現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > ボルボが見据える2024年の自動運転技術

ここから本文です

ボルボが見据える2024年の自動運転技術

掲載 更新 2
ボルボが見据える2024年の自動運転技術

 ボルボは5月、「次世代ボルボ車にルミナー社のLiDAR技術を搭載する」と発表した。
 自動運転実験車両に必ず装備されているLiDAR(ライト・ディテクション・アンド・レンジング、ライダーと呼称)と呼ばれるセンサーが一気に小型化へ向かっている。かつては高さと直径が、それぞれ30cmほどの円筒形で、車両のルーフ上に設置する360度回転式の全周スキャナーだった。現在は回転しないタイプや薄型のものが開発され、小型化も著しい。価格もどんどん安くなってきた。
 LiDARの意味は〝光による検知と距離測定〟である。レーザー光を周囲に照射し、その反射光をセンサーで捉えて画像化する。360度回転式のタイプは全周の測定が可能であり、1960年代に実用化された。開発当初は航空機に搭載して地形の記録や気象観測に使用されていた。最初期のLiDARは非常に高価で、しかも現在に比べると性能が悪かった。後に軍用のセンサーとして発展し、米軍が車両搭載用の小型軽量品の開発を民間企業に依頼した1990年代以降、小型化が進んだ。
 2000年代に入ると、米国防総省・国防高等研究計画局が主催する自動運転機能コンテスト、DARPAグランドチャレンジが注目され、ここに出場する車両のためのLiDAR開発が活発になった。その中の1社がヴェロダインで、同社が2007年のDARPAグランドチャレンジのために開発したLiDARが一躍脚光を浴びた。ヴェロダインはもともと米国のオーディオメーカーで、LiDARの開発は社長の趣味で開始したという。この分野で成功を収めた結果、オーディオ部門を売却し、LiDAR専門のヴェロダインLiDARを立ち上げた。
 2007年からの数年間、ヴェロダイン製LiDARは自動運転車両開発現場の必需品となり、トヨタもヴェロダイン製を採用した。そして、このヴェロダインの成功に刺激され追従するメーカーが欧米で何社も立ち上がった。近年のトピックは米・ルミナー(Luminar)が開発した薄型の走査型レーザースキャナー内蔵タイプだ。スウェーデンのボルボ・カーズが2022年発売の次期XC90市販車に搭載すると発表した。

自己完結型センサーを搭載

ボルボの未来が体感できるプラグインハイブリッド、V60・T6ツインエンジンの先進度

 ルミナーによると、ボルボが採用する〝アイリス〟と呼ばれるLiDARは最大250mの測定が可能で、車載状態での測定角は水平方向に約90度、垂直方向に30度程度になるという。レーザー光を数百万のパルス状に放射し、インターネットに接続するなど外部インフラの支援を得なくても前方道路の3D(三次元)地図を作成できる。自己完結型のセンサーであり、対象物の反射率が低い場合でも〝物体の有無〟は検知可能といわれている。
 ボルボはLiDARとカメラなどを併用する方式で、まず高速道路上での部分自動運転を実用化する方針。昨年12月にボルボは「レベル3だとかレベル4だとか、自動運転レベルの話ではなく、利用者にとって必要なものを開発する」と方針転換を発表していた。このほど次世代XC90へのLiDAR搭載を発表するに当たって「レベル3の自動運転相当」である可能性を示唆した。
 レベル3は〝システムが運転し、システムが対応できなくなった場合は運転者が操作を引き継ぐ〟技術段階を意味しているが、システムが運転している間は運転者の前方注視義務は緩和される。スマホ画面を見ていても構わない。難しいのは「いきなりシステムがギブアップしたら運転者は対応できない可能性がある」点だ。ボルボはLiDARで高精度のデジタル地図を作成しながらAI(人工知能)を活用する技術で、こうした事態に備えるという。ボルボによれば、LiDARも含めたシステム全体の価格目標は1000ドル(約11万円)以下だとか。

