WRCを戦うために生まれたGRヤリス。それだけに、GRヤリスの本命モデルといえば、通常は1.6Lターボ+アクティブトルクスプリット4WDを採用する「RZ」や「RC」グレードだといえるだろう。
しかし、GRヤリスにはエントリーモデルとして、通常のヤリスと同じ1.5LのNAエンジンにFFレイアウト、トランスミッションはCVTという「RS」グレードが用意されている。
世界限定50台 価格1億円超!! 究極GT-Rの走りを見た! 120馬力アップの実力は本物か?
ボディはGRヤリスと同じワイドボディながら、中身のパワートレーン系はフツーのヤリス。まさにターボルックのGRヤリスなわけだが、あえてこの「RS」を選ぶという選択肢は “あり”なのか?
最上級グレードのRZなどの存在に隠れて、今ひとつ目立っていないRSグレードをモータージャーナリストの松田秀士氏がチェックした。
文/松田秀士 写真/ベストカー編集部
【画像ギャラリー】意外とやるじゃん!! GRヤリスのエントリーモデル「RS」を試乗する
■「RS」はノンターボのなんちゃってGRヤリスだ!
写真は上級グレードであるRZハイパフォーマンス。エントリーモデルであるRSはRZとは別物なのか?
GRヤリスというネーミングだけを耳にすると四駆ターボの凄いヤツと直感しがちだが、「RS」グレードの駆動方式はFFです。しかもトランスミッションはCVT。ついでにエンジンはノンタ(ノンターボ)の3気筒1.5L。
要するにブリスターフェンダーがグラマラスなGRヤリスRZのデチューン版! という雰囲気を出しつつ、実は「なーんちゃってGRヤリス」。「GRヤリスのターボルック」ともいえるFFのノンタくんです。
とまぁ、しっかり試乗する前はそうイメージしていたのですよ。ハッキリ言っておきますが「なーんちゃって」は否定系ではありません。なーんちゃってカーボンとかいうシールを貼っただけのフェイク一般を指すことですが、クルマのインテリアにも近いものがたくさんあります。
コストを抑えるためのテクニックであり、多くの人に満足感を与えようとするある意味工芸的なチャレンジだと考えれば、妙に納得できるものです。
■「なんちゃってモデル」はあのポルシェにもあった
操作系などはRZ譲り。遅れをとる部分はどこにもない
その昔にはポルシェ911にも(タイプ930)ターボルックがラインナップされ、多くの節約型金持ちが恩恵を受けました。当時の911ターボはフェラーリやランボルギーニと並ぶ超スーパーカーで簡単に手に入るものではありません。
筆者自身試乗しましたが、911ターボはターボが稼働しない市街地走行ではスカのようなパワーで、911ターボルックと何ら変わりません。逆に911ターボルックは低速トルクたっぷりで走りやすい。
その911ターボルックもクラッチがワイヤーから油圧式に変更されていたり、ドリルドディスクローターがセットされていたり、トランスミッションのサプライヤーも同じだったりと多くの装備がホンモノターボからのキャリーオーバーでした。
言ってみればエンジンさえ交換しちゃえば!? とは言い過ぎかもしれませんが、それくらいに手抜き感ゼロのなーんちゃってターボだったのです。
■安上がりだが手は抜かない
エンジンはヤリスと同じ1.5L 3気筒のNAエンジン。FFのCVTもヤリスと同じだ
で、GRヤリスRSです。エンジンはただのヤリスと同じ。120ps/145Nmの1.5L 3気筒の自然吸気。駆動系もただのヤリスと同じFF。しかもCVTオンリー。つまりヤリスの量産パワートレーンをそのまま移植したもの。これは安上がりです。
しかし、それ以外はエンジンフード、ドア、リアハッチにアルミ材を採用。ルーフはカーボンだ。
筆者は86GRMNの製作現場の元町工場を見学したことがあるが、カーボンの設備が素晴らしく、また手作業によるルーフの取り付け工程、職人の技術力はもう量産する自動車メーカーの工場という印象ではなく、クラフトマンシップで営む英国の古きよきファクトリーを連想させるほどでした。
RSの詳細を見れば見るほどにボディの作りのよさに感心します。つまり、パワートレーン以外のボディはほとんどRZそのものといったところ。バケットタイプのスポーツシート、ステアリング、シフトノブなど、すべての操作系もRZ譲り。(「RZハイパフォーマンス」グレードとは差異がある)
そのシートに納まってみる。ホールド感はかなり高く、表皮がわずかに身体に馴染みピタッと張り付く感じ。ドラポジはシートにしっかりと支えられ、余計な力を使わずにステアリングやペダル操作ができるベストなもの。
座面から膝裏までのサイサポートも適度。ただしRSは2ペダルなので、クラッチ操作のフィーリングはわからない。このシートはRZと同じでRZハイパフォーマンスとは異なること、あらかじめお伝えしておきます。
■意外と気持ちいいCVTとホンキのシャシーが好印象
トランスミッションはCVTの設定。これが意外と気持ちよくシフトアップしていく
スターターを押してエンジン始動。RZと同じ3気筒だがこちらはノンタです。排気量も若干少ない1.5L。最初から期待はしていなったが、CVTの発進ギヤのおかげかスタートはスムーズでそこそこ力強い。ただしヤリスハイブリッドのほうがもっと力強い。まぁこれは仕方がないこと。
