■2018年の販売台数上位はハイブリッド仕様を展開
世界中の自動車メーカーは、『SUV人気』という理由で揃って大小さまざまなSUVモデルを発売しています。
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しかし、国内の2018年年間販売台数において、SUVで一番売れているのは、トヨタ「C-HR」の7万6756台が最高位となり、首位の日産「ノート(13万6324台)」と大きく差を付けられているのが現状です。
上位のほとんどが『ハイブリッド仕様』を備えたコンパクトまたはミニバンモデルです。なぜ、『SUV』と『ハイブリッド』を兼ね備えたモデルは日本で爆発的に売れないのでしょうか。
国内の自動車メーカーではここ数年、新型SUVのラッシュが続き、新型モデルとして発表されたマツダ「CX-8」、三菱「エクリプス クロス」、レクサス「UX」やフルモデルチェンジして話題となったスズキ「ジムニー」、スバル「フォレスター」が登場しています。
また、復活組として2019年春に発売を予定しているトヨタ「RAV4」やホンダ「CR-V」など国内でも異常なほど盛り上がりを見せているため、前出した“SUVが人気”という雰囲気があるのです。
実際、「RVブーム」や「ミニバンブーム」に続き「SUVブーム」が来ているのは確かで、近年多様化するユーザーニーズやアウトドア、車中泊といった別要素の影響もあって、昔よりSUVは好まれる傾向にあります。
それでも、実際の販売台数上位を占めるのは、日産「ノート」、トヨタ「アクア」、トヨタ「プリウス」、日産「セレナ」といった、環境性能や燃費の良さを考慮したハイブリッド仕様がウリのモデルです。
とくに、日産「ノート」は、最新のモデルと比べてもデザインや基本性能は古いですが、日産独自のハイブリッドシステム「e-POWER」が最大の魅力となっています。
コンパクト、SUV、ハイブリッドを兼ね備えたモデルとして、「ヴェゼル」を展開するホンダは次のように話します。
――ヴェゼル(ハイブリッド)の誕生背景や販売推移を教えてください。
デザイン性/燃費・環境性能/安全など、お客様の求める価値を凝縮し「新たな車選びの新価値」を幅広いお客様へ提案するモデルとして投入しました。
また、ハイブリッド仕様の販売推移は、年間5万台前後と同じSUVのハイブリッドモデルでは、売れています。国内販売のSUV全体でも継続して大きなシェアを得ているモデルであり、そのなかで7割がハイブリッドということですので、上位にいないという認識はありません。
――ヴェゼル(ハイブリッド)ユーザーの購入理由を教えてください。
取回しの良いサイズでありながら、魅力あるスタイリングと室内空間の広さ等、使い勝手のよいパッケージを両立していることに加え、経済性も高いという総合力の高さが購入される理由といえます。
■SUVハイブリッドも多様化している
世界的な状況を見る限り、「ハイブリッド」や「電気自動車(EV)」が今後の主力となることは予想でき、ユーザーの意識も徐々に移り変わっています。
世界初の量産電気自動車「i-MiEV」を2006年に発表し、ラインナップの多くにSUVも展開する三菱にも『SUV人気』と『ハイブリッド』を兼ね備えたモデル「アウトランダーPHEV」が存在。
2012年に発表され、世界で最も売れているプラグインハイブリッドモデルとして、欧州でも人気が高く人気です。三菱関係者は、日本での販売状況やEV・PHEVとハイブリッドの違いについて、次のように説明しています。
「確かに、『SUV』と『ハイブリッド』の要素を掛け合わせると売れるような商品にはなるかと思います。
三菱に関していえば「アウトランダーPHEV」はミドルサイズで、従来のハイブリッドとは違いPHEVを採用していることから、価格帯的にも他のモデルより手が届きにくいということがあります。 また、成り立ちとしても市販化されているSUVハイブリッドモデルは、『ガソリンからハイブリッド』という流れで生まれているのに対して、三菱は『EVからのPHEV』という面でも狙っている部分が違います。
そのため、上記の売れる要素とは違う方向性になり、『SUVのハイブリッドモデルだから売れる』には当てはまりません」
※ ※ ※
単純に『SUV』と『ハイブリッド』を合わせれば売れる訳ではありません。しかし、それでも自動車メーカーが大幅に販売台数を延ばすことの無い、SUVモデルに力を入れる理由にはグローバル化が関係しているのです。
国内では、爆発的な売れ行きが無くてもある程度売れる商品であれば良く、そこにハイブリッド人気の高い欧州と広大な面積を誇る大陸を移動でき、ある程度の走破性能を兼ね備えていれば、グローバルでの販売台数を見込むことができます。
こうした背景のもと、自動車メーカーは『SUV』と『ハイブリッド』の価値を認め、開発に力を注いで続々とモデルを投入しているのです。 【了】
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