2020年12月に打倒アルファードとしてビッグマイナーチェンジを敢行したホンダ『オデッセイ』だが、2021年2月の販売台数は『シャトル』より少し多いくらいの1583台と、ライバルとしているトヨタ『アルファード』の1万110台には遠く及ばない状況となっている。
マイチェンから2カ月ということで、まだマイチェンの初期の恩恵があるはずなのに、こんな低迷していて大丈夫なのか? 販売の現場はこの状況をどのようにとらえているのか? ディーラーに取材し、オデッセイの消費者からの評価、そしてディーラーの持っている危機感についてレポートしていきたい。
S660絶版でついに名門途絶える!! ホンダの原点「S」の系譜と珠玉のスピリット
文/遠藤徹
写真/HONDA、編集部
【画像ギャラリー】マイナーチェンジで迫力倍増! オデッセイの最新写真集
■2020年ビッグマイチェンしたオデッセイは大胆なフェイスチェンジを敢行!
ホンダは、ラグジュアリーミニバン『オデッセイ』を2020年11月5日にビッグマイナーチェンジした。その時点で掲げた受注目標は「2021年3月末までの向こう5カ月間で営業マン1人1台」だった。
ホンダの国内営業マンの人員は推定約2万人であるから、この間に2万台を受注するという計画になる。5カ月間平均だと月間4000台になるわけだが、今年1~2月の登録台数は1月935台、2月1583台、合計2188台、月平均1259台であるから、目標の半分にも達していないことになる。
独走態勢のアルファードに対抗すべく、2020年11月にビッグマイナーチェンジを実施。話題となっている大胆なフロント部のデザイン変更のほか、装備も充実させ商品力アップを図った
ホンダは1台でも多く売るために3月末までの受注分についてはこれまで半分以上、と多くのユーザーが利用している残価設定クレジットについて、実質金利1.9%の特別低金利を設定して、受注に勢いをつけるキャンペーンを展開した。通常金利は3.5%であるから、これを利用すれば20万円以上の値引きと同等となる計算だ。
それなのに冒頭で紹介したようなこれまでの経過となっているのだから、不調の滑り出し状態といえる。
この要因は何か。オデッセイの場合、今回は全面改良のフルモデルチェンジではなく大幅手直しのビッグマイナーチェンジであるから、目標達成には限界があると言わざるを得ない。
■残念ながらホンダの思い描いたようにはならず…… 今後はさらに苦戦も
ライバルはトヨタの『アルファード』や日産の『エルグランド』であるが、現時点の販売実績ではエルグランドを大きく引き離しているものの、アルファードには大差をつけられている。
この違いはアルファードが高額所得のヤングからミドルまでの幅広いファミリー層、中小&大企業の法人、役員、高級官僚、政治家などのユーザーに愛用されているのに対して、オデッセイは高額所得のファミリー層が中心で代替え母体が限定されているといった商品力不足によるところが大きく影響している。
フロントデザインは大型グリルにダークメッキを多用し、押し出し感を強調。ただ、サイド以降はマイナー前のオデッセイと代わり映えせず……
「本来、オデッセイが直接対抗するモデルはトヨタの『エスティマ』だった。マーケットニーズが頭打ちと判断されて生産中止になってしまったので、オデッセイにとってはマイナスのイメージが定着し、足かせになった側面もある」(首都圏ホンダカーズ営業担当者)と指摘する向きもある。
中小大企業法人役員、高級官僚、政治家は従来だと、トヨタの『クラウン』を多く愛用していたわけだが、こうしたユーザーが最近、数多くアルファードに代替えしている事情もある。
3列シートであり、後席で事務処理や意見交換などの仕事ができるという利便性もある。その代わりをオデッセイに求めるのは難しい。造りやステータス性も格段に違い、代替え母体の規模も大差があるので、両モデルを比べること自体はばかれる状態なのである。
ホンダのお家芸である低床フロアにより、2列目までは、ゆったりと座れて快適だ。しかし3列目は小ぶりなシート。歴代オデッセイの伝統でもあり、仕方ないがアルファードにはかなわない
それに2020年5月にはアルファードは従来のトヨペット店専売からトヨタ全系列店扱いに拡大され、余計には販売台数が増えて、今や月販1万台規模で売れている。それにアルファードは2022年中盤にもフルモデルチェンジし、ヴェルファイアを統合し『新型アルファード』に1本化される。このことがすでに周知の事実となっているので、最近ではますます売れ行きに勢いがついているのである。
ライバル『アルファード』は月販1万台以上のセールスを記録中である。トヨタが全店、全車種販売可能となった変化点をうまく利用し、一点集中型の販売を実施している成果か??
首都圏にあるホンダカーズ店を回って、営業担当者の話を聞いて見ると「新型オデッセイはモデルとしての出来はいいと思うが、ビッグマイナーチェンジだから、あまり期待はしていない。各拠点で月に1台売れるかどうかの状況にある。アルファードとは車格やユーザーが異なるのであまり競合はしておらず直接のライバルとは思っていない」と冷静に受け止めている。
3月末までは残価設定クレジットで1.9%の特別低金利によるキャンペーン期間で比較的売りやすかったが、4月からは通常の3.5%に戻るので、20万円以上の負担増になるため、受注ピッチは頭打ちになる可能性がある。
首都圏にある某ホンダカーズ店で売れ筋の「ハイブリッド・アブソルートEX」(車両本体価格456万2000円)に有料色のプラチナホワイトパール、ナビ、ETC、ドライブレコーダー、コーティング、フロアマット、バイザーなど70万円強のオプション&付属品をつけて弾いて貰うと法定、法定外費用を含めて560万円強と出た。
値引き額は20万円が初回の提示額だった。納期は通常だと2021年5月だが、半導体製品の納期遅れの影響で7月頃までずれ込む可能性があるという。
■販売店では今後どのような戦いとなるのか!?
●証言1:首都圏ホンダカーズ店営業担当者
今回の新型オデッセイはビッグマイナーチェンジだから、売れ行きはせいぜいこんなものだろうと受け止めている。当店では毎月1台以上はコンスタントに売れている。全国では月販2000台以上になるのだから、まずまずと考えられる。
ユーザー層は高額所得のファミリーで歴代モデルやステップワゴンからの代替えが70%以上を占める。ハイブリッドとガソリンNAとは半分ずつだが、最近ではハイブリッドが増える傾向がある。
多くは装備が充実した最上級の「アブソルートEX」で占められる。2021年4月以降は残価設定クレジットの実質金利が3.5%に戻るので、多少受注ピッチが頭打ちになる可能性がある。
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みんなのコメント
記事にある通り、本来、オデッセイが直接対抗するモデルはトヨタの『エスティマ』だったわけだし、
個人的にオデッセイといえば、いまだに全高の低いミニバンというイメージが強い。
勿論今まで積み重ねて来た結果なんだけど、どのメーカーも余程の事が無い限り太刀打ち出来ないでしょう。