運営元:旧車王
著者 :高岡 ケン
日本の最大のライバルと言っても過言ではない、自動車大国のドイツ。
この国では、日本と同様に自動車のオークションサイトがあるのはご存知だろうか。
実際に知っているという人は少ないだろう。
それもそのはず。
このオークションサイトは個人での参加はできず、法人のみが閲覧できるようになっているからだ。
その名もAuto1(ドイツ語でアオトアインツ)と呼ばれている。
今回は、ドイツ最大規模の自動車オークションサイトである、Auto1について解説していく。
■1.日本のソフトバンクが出資!?Auto1グループは、2012年に設立された会社で、法務本部はミュンヘン、管理本部はベルリンに置くヨーロッパ最大の中古車サイトだ。
クリスチャン・ベルダーマンとハカン・コチによって設立されたこの会社は、中古車取引をデジタル化するというアイデアのもと生まれた。
2018年には、日本のソフトバンクが4億6000万ユーロ(現在のレートで約720億円)を投資し、評価額は29億ユーロ(約4500億円)となった。
2019年にはヨーロッパで最高評価の非上場スタートアップ企業となり、2021年にはフランクフルト証券取引所に上場した。
ここ数年で急成長を遂げた、今ヨーロッパでもっとも勢いのある中古車取引会社だ。
▲点検・査定用ガレージ
■2.ドイツ意外の国からも購入できる?Auto1グループでは、現在3つのプラットフォームで構成されている。
・Wirkaufendeinauto.de主に自動車の点検と購入をおこなう部門であり、ドイツ国内だけで120以上の拠点を持っている。
国外では、オーストリア、ベルギー、フランス、イタリア、スペイン、スウェーデン、オランダ、ポルトガルに拠点がある。
クルマの売却希望者はウェブサイトにて車輌データを入力し、あらかじめおおよその買取金額を把握することができる。
実際に売却を行う場合は、車輌を最寄りの拠点へと運び、点検や査定を受けて最終金額の確定をおこない、小切手を受け取り売却完了となる。
▲買取後の売買手続きを行う事務所
・Auto1.comAuto1は、中古車の売買をオンラインでおこなうBtoBマーケットプレイスだ。
30カ国以上、6万社以上のディーラーが利用しているヨーロッパ最大のオークションサイトである。
毎日3000台以上の買取を行い、常時在庫は30,000台以上保有している。
ディーラーは専用サイトにて、オークション形式で車輌を購入することができる。
これにはドイツ以外の国のディーラーも参加しているため、もちろんドイツ以外の国からも車輌を購入することができる。
▲検査場
・AutoheroAutoheroは2016年に設立された、オンライン自動車ディーラーである。
あらゆるメーカーや価格帯のクルマを取り扱う、日本のカーセンサーと同様のサイトである。
■3.急成長を遂げたその仕組みとはAuto1に掲載された車輛は、すぐにディーラーが車輛データを確認できるようになっている。
サイト上には複数枚の写真とともに、年式、走行距離、グレード、オプションなどはもちろんのこと、直近の整備記録やオーナー数など事細かく記載されている。
さらに、専門の査定士による車輛のチェックが行われ、事故歴や修復箇所、エンジンや足回りなども細かくチェックがおこなわれる。
修理が必要な場合や、タイヤの残り溝やブレーキパッドの残量までもサイト上で確認することができるため、現車を確認せずともほとんどの情報が得られるというわけだ。
しかもオークションの開催期日は最大2日と、非常に短く、オークションに限らず一括で購入することも可能となっている。
ディーラーが車輛を購入した場合は、陸送の手配まで自動でおこなってくれるため、車両金額を振り込めば、あとは到着を待つだけ。
この異常なほどの回転率の速さと効率の良いシステムが、会社の成長へと繋がったのではないだろうか。
■まとめドイツでは、5年ほど前まで中古車市場がまとまっておらず、車輛の売買は主にディーラー同士、または個人とディーラーでおこなわれていたそうだ。
この中古車売買を統一し、一本化に成功したのが、Auto1というわけだ。
実際に、著者はこのサイトを何度も利用しているが、非常に使いやすいサイトとなっている。
ネット上で車輛データを事細かく把握することができ、現車確認をする必要がないからだ。
1つ問題を挙げるとすれば、ドイツ国内以外の出品車輛は買いづらいということ。
なぜなら、ドイツの車検基準は非常に厳しく、ドイツ国外(例えばイタリアやフランス)などから購入した車輛は、ほとんどの確率でドイツの車検に通らないからだ。
しかし、デメリットを踏まえた上でも、非常に扱いやすいサイトであることは間違いない。
今後も利用者が増えることが予想されるため、これからのAuto1グループの成長に目が離せない。
[ライター・撮影/高岡ケン]
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