すっきりと晴れた日が続くドイツの夏。気温は25度前後と、過ごしやすい天候が続いています。現在開催中のワールドカップでは、まさかのグループリーグ敗退を喫してしまったドイツ。敗退が決まった時はかなり暗いムードが漂っていましたが、現在ではサッカーの試合そのものを楽しんでいる人が多いですね。
レストランのテラス席には大型のスクリーンやテレビが用意され、そこでビールや食事を楽しみながらゆっくりと観戦するのがドイツの人々のスタイル。筆者もそこに混じって観戦していたところ、ドロドロと特徴的なV8サウンドが聞こえてきて、思わずテラスを飛び出してシャッターを切りました。今回ご紹介するのは、意外なほどドイツで人気のあるアメリカンV8クーペ、初代フォード・マスタングです。
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アメリカ車はドイツで人気?
筆者がドイツのクラシックカー・イベントに足を運ぶようになって気が付いたのが、「想像していたよりもずっとアメリカ車の数が多い」ということでした。フォード・トリノ、シボレー・カマロやコルベット・スティングレイ、ポンティアック・ファイアーバードなどといったクルマが一堂に会することも珍しいことではありません。しかも、来場者からの注目度も高く、多くの人々がクルマと一緒に写真を撮るなど、イベントのヒーローまたはヒロイン的人気があることにも驚きました。
クラシックカーだけではありません。2010年代以降のアメリカン・クーぺも、公道で見かける機会は日本よりも多い、という印象を受けます。日本に導入される直前でブランド自体が日本から撤退してしまい、正規輸入されることがなくなってしまった現行フォード・マスタングや、ヨーロッパのレースシーンでもおなじみのシボレー・コルベットZ06、ダッジ・バイパーなど…ドイツに住む人々は制限速度こそ守るものの、加速時には思い切りアクセルを踏み込む人が多いので、豪快な排気音に思わず振り返るということも日常茶飯事です。
そのスタイリングで市場を撃ち抜いた、初代フォード・マスタング
今回撮影したクルマは、1964年にデビューした初代フォード・マスタング、そのコンバーチブルモデルです。製造から30年以上経過し、かつオリジナル状態を維持しているクルマに付与されるドイツ独自のクラシックカー・ナンバープレート「Hナンバー」を掲げたこの個体は、まさに極上のコンディションと言って良いでしょう。メッキパーツには曇りやくすみもなく、繊細なデザインのホイールもピカピカの状態を保っていました。シンプルかつ美しい存在感のあるエクステリアデザインは、「このクルマがなぜ爆発的に売れたのか」という問いを端的に答えてくれています。木漏れ日の下にたたずむフォード・マスタングを写真に収めようと、筆者以外にもカメラを構える人がいたのも印象的でした。
初代フォード・マスタングが革新的だったポイントはいくつかありますが、その中の一つが「フルチョイスシステム」と呼ばれるセミオーダーシステムの採用です。マスタングは若者にも手が届くように、他車からの流用パーツを増やし、開発コストを減らし、標準装備を質素にして、車両本体価格を低く抑えました。その代わりに、オートマチックトランスミッションやホワイトリボンタイヤ、ビニールレザーシートなどの豊富なオプションを用意し、エンジンも直列6気筒からV型8気筒エンジンまで排気量別に選べるようにしたのです。その結果、年間目標販売台数10万台のうち、発売初日だけで2万2千台を受注。発売後1年間で目標の4倍以上の41万7千台を売り上げる、驚異的な人気を誇りました。
同一コンセプトで、現在まで生産が継続
写真の個体のサイドには「289」のバッジが貼られていますが、これは排気量を示すものです。289立方インチ、つまり4.7リッターのV8エンジンを搭載しています。チューニングは203PSから275PSまでいくつか用意されていたので特定はできませんが、アメリカ車としてはコンパクト(それでも全長は4.6m超!)で軽量なボディを走らせるには十分な動力性能でしょう。
初代フォード・マスタングが大成功を収めたのをきっかけに、他ブランドも同じコンセプトのクルマを多数市場に投入しました。いわゆるマッスルカー、ポニーカー時代が幕を開けます。2ドアクーぺスタイル、(アメリカ車としては)コンパクトなボディ、V8エンジン、FRといった特徴を持つポニーカーたちは結局、時代の流れで淘汰され消えていきましたが、フォード・マスタングだけが現在まで一度も生産中止になることなく生き続けています。
ポニーカーと同じコンセプトで作られたクルマがヨーロッパに存在しない、ということもあるのでしょう。ドイツのクラシックカー雑誌でも、初代フォード・マスタングは時折表紙を飾ります。同一コンセプトで途切れることなく生産が続けられている、という点では、ドイツの誇る長寿モデル、ポルシェ911も同じですね。ドイツの人々が初代フォード・マスタングに向ける眼差しは、まさに「敬意」といったものなのかもしれません。
[ライター・カメラ/守屋健]
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