国産コンパクトカーの中でも、極めて欧州車に近い走行性能を備え、CVTに加え、MT、そして国産スポーツハッチと呼べるスポーツモデルを用意してきたのが、スズキのグローバルコンパクトカーのスイフトだ。
そんなスイフトが、2023年12月に5代目となる新型のCVTモデルを発売。このクラスの国産コンパクトカーで今や希少な5MTモデルは2024年1月の発売となる。
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パワーユニットを刷新
エクステリアは一目でスイフトと分かるデザインだが、ピアノブラック調の光沢ある立体的なフロントグリル、シャープでエッジの効いたショルダーライン、サイドアンダースポイラー、ピラーのブラックアウト、そしてスイフトのお約束でもあるドシリと踏ん張った台形デザインのリヤビューが特徴であり、いかにも走りが良さそうなスタンス、佇まいを見せる。
ボディサイズは5ナンバーを維持。全長3860×全幅1695×全高1500mm(FF)、ホイールベース2450mm。先代に対して全長のみ15mm伸びているが、それがデザインの自由度を高めているという。
ちなみに、プラットフォームは先代からのキャリーオーバー(185/55R16サイズのタイヤ、BSエコピアも同様)。スズキでは、ひとつの新しいプラットフォームを2世代に渡って(先代から)使うことになっているからだ。よって、室内のパッケージング、つまり前後席のタンデムディスタンスなども先代同様になる。
一方、5代目ならではの新しさが、パワーユニットの刷新だ。先代は4気筒、1.2Lエンジンを搭載していたが、新型では新開発Z12E型の3気筒、1.2Lエンジン+CVTに換装。もちろん、先代同様に、モーター機能付き発電機=ISGとリチウムイオンバッテリーを組み合わせたマイルドハイブリッドをMX、MZグレードに採用している。そのスペックはエンジン82ps、11.0kg-m、モーター3.1ps、11.0kg-mというもので、エンジン自体の最高出力、最大トルクは先代に対してやや落ちているものの、モーターの最高出力、最大トルクは先代と同一だ(エンジンのスペックが落ちているが、むしろ低速域のトルク感は増大しているというから心配無用だ)。
4気筒→3気筒への変更は賛否両論あるかも知れないが(4気筒エンジンを積むソリオの例では、ライバルが3気筒なのに対するアドバンテージがあった)、その採用決断について開発陣に聞くと、燃費の向上、熱効率の高さを挙げる。実際、WLTCモード燃費は、新採用された高効率かつ軽量化されたCVTとの組み合わせもあって、先代FFマイルドハイブリッドモデルの最高23.0km/Lから24.5km/Lへと向上している。3気筒エンジンは特有の振動、ノイズがつきまといがちだが、そのあたりはバランスシャフトなしでもエンジン本体の剛性を高め、エンジンマウントの液封化、遮音材の多用などで対処しているという。
プラットフォームはキャリーオーバーと言っても、サスペンションはフロントストラット、リヤトーションビームという形式こそ先代と同じながら、新たに開発されたもの。スタビライザーやリンクの新設計に加え、リヤダンパーのストロークアップも新規メニューに入っているそうだ。
ついに電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能を搭載
ところで、スズキは軽自動車を始めとするクルマの”軽さ”がライバルに対するアドバンテージだった。この新型スイフトでは、純ガソリンモデルが910kg、マイルドハイブリッドモデルでも、新たにスズキ・セーフティサポートなどを充実させながら車重920~950kgを達成。ホンダ・フィットがフルハイブリッドのe:HEVモデルとは言え、ベースモデルが1190kgなのだから、新型スイフトでもスズキの軽量化の執念!?はしっかりと貫き通されていると見ていいだろう。
そして新型スイフトの3気筒エンジンの新搭載とともに注目すべき点が、新型スペーシアに続き、ついに電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能を搭載(MZグレードのみだが)したことである。純スズキのクルマはこれまで、コスト重視もあってか、他社軽自動車にも今では常識的に装備される電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能を持たず、ACCの機能や渋滞時、信号待ちでブレーキを踏み続けなくてはならない右足のストレスなどで不利で、先代のウィークポイントでもあったのだが、これでやっと現代的なドライバーモニタリングを含む最新の運転支援機能が一通り揃うことになる。
また、先進運転支援機能のスズキ・セーフティサポートもアップデートし、新開発の衝突被害軽減ブレーキ「デュアルサポートII」を搭載。ミニ波レーダー、単眼カメラ、超音波センサーを組み合わせたものだが、画角、検知エリアが拡大され、交差点右左折衝突回避支援、交差点出合頭車両衝突回避支援、前進・後退低速時ブレーキサポート、ACC(アダプティブクルーズコントロール)の使用時においてはカーブ速度抑制機能(これは高速走行時に超便利)、車線変更時の補助機能(ウインカーと連動し、自動で加減速を行い、全グレードに標準装備される!! ブラインドスポットモニターとともに、スムーズな追い越しや安全に貢献)などより、充実した内容になっている。なお、CVTモデルの全車速追従機能付きACCに停止保持機能まで付くのは、電動パーキングブレーキとオートブレーキホールド機能を備えたMZグレードのみとなる。
もちろん、”つながる安心”のスズキ・コネクト、SOSコールボタンも用意されている。細かい話では、オーディオ機能に”CDスロット”があるのもスイフトらしさとなっている。
なお、新型スイフトHYBRID MZ FFの公道試乗記については、改めて報告したい。
スズキ・スイフト
文・写真/青山尚暉
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