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1980年代を象徴する名車 40選 前編 時代に彩られた不朽のヒーローたち

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1980年代を象徴する名車 40選 前編 時代に彩られた不朽のヒーローたち

黄金の80's 名車特集

ソバージュヘア、特大肩パッド、ロックンロール……そして、時代の先端を行くクルマたち。1980年代に生まれた文化や価値観、技術は現代にも大きな影響を与えている。特に、当時のヘアスタイルやファッションなどは近年の若者にも受け入れられ、トレンドになっている。

【画像】黄金の1980年の名車たち【ポルシェ944やBMW M3、初代トヨタMR2などを写真で見る】 全116枚

自動車業界でも素晴らしい商品やアイデアがたくさん生まれ、中には世界を驚かせるような奇抜なものもあった。そんな1980年代のクルマは、すでに「クラシックカー」の仲間入りをしつつある。お目にかかれる機会も少しずつ減ってきた。そこで、今回は黄金の1980年代を振り返り、当時を象徴するような、カリスマ的な名車を紹介したい。

ポルシェ944

1982年に発売されたポルシェ924は、17万台以上が販売された往年の名車である。当時のポルシェはまだ小さな会社であったにもかかわらず、立派な数字だ。924はよくできたクルマで、フラッグシップモデルの911を購入せずとも、念願の「ポルシェ」を比較的手頃に所有することができたのだ。

この924をベースとした第4のモデル、ポルシェ944は、924と外観上の類似点はあるものの、ドライビングにもっと焦点を当てたマシンであった。

ポルシェは944 2.5、944 S、944 2.7、944 S2およびS2カブリオレ、そして最上級モデルのターボなど、さまざまなバリエーションを展開。全車、ポップアップ式ヘッドライト、ブラックのスポイラー付きガラス製リアリッド、ボディ同色バンパー、2+2レイアウトを採用した。

ポルシェ944は、1982年から1991年の生産終了までの間に、924を上回る17万3238台が販売された。

BMW M3(E30)

ツインターボ付きの6気筒モデルが登場する以前、M3はベーシックな2+2クーペだったが、その速さは折り紙付きだ。E30型M3は、200psの2.3L 4気筒にドッグレッグ式5速トランスミッションを組み合わせ、後輪を駆動する。現代の基準からすると決して速いとは言えないが、0-100km/h加速7.0秒、最高速度235km/hを達成し、1200kgという車重によりコーナリングも容易にこなす。

スタイリングもM独自のものだ。筋肉質なリアアーチが16インチのクロススポークホイールを包み込み、レーシーなリアスポイラーでバッチリ決めている。E30型M3は、そのデザインだけでカルト的ファンを獲得。現在でもクルマ好きの欲しいものリストに名を連ねている。

アウディ・クワトロ

名作と言われる歌や映画と同じように、世界的に有名なクルマを説明するのに言葉はほとんど必要ない。1976年、アウディの技術者たちは、ファミリーカーに四輪駆動方式を採用することを思いつく。しかし、当時ほとんどのオフロード車が商業的でラフなものだったため、このアイデアは上層部にすんなりと受け入れられなかった。

技術者はあきらめずに開発を続け、アウディ80のボディとフォルクスワーゲン・イルティス(軍用車)のドライブトレインを組み合わせたフランケンシュタインのようなクルマを作り上げた。

こうして、泥まみれのラリーカーとして有名なアウディ・クワトロが誕生し、23回の世界選手権を制覇したほか、市販モデルも発売された。同時代のフェラーリ308 GTBが0-100km/h加速6.5秒であるのに対し、クワトロは6.3秒を記録している。

プジョー205 GTi

ポルシェ928やジャガーXJR-Sといったハイブランドがひしめく中、205 GTiは1980年代を代表する1台として、現在でも語り継がれている。チューニングされたエンジンと軽量化、控えめなデザインで大きな成功を収めた。1984年のモデルは1.6Lエンジンで104psを発揮するが、2年後の1986年には115psにパワーアップしている。