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
「スーパーフォーミュラしかない!」念願かなったルーキーたちの課題は。2レース制増も影響か
AUTOSPORT web
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
こ、これアウトランダーじゃね!? 決算説明から見えた[日産PHEV第1号車]は三菱からのOEMか?
ベストカーWeb
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!?  実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
日産「フェアレディZ」にワゴンが登場!? 実は「ステージア」ベースで「リーフ」リアゲートを移植…車検をとって公道走行可能なカスタムカーでした
Auto Messe Web
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
実はサーキットより面白い? 本気のオフロード走行のススメ SUV人気の裏にある魅力
AUTOCAR JAPAN
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
「オートモビリア」って、なに? ミニカーや古本などがずらりと並んだ「アミューズメントゾーン」にはキャンギャルも登場して熱気に包まれてました
Auto Messe Web
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
「これが売れなかったら四輪撤退…」→超ロングセラーに! 世界の「シビック」を生んだ“妙な納得感のある理論”とは
乗りものニュース
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
沼にハマる 『レトロモビル2025』でフランス車の魅力に迫る 高い技術力と芸術的デザインの融合
AUTOCAR JAPAN
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
トヨタ「86」&スバル「BRZ」用クラッチは「歯打ち音」を低減!「ヤリス」用は半クラが扱いやすい…待望のアイテムが「小倉クラッチ」からリリース!
Auto Messe Web
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
帽子を焦がしたレーシングシャシー ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(1) バラバラからの再生
AUTOCAR JAPAN
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
先端の「クマ」も再現 ブガッティ・タイプ57 S コルシカ(2) 受賞多数のオープンボディ
AUTOCAR JAPAN
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
トヨタ勝田貴元、惜しくも優勝逃す2位フィニッシュ……3.8秒差で僚友エバンスに軍配|WRCラリー・スウェーデン
motorsport.com 日本版
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
スズキの超ハイルーフ「本格SUV」に期待大!「ジムニー」超える“悪路走破性”に「まるで軍用車!?」な斬新デザイン採用! 日常から“アウトドア”まで大活躍の「エックスヘッド」コンセプトがカッコイイ!
くるまのニュース
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
10トン超えのバッテリーを搭載して航続距離500km……ってホントにエコ? 大型トラックはBEVよりもFCVのほうが最適解
WEB CARTOP
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
被災3年…ついに架設スタート! 阿武隈川を渡る国道399号“軽くなる”新しい橋の姿は?
乗りものニュース
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
“ランクル250”をハードコアにカスタマイズ!? オフロードチューニングのスペシャリストが最新コンプリートカー「AT37」を発表!
VAGUE
FDJ2がMIDホイール一色に! 公式ワンメイク化でドリフトシーンに新時代到来!!…大阪オートメッセ2025
FDJ2がMIDホイール一色に! 公式ワンメイク化でドリフトシーンに新時代到来!!…大阪オートメッセ2025
レスポンス
【特集】レッドブルの非情なドライバー育成……しかし彼ら以上にドライバー育成に注力してきた存在はゼロ
【特集】レッドブルの非情なドライバー育成……しかし彼ら以上にドライバー育成に注力してきた存在はゼロ
motorsport.com 日本版
前の車との「車間距離」めちゃ大事! でも運転中「どうやって」測る!? 「高速」や「一般道」で適切な車間を取る方法とは
前の車との「車間距離」めちゃ大事! でも運転中「どうやって」測る!? 「高速」や「一般道」で適切な車間を取る方法とは
くるまのニュース

みんなのコメント

2件
  • 期待したいが、この場所は日本のナンバープレートで隠れてしまうのでは…
  • 道路や車、自転車や歩行者、すべてにセンサー着けないと完全な自動運転できない、とわたしはおもってる、多分それも技術でカバーすると思うけど、あと20年は無理かな?その頃俺じいさんだから、買うわ、運転してくれるなんて便利ね
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村