2024年10月4日(現地時間)、ルノーはCO2排出量90%削減を実現する画期的なコンセプトカー「エンブレム」を発表した。このモデルは10月14日にフランス・パリで開幕するパリオートサロン2024で一般公開される。市販化を想定した現実的なモデルで、今後の展開が注目される。
充電式バッテリーと長距離走行用の水素燃料電池のハイブリッド
コンセプトカー「ルノー エンブレム」は低炭素モビリティの実現という自動車メーカーにとっての大きな課題に取り組んだ話題作。ゆりかごから墓場まで、車両のライフサイクル全体で脱炭素化を目指す画期的なプロジェクトで、現在製造されている同等の車両と比較して、CO2排出量を90%削減し、車両のライフサイクル全体で5トンのCO2換算排出量に抑えることを目指す。
●【くるま問答】ガソリンの給油口は、なぜクルマによって右だったり左だったりするのか
パワーユニットは日常使用に十分な容量(40kWh)の充電式バッテリーと長距離走行用の水素燃料電池のハイブリッドで、その2つを動力源に電気モーターで後輪を駆動する。電動モーター、バッテリー、燃料電池、水素タンクなどのコンポーネントを効率よく搭載し、低重心と理想的な重量配分を維持し、パフォーマンスと効率を向上させた。
バッテリーは軽量で、安価で、かさばらず、環境に優しい新設計で、走行距離は数百kmと日常生活を余裕でカバー。 30kWの燃料電池は2.8kg の水素タンクを搭載して長距離走行に必要な電力を供給する。水素燃料補給は1 回あたり5分未満で350km走行できる。
パリとマルセイユ間の一般的な走行では、車両が消費する電力の75%が燃料電池によって生成されるという。
このプロジェクトの画期的な部分は車両のライフサイクル全体で脱炭素化を目指していることで、材料の抽出と部品の生産から、車両の組み立て、輸送、使用、メンテナンス、リサイクルまで考慮し、パートナーやサプライヤーも含むルノーグループ全体で横断的に一丸となって、「ライフサイクル分析」と呼ばれる世界標準化された基準ツールのもとで脱炭素化に取り組んでいる。
たとえば、ガソリン エンジン搭載のキャプチャーの場合「ライフサイクル分析」に基づく総排出量は50トンのところ、メガーヌ E-Tech 電気自動車の場合は 24 トン、コンセプトカー「ルノー エンブレム」では5トンと、現在の標準的なガソリン車と比べると約90%の削減となる。
効率よく設計された斬新なスタイリング、ルノーの価値重視戦略にも注目
コンセプトカー「ルノー エンブレム」は、脱炭素化に向けて車両デザインを含めて総合的なアプローチを行っており、そのスタイリングはエアロダイナミクスを追求し、美観を損なうことなく、効率よく設計されている。
たとえば、アウターミラーはホイール アーチに配されたカメラに置き換えられ、フロントガラス ワイパーはボンネットの下に隠され、ホイールはフルディスクとなり、ボンネットの 2 つのフィンとバンパーの 2 つの通気口は後方に空気をスムーズに導き、空気抵抗を最小限に抑えるアクティブ ディフューザーに送られる。
全長4.8mのシューティング ブレーク スタイルのボディは、2.9mのワイドなホイールベースを持つワゴンと、1.52mの適度な高さと流れるようなルーフラインを持つクーペの要素が組み合わされる。車両重量はエコデザインアプローチの一環として余分な部分をすべて取り除き、現時点でバッテリーを含む重量は1750kgを目標としている。これは同様のサイズのほとんどのハイブリッド SUV や電気自動車よりも軽量となる。
まだコンセプトカーの段階で車両価格は明らかになっていないが、市場に存在するライバルに対抗するためには競争力のある価格は必須で、ルノーは「ルノーの価値重視戦略に沿って、Cセグメント以上で革新を続けるルノーを象徴したものになります」とコメントしている。コンセプトカー「ルノー エンブレム」はパリサロンで一般公開された後、10月末に全面公開される予定となっている。
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