同年、1.9Lで130psというパンチの効いたモデルも登場した。875kgという軽さのおかげで、0-100km/h加速は8秒弱、最高速度は200km/hを超える。巧みなシャシー・チューニングにより、コーナリングを楽しむだけでなく、オーバーステアを誘発することもできた。205 GTiは、派手なエアロパーツがなくても楽しめることを教えてくれるクルマだった。

ルノー5 GTターボ

初代ゴルフGTIやプジョー205 GTiが注目を集める中、ルノーからはGTターボが登場した。最高出力117psのGTターボは205 GTi(1.6Lモデル)を圧倒し、チューニングに対する柔軟性の高さもあって、たくさんの改造車が作られ、消費されていった。1986年に英国で放映されたテレビ広告では、0-100km/h加速7.5秒というパフォーマンスを披露している。

1985年のルノー5 GTターボの新車価格は7000ポンド(現在の約2万ポンド)で、翌年に発売されたプジョー205 GTi 1.9Lより1445ポンドも安かった。

フォルクスワーゲン・ゴルフGTI

2代目ゴルフGTIを抜きにして、80年代の名車は語れない。もっと速いクルマは他にもあったが、ゴルフGTIには小さくて楽しいホットハッチの伝統がある。初代GTIの成功に続き、象徴的なツインヘッドライトはそのままに、やや丸みのあるボディワークと1.8Lの8バルブおよび16バルブエンジンを備えていた。

初代よりも10%重くなったが、最高出力113ps の8バルブエンジンは950kgの車体に十分だった。140psの16バルブエンジンの導入は、フォードなどのライバルに対抗するものであり、2代目ゴルフGTIはトップクラスのホットハッチへと昇華した。

フォード・エスコートRSターボ

「RS」の名称が付くフォード車は、ラインナップの中で最もドライビングに特化したモデルである。エスコートRSターボは、前輪駆動車として初めてリミテッドスリップデフを採用し、最高出力134psのターボエンジンによって当時最速のホットハッチの1つとなった。

インテリアでは、ブルーのステッチが施されたレカロ製シートなどスポーティな仕上げに。英国のダイアナ妃が入手した1台(同モデル唯一のブラックカラー)は、2022年に72万2500ポンド(約1億2000万円)で落札された。

ルーフCTRイエローバード

1987年、ヘルメットもグローブも装着しないドライバーが、新型CTRイエローバードでニュルブルクリンクをわずか8分05秒で周回するプロモーションビデオが公開された。フェラーリ288 GTOやランボルギーニ・カウンタックが最高速度305km/hを誇っていたのに対し、CTRイエローバードは340km/hを記録。イタリア勢を圧倒した。

リアに搭載された3.4Lツインターボは469psを発生させ、1150kgという車重も手伝って、このようなパフォーマンスを実現している。生産台数はわずか29台。

フェラーリF40

F40はフェラーリの創立40周年を記念して作られたモデルで、これまでに生産されたフェラーリの中でも、世界で最も影響力のあるスーパーカーの1つに数えられている。フロントシートの後ろに配置されたV8ツインターボは478ps/7000rpmを発生し、車重は同時代のホットハッチよりわずかに重い程度であった。

パワーはすべて5速マニュアル・トランスミッションを介して後輪に伝達され、0-100km/h加速4.1秒、最高速度324km/hを達成。1987年当時、F40は19万3000ポンド(約3000万円、日本仕様は税別4500万円)で発売されたが、現在の価格はその5倍以上である。

ポルシェ959

1986年、305km/hを超える最高速度で、市販車最速の座に君臨したこのクルマは、今や自動車界のアイコンとなっている。ポルシェ959は、四輪駆動システム、可変トルクスプリット、アダプティブ・ダンピング、ノーメックスやケブラーといった宇宙時代の素材を採用する先進的なクルマだった。2.8Lツインターボフラット6は450psを発生し、0-100km/h加速は3.7秒に達する。

1987年から1988年の間にわずか292台が製造され、オークションに出品された1台は、38万8988ポンド(46万7500ドル、約6200万円)で落札された。2021年のオークションでは、110万ポンド(約1億7000万円)で落札されている。

