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新風を呼んだクロスオーバー ルノー・アルカナ E-テック 最終回 長期テスト

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新風を呼んだクロスオーバー ルノー・アルカナ E-テック 最終回 長期テスト

積算5689km 便利なアダプティブ・クルコン

長期テストのアルカナ E-テック Sエディションには、アダプティブ・クルーズコントロールが付いていて、とても便利。一方で、これが?という装備がなかったりする。

【画像】カッコイイ ルノー・アルカナ E-テック 兄弟モデルのキャプチャーと写真で比較 全94枚

特に、シートヒーターとステアリングホイールのヒーターは、この価格帯なら是非欲しい。フロントガラスのデフロスターも、もう少し効きが良いとうれしい。ただし、エアコンのヒーターは強力。すぐに車内が温まる。

積算7296km もう少し広くて良い車内空間

ルノー・アルカナの英国版パンフレットでは、1960年代の名車、ルノーR16が魅力を伝える例として登場している。カーデザイナーのフィリップ・シャルボノー氏が手掛けた、美しく高級感あるスタイリングの5ドア・ハッチバックだ。

そのR16は、サルーンとステーションワゴンとの融合だった。一方のアルカナは、クーペとSUVとのミックス。車高は違えど、ルーフラインは確かに似ているかもしれない。

一方、広い車内空間で実用性に長けたR16と比べると、アルカナは少々手狭。ひと回り大きいカジャーではなく、小さなキャプチャーをベースにしたことが原因だろう。

特にフロントシート側は、横幅がもう少し欲しい。リアシート側も、もっと広くて良かった。12才の長女がリアシート中央に座ると、頭が天井に触れそうになっていた。

また、筆者は子どもを学校まで送り迎えしているのだが、硬めの乗り心地に不満を漏らすことがあった。シートベルトのバックルも、子どもには締めにくいようだ。

カーブの続く道で効果的な足まわり

乗り心地は、高速道路くらいまで速度を上げると落ち着いてくる。だが、市街地では揺れを抑えきれない。大きな隆起部分などを通過すると、不快に感じることもあった。

そのかわり、硬めの足まわりはカーブの続く道で効果的。全高が比較的高いクロスオーバーとしては、能力は高い方だといえる。

ボディロールは限定的。グリップ力に長け、速めのスピードでも安心感は高い。シートのサイドサポートがシッカリしていて、ステアリングホイールの感触が明瞭なら、さらに満足度は増すだろう。

長期テストのアルカナは、E-テックと呼ばれるハイブリッド。積極的に48psの駆動用モーターで走ろうと努めてくれる。駆動用バッテリーの充電量が充分なら、活発に加速し滑らかで静か。洗練されていると感じる。

反面、容量が1.2kWhと小さく、モーターだけで走れる距離は限定的。そうなると、94psを発揮する1.6Lガソリンエンジンの出番。こちらは少々ノイズが目立つ。結果的には、エンジンの出番が多いようだ。

ハイブリッドの特性に合わせて運転スタイルを工夫すると、改善はできる。下り坂では回生ブレーキが強くなるBモードを選び、積極的に充電。優しくアクセルを操作すれば、エンジンを始動させず長時間走れる。

6速ATにはマニュアル・モードやシフトパドルがなく、変速が機械任せなのは残念なポイント。高速道路では、15.0kg-mというトルクの細い自然吸気エンジンに気を揉むことも。それでも、100km/h程度なら質感良くクルージングできる。

好印象なデザインに充実装備

気になる部分もゼロではないアルカナ E-テックだが、そのボディ・デザインを眺めていると許せてしまう。クーペとSUVとが巧みに融合している。おしゃれな雰囲気で、ルックスはこの手のモデルではベストの1台だと思う。

