お手頃ブランドとして親しまれるダチア
ルノー・グループ傘下のダチアは、欧州で手頃な価格帯のラインナップを展開するルーマニアの自動車メーカー。あらゆる分野で物価が高騰する中、低価格へのこだわりを持ち続け、特に英国では強い支持を集めている。2021年は記録的な市場シェアを残したが、今年はそれを超える勢いを見せる。
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ダチアの英国部門(Dacia UK)を率いるのは、ブランド・ディレクターのルーク・ブロード(Luke Broad)氏。ダチアがそのコアバリューを見失うことなく、荒波の自動車市場にどのように適応しているのか、英AUTOCAR編集部は独占インタビューでその答えを探った。
――ルノー・グループの一員であることにはメリットがあるのでしょうか?
「その通りです。現在UKチームは9人ですが、ルノー・グループの一員であるため、ここで一緒に働いている人は他にもたくさんいます。彼らは100%ダチアブランドに専念しているわけではありませんが、グループから全面的な支援を得ています」
――現在の経済状況の中で、販売台数は上がると予想されますか?
「それはないでしょう。しかし、以前よりも多くの人が、ダチアのことを検討するようになったのではないでしょうか。わたし自身、お客様とお話しすると、『ダチアのことはあまり考えたことがなかったけれど、地元のショールームに行ってみたら、素材の品質や価格に見合うだけのものがあって本当に驚いた』とおっしゃるのです」
オンライン販売における強みとは
――御社の小売ネットワークは、新しい購買層にどのように適応しているのでしょうか?
「2018年にDacia Buy Online(オンライン購入システム)を立ち上げ、今はその機能の強化に取り組んでいます。スタッフの手作業が非常に多いためです。すべての注文を手動で管理しなければなりませんし、当社のすべてのシステムにリンクされているわけではないので、最適な状態とは言えません」
「しかし、お客様の視点に立つと、すべてがライブで行われることになります。ディーラーシステムに統合されているため、オンラインで車両を設定し、ファイナンスの見積もりを取り、価格に納得したら購入する。途中で店舗に足を運んでも、ゼロから始める必要はないのです」
――ダチアはデジタル販売に適しているのでしょうか?
「他のブランドで見られるような、何百通りものオプションは用意していません。例えば、サブウェイでサンドイッチを注文しようとすると、どのパンがいいか、どのチーズがいいか、トーストがいいか、レタスとトマトがいいか……と30分も悩むことになります。しかし、当社の場合は、3つの仕様と2つのオプションという実にシンプルなラインナップなので、オンライン販売にとても適しています」
――御社の顧客の多くは、年配の方や地方に住んでいる方など、インターネットにあまり縁のない方々です。新しい購入プロセスを導入するメリットは何でしょうか?
「メリットという言葉は適切ではないと思います。わたしの両親は50代から60代ですが、他の人と同じようにアマゾンで物を買っています。お客様はネットで買い物をすることに慣れているんです。クルマは、コストや規制の関係で少し違いますが、わたし達もその流れに乗ることができればと思います。年齢や属性、性別などはあまり関係ありません。それが最近の人々の買い方であり、業界の方向性なのです」
電動化の取り組み 低価格は維持できる?
――シンプルなラインナップが魅力を制限することはないのでしょうか?
「不利に働くとは思っていません。現在あるセグメントのカバー率を考えると、十分に力を発揮していると思います。Cセグメントではダチア・ジョガー(7人乗りのクロスオーバーMPV)から攻勢を始め、2025年には新型ビッグスター(SUV)が登場し、『ニュー・ダチア』の幕開けとなります」
「もちろん、わたしはブランド・ディレクターとして、すべてのセグメントをカバーするすべてのモデルを展開し、あらゆるパワートレインで、できるだけ多くのお客様を取り込みたいと考えています。しかし、ダチアのブランド価値を守るためには、絶妙なバランス感覚が必要なのです」
――英国では2030年にICE車の新車販売が禁止されます。現在、ダチアにはハイブリッド車がありませんが、その点で不安や苦労はありませんか?
「当社もEVに移行しますが、それはお客様と市場の準備が整ったタイミング、ぎりぎりのところで行うつもりです。ルノー・グループの一員ですから、電動技術はすぐにでも使える状態にありますし、電動化を待てば待つほど、より手頃な価格になります。今年の末から来年の初めにかけて、ジョガーでハイブリッド化を開始し、他の車種も順次ハイブリッド化していく予定です」
――EVでも低価格を維持することは可能ですか?
「ルノー・グループも含め、EVのトレンドに乗る人が増えれば、材料、技術、研究・設計のコストが下がります。今、当社がEVを発売していない(ダチア・スプリングEVは英国未導入)のは、ダチアらしい価格にはならないからです。導入してもうまくいかないでしょう。しかし、5年、6年、7年、8年後、つまり2030年までには、必ず成功させるつもりです」
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