる素早さを持っている。だからこそ操ることの楽しさもあったのだが、その反面で信号待ちのアイドリングストップから復帰するとき、急な駆動力がタイヤにかかって前後方向へ揺らされるような場面も多かった。
一方の1.5L直4ディーゼルターボ(120ps/300Nm)はよりコンフォートな印象だ。気筒数がひとつ多いことでエンジンの振動は少なく、出力特性もゆったりしているため、街中でのペダル操作に神経を使うことはなくなった。
もちろんディーゼルらしいエンジン音は聞こえてくるのだが、それも低速域くらいなもので、40km/hを超えてしまえば気にならない程度の音量だ。大トルクのおかげで車両重量の増加分である60kgの差は、正直言って感じられない。
さて最後に、2カ月間の走行データを簡単にまとめてみた。
プレミアムガソリンを使用する1.2Lガソリンターボモデルは、ひと月半で約3000km走行して実燃費16.6km/L。1.5Lディーゼルターボモデルは約500km走行して実燃費19.3km/Lとなった。7~8割は高速道路を走行しているためいずれも低燃費だが、なかでもBlueHDiは燃費の良さと軽油を使用することによる燃料代の安さ、ランニングコストで軍配があがる。一方のイニシャルコストでは、BlueHDiが16万円ほど高い車両価格設定になっているのだが、合わせるとコスト差はかなり小さくなるのではないだろうか。
だがしかし、こうした金額面よりもクルマ本来の性能や特性、大トルクを発生して4気筒エンジンによる振動の少なさ、運転のしやすさもあるとなれば、ディーゼルモデルを選びたくなってしまうのだが・・・どうだろう。機会があればぜひ一度、乗り比べてみてほしい。
■第2回/2022年6月23日~7月14日(2カ月目)のデータ
・オドメーター:1万0520km
・走行距離:1590km
・給油量:104.3L
・実燃費:15.3km/L
シトロエン C3エアクロスSUV シャインパッケージ 主要諸元
●全長×全幅×全高:4160×1765×1630mm
●ホイールベース:2605mm
●車両重量:1320kg
●エンジン:直3 DOHCガソリンターボ
●総排気量:1199cc
●最高出力:130ps/5500rpm
●最大トルク:230Nm/1750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:プレミアム・45L
●WLTCモード燃費:16.7km/L
●タイヤサイズ:215/50R17
●車両価格(税込):347万5000円
シトロエン C3エアクロスSUV シャインパッケージ BlueHDi 主要諸元
●全長×全幅×全高:4160×1765×1630mm
●ホイールベース:2605mm
●車両重量:1380kg
●エンジン:直4 DOHCディーゼルターボ
●総排気量:1498cc
●最高出力:120ps/3750rpm
●最大トルク:300Nm/1750rpm
●トランスミッション:6速AT
●駆動方式:FF
●燃料・タンク容量:軽油・45L
●WLTCモード燃費:21.3km/L
●タイヤサイズ:215/50R17
●車両価格(税込):363万9000円
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