このCVT、10速MTにも対応。CVTなので疑似ギヤを想定してプーリーの径を瞬時に変更して行う。いわゆるMTモードでオートシフトアップも行うわけです。
これが意外にも気持ちよく、10速なのでそこそこクロスしていて約7000rpmまで回ると2000rpm弱の回転落ちで次々とシフトアップ。パワー的には大したことはないが、ちょっとレーシング気分が味わえます。
エンジンパワー的には60点ぐらいですが、エクゾーストノートもそれなりにスポーティなものになっていて、このCVTの疑似MTシフトと相まって悪くないスポーツエンジンの印象です。
しかし、スゴイのはやはりボディ! 車体! シャシー! でした。
実は、このレポートのために3日間広報車を借り出して試乗したのですが、借り出して走り出した瞬間から乗り味の質感が高かったのです。
まずはロードノイズですね。余計なノイズがカットされ、必要な路面のサーフェスの情報は入ってくる。サーキット路面のような粗い表面だと「ゴー!」とか「ザー!」などと音質がハッキリする。
それが、静かではないのだが耳障りでない。ちょっと薄めのヘッドフォンをかけているかのような聞こえ方。そしてその「ゴー!」とか「ザー!」はステアリングからもシートからも感じられる。音は振動なのだから当たり前のことだが、ボディがしっかりしているから写実的に感じ取れるのだ。
■パワートレーン以外のパフォーマンスはRZに匹敵!?
サスはほどよく締まっているという印象。ロードノイズは耳障りではなく、音や振動として必要な分量で伝わってくる
サスは硬いというよりも締まっているというフィール。市街地の微小で連続した凸凹路面の表面は細かく足がいなしてくれる。突き上げ感は少ない。大きなギャップはそれなりにボディを揺さぶる。それはスポーツモデルだから当たり前、といえば当たり前。
コーナリングはその横Gに応じたロール角を示すが、限界域に到達するにしたがってじわじわとプログレッシブにスプリングが圧縮されるフィーリング。これがものすごくわかりやすい。
4WDのRZと同じフィールをきちんと出している。ブレーキングもしかりで、少しのノーズダイブをしっかりと止めて踏力に応じた力強いブレーキングができた。
ハッキリ言って、パワートレーン以外のパフォーマンスはRZに匹敵する。それでいてRZとの価格差131万円。この差をどう見るかはあなた次第ですが……。
ちなみに約100kmを走った総合燃費は12.7km/Lでした。通勤など月間走行距離を走る人には“アリ”な存在ではないだろうか。
筆者の印象は、GRヤリスRSは“ホンモノ”のなーんちゃってGRヤリスなのであった。
【画像ギャラリー】意外とやるじゃん!! GRヤリスのエントリーモデル「RS」を試乗する
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
愛車管理はマイカーページで!
登録してお得なクーポンを獲得しよう
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
“650馬力”の爆速「コンパクトカー」がスゴイ! 全長4.2mボディに「W12ツインターボ」搭載! ド派手“ワイドボディ”がカッコいい史上最強の「ゴルフ」とは?
8年ぶり全面刷新! 日産新型「小さな高級車」登場! 全長4.3mに「クラス超え上質内装」とめちゃ“スゴいシート”採用! ちょうどイイサイズの「新型キックス」日本には来る?
セカオワが「愛車売ります!」CDジャケットにも使用した印象的なクルマ
「日高横断道路」は、なぜ幻の道となったのか? およそ半世紀越しの計画を凍結した理由。 【いま気になる道路計画】
トヨタ新型「ミニアルファード」登場は? 「手頃なアルファードが欲しい」期待する声も!? 過去に"1代で"姿消した「ミドル高級ミニバン」があった!? 今後、復活はあるのか
もう待ちきれない! [新型GT-R]はなんと全個体電池+次世代モーターで1360馬力! 世界が驚く史上最強のBEVスポーツカーへ
「子供が熱を出したので障害者用スペースに停めたら、老夫婦に怒鳴られました。私が100%悪いですか?」質問に回答殺到!?「当たり前」「子供がいたら許されるの?」の声も…実際どちらが悪いのか
「財布を忘れて帰ろうとしたら、免許不携帯で捕まりました。今取りに帰るんですよ。私が悪いんですか?」質問に回答殺到!?「事実でしょ」「非常識」の声も…「うっかり」でも許されない理由とは
新車採用が「義務化」! でも後退時「バックモニター」だけで動くのは「危険すぎ」!? “カメラ”に映らない「死角」がヤバかった
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
申込み最短3時間後に最大20社から
愛車の査定結果をWebでお知らせ!
店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!
みんなのコメント
デザイン優先の方がいてもいいし、好きなのを買えばいいと思います。