インテリアも好印象。ダッシュボード中央の9.3インチ・タッチモニターと、アンビエントライトが、モダンさを引き立てている。

モニターが埋め込まれたメーターパネルには、パワーフローを表示することもできる。ただし、表示される燃費は少々甘め。実際の数字は1.0km/L前後短いようだ。

装備も充実している。ヘッドライトとワイパーはオートだし、衝突被害軽減ブレーキやクルーズコントロール、レーンキープ・アシスト、交通標識認識機能も付いている。

バック時などで側方からの車両を教えてくれる、ブラインドスポット・モニターも備わる。少々、反応が過敏ではあるが。

長期テストのアルカナ E-テックでは、選択されていたオプションは3点のみ。これに、ステアリングホイールとシートにヒーターが内蔵される、250ポンド(約4万円)のウインター・パッケージが付けば、完璧だったと思う。

新しい風を吹き込んだクロスオーバー

そのかわりというべきか、同額の250ポンド(約4万円)となる、スペースセーバー・スペアタイヤが載っていた。駆動用バッテリーの侵食も重なり、荷室フロア下にある28Lの空間が埋まっていた。

傾斜したルーフラインのためか、ルノーが主張する480Lという容量より荷室は狭く感じられるかもしれない。リアシートを折りたためば、1263Lまで大きくなるが。

ルノーに新しい風を吹き込んだといえる、SUVクーペのアルカナ。祖先のR16との比較は難しいとは思うものの、プレミアムな質感を持つモデルでもあり、ブランド自体への注目度を高めることにつながりそうだ。

スタイリングに惹かれたら、ぜひ一度ショールームへ足を運んでみてはいかがだろう。筆者が気になった部分にも、別の印象を受ける可能性は充分にある。

セカンドオピニオン

スタイリングの素晴らしいルノー・アルカナ。インテリアの雰囲気も良い。乗り心地も、わたしは悪いとは感じなかった。

少々惜しいのがハイブリッドのパワートレイン。燃費は市街地でも期待ほどは伸びず、流れの早い英国郊外ではパワー不足を感じてしまう。もう少し洗練されていても良いだろう。 Jim Holder(ジム・ホルダー)

テストデータ

気に入っているトコロ

知的なクルージング:高速道路のクルージングはとても好印象。特に、前方車両に対し素早く反応するアダプティブ・クルーズコントロールには驚かされた。
インフォテインメント:グーグルがサポートしている、英国版のナビシステムは直感的に扱える。インターフェイスはiPad風で、表示がクリアで操作しやすい。

気に入らないトコロ

後方視界:リアワイパーが付いておらず、そもそも余り優れない後方視界を、更に悪くしている。
パワートレインの洗練度:駆動用モーターから内燃エンジンへ切り替わるマナーは、もっと改善できると思う。

走行距離

テスト開始時積算距離:1686km
テスト終了時積算距離:7295km

価格

モデル名:ルノー・アルカナ E-テック・ハイブリッド145 Sエディション(英国仕様)
開始時の価格:2万8600ポンド(約457万円)
現行の価格:2万9890ポンド(約478万円)
テスト車の価格:2万9800ポンド(約476万円)

オプション装備

ザンジバル・ブルー・メタリック塗装:650ポンド(約10万4000円)
ブラックルーフ:300ポンド(約4万8000円)
スペースセイバー・スペアタイヤ:250ポンド(約4万円)

燃費&航続距離

カタログ燃費:20.9km/L
タンク容量:50L
平均燃費:15.1km/L
最高燃費:16.5km/L
最低燃費:13.5km/L
航続可能距離:756km

主要諸元

0-100km/h加速:10.8秒
最高速度:172km/h
エンジン:直列4気筒1598cc自然吸気+電気モーター+ISG
最高出力:143ps(システム総合)
最大トルク:15.0kg-m(システム総合)
トランスミッション:6速オートマティック
トランク容量:480L
ホイールサイズ:18インチ
タイヤ:215/55 R18
車両重量:1435kg

メンテナンス&ランニングコスト

リース価格:328ポンド(約5万3000円/1か月)
CO2 排出量:109g/km
メンテナンスコスト:なし
その他コスト:なし
燃料コスト:479.4ポンド(約7万6000円/ガソリン)
燃料含めたランニングコスト:479.4ポンド(約7万6000円)
1マイル当りコスト:0.14ポンド(約22円)
不具合:なし

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