フォード・シエラRSコスワース

シエラRSコスワースは、フォードをツーリングカーレース選手権のトップに押し上げるために作られたが、最終的には世界のスーパーカーと争うホモロゲーションモデルとなった。ターボチャージャー付き2.0Lエンジンがフロントに搭載され、リミテッドスリップデフを介して後輪に207psを伝達、0-100km/h加速6.2秒、最高速度230kmを達成した。

15インチのマルチスポークホイールに、特徴的なホエールテールスポイラー、大きく膨らんだボディ、熱気を逃がすためのボンネットベントを備えている。1987年には、500台限定のRS500が発表された。

フィアット・パンダ

フィアットは1980年から2003年までの間に450万台以上のパンダを生産した。開発当初、「ルスティカ(Rustica)」という車名がつけられる予定だったが、土壇場でパンダに変更され、大衆向けの質素な低価格車として登場した。

はじめは903ccの4気筒エンジンを搭載していたが、パンダ・ハビタットや1990年のFIFAワールドカップ・イタリア大会を記念したパンダ・イタリア90など、さまざまな特別仕様車が設定され、年を追うごとにラインナップが充実していった。

トランスミッションは4速MTであったが、1983年に5速に変更。パンダの軽量ボディを生かした4×4仕様は好評を博した。

ランチア・デルタ・インテグラーレ

デルタ・インテグラーレは、日常的に乗ることのできるクルマではあるが、運転は特別なイベントとなるだろう。四角いプラスチック製パーツで覆われたキャビンには、2.0L直列4気筒ターボが鳴り響き、8ダイアルのアナログダッシュボードには回転数からターボのブースト圧までが表示される。1983年にHFがリリースされ、1986年にはHF 4WDも登場した。

1980年、デルタは欧州カー・オブ・ザ・イヤーを受賞。デルタ8Vラリーカーは1987年から1992年のWRCで6連勝を達成している。

サーブ900ターボ

その昔、フューエルインジェクションや四輪駆動を持つクルマはあっても、ターボを載せたクルマは少なかった。1978年に発売された900ターボは、流線型のボディ、ファストバックスタイル、602Lの大容量トランク、そして145psの出力を備えていた。

1985年に改良された16Vエンジンは175psを発揮し、0-100km/h加速はわずか6.9秒と、今日の水準から見ても優秀なものであった。

1981年以降の車両には3速ATが搭載され、またエンジンにダメージを与えることなく異なる燃料グレードを使用できるオートマチック・パフォーマンス・コントロールも導入された。1983年には業界初となるアスベストフリー・ブレーキを採用。20年間で90万8817台が生産され、その約4分の1がターボであった。

トヨタMR2

1989年、AUTOCAR英国編集部は「英国で最もハンドリングが良いクルマ」を見つけるためにサーキットに通い詰め、たくさんの最新モデルをテストした。候補に選ばれたのは、フェラーリ328 GTB、ランチア・デルタ・インテグラーレ、ポルシェ944 S2、メルセデス・ベンツ190E 2.3-16、トヨタMR2であった。結果としてポルシェ944が優勝したものの、MR2を振り切るのは至難の業だった。

1970年代の石油危機の中、トヨタは燃費の良いスポーツカー、MR2を投入する。初代MR2は、最高出力130psの1.6L直4エンジンを搭載し、7600rpmというフェラーリ並みの回転数を誇った。トヨタAE86のようなポップアップ式ヘッドライト、フェラーリのようなCピラー、ベント付きのバックエンドなど、ユニークなスタイリングが特徴的な1台だ。

ランチア037ストラダーレ

1982年の世界ラリーでは、ヴァルター・ロールがステアリングを握るアウディ・クワトロが圧倒的な強さを誇っていた。しかし、そのわずか1年後、ランチアは037と呼ばれる二輪駆動車で王座を奪い返す。現在もなお、ラリー史上唯一、二輪駆動車が四輪駆動車を破った記録を保持している。

強化ガラス繊維ケブラーを使用し、わずか1170kgの重量を実現。207台のホモロゲーションモデルが生産された。ミドマウントのスーパーチャージャー付き2.0Lエンジンは255psを発生し、ラリー仕様では330psに迫った。2019年、037グループBラリーカーが100万ポンド(約1億6000万円)強で落札されている。

ランボルギーニ・ジャルパ

ジャルパは、フェラーリ308やポルシェ911 SCと競合するランボルギーニのエントリーモデルで、わずか53台しか売れなかったシルエットP300をベースにしている。1970年代、ランボルギーニはオフロード車のチーターを米陸軍に売り込んだが、失敗。シルエットの挫折も重なり、社内には暗い空気が漂っていたことだろう。そこでシルエットの改良が命じられ、1980年代にジャルパが誕生することになる。

ジャルパは400台以上が販売され、ランボルギーニは経営危機を脱することができた。そして、その資金でカウンタックのアップデートが行われた。1988年、ランボルギーニの販売台数が十分でなかったため、ジャルパの生産は中止された。

ホンダCR-X

この時代、もっと美しいクルマは他にもあったが、消費者が必要とするすべてのもの、すなわち2シーターの小さくミニマルな車体と低燃費を備えていたのがホンダのCR-Xであった。1984年の発売当時は、1.3Lで60psを発生するエコノミーモデル、1.5Lで76psのスポーティモデル、5速MTと3速ATが用意されていた(いずれも英国仕様の性能値)。1988年には2代目が導入され、150psの1.6L VTECも選択できた。

100psのモデルはパフォーマンスと経済性を両立させ、当時としては珍しい21km/lの燃費を実現し、高く評価された。1990年代には凝った機構の電動オープンルーフを備えたCR-Xデルソルがデビューするなど、3世代(バラードスポーツCR-X、CR-X、CR-Xデルソル)にわたって数多くのファンを獲得した。

ロータス・エランM100

ロータスで最も人気のあるクルマは、おそらくエリーゼであろう。エスプリもジェームズ・ボンドがハンドルを握ったことで人気が高まった。しかし、初代エランもバランスのとれた前輪駆動車である。

1989年にマツダのMX-5(ロードスター)に対する英国の回答としてM100系エランが登場したが、その奇抜なスタイリングと前輪駆動方式が鼻についた。MX-5が40万台以上売れたのに対し、エランは4700台しか売れていない。

ミドシップの後輪駆動とする当初の計画が悔やまれるところだが、ハンドリングは実に興味深いものだった。剛性の高いシャシーとコーナーでのロールを最小限に抑えたおかげで、ほぼ後輪駆動車のような挙動を示し、AUTOCAR英国編集部のテストでは「最も速いポイント・ツー・ポイント・カー」と評している。

フォードRS200

RS200はWRCでの成功を逃したが、ラリー参戦マシンとほぼ同じ姿をした市販モデルが登場。大型フォグランプ、エアインテーク、ダックテールスポイラー、ミドエンジンなど、競技仕様とほぼ同じデザインである。

インテリアでは、深いバケットシート、大きなトランスミッショントンネル、豊富なメーター類など、ラリーの精神が受け継がれている。市販モデルは1.8Lターボエンジンから250psを発生し、0-100km/h加速5秒強のパフォーマンスを見せたが、ラリー仕様は450psを誇った。2019年、英国のオークションで1988年式のRS200が29万2500ポンド(約4600万円)で落札されている。

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みんなのコメント

2件
  • 正式にはランチア ラリーだと思うのですが?ストラダーレとかは公道仕様かラリー仕様かを区分する名称だし037は開発コードナンバーだったと思います。
    そもそも、037とかストラダーレが入るのは構いませんが、正式名称のラリーが抜けているのはね…みんなが見るのだから、その辺しっかり書いてもらいたいものです。
  • 30年前は正規ディーラーが無くても購入しようという車好きなひとが沢山いた時代でした。現在、新車当時のパフォーマンスを維持できるかと言われたら、よほどの思い入れか資金が無くては無理な車種になっていますね。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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