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【星野一義】1960年代から70年代「欧州F2挑戦を糧に国内F2、GCダブルタイトルを獲得」【日本一速い男の半生記(3)】

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【星野一義】1960年代から70年代「欧州F2挑戦を糧に国内F2、GCダブルタイトルを獲得」【日本一速い男の半生記(3)】

「日本一速い男」と呼ばれ、かの元F1ドライバーE・アーバインをして「日本にはホシノがいる」と言わしめた「星野一義」。通算133勝、21の4輪タイトルを獲得した稀代のレーシングドライバーの50有余年に渡る闘魂の軌跡を追う。(「星野一義 FANBOOK」より。文:小松信夫/写真:SAN’S、モーターマガジン社)※タイトル写真は1975年JAFグランプリでのFJ1300(東名マーチ733・ニッサン)

「日本一速い男」の呼び名を確立
1977年シーズンの星野は、国内レースでは盤石の強さを見せている。フォーミュラカーではFJ1300からは卒業してF2000に専念し、前年から熟成を重ねてきた国産F2000マシンのノバ512B・BMWに乗って7戦3勝、7PP(ポール・ポジション)を記録して2度めのチャンピオンの座に着いた。

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 さらにスポーツカーレースの富士GCでも4戦2勝、3PPでシリーズ2位。驚くべきことに1978年にはF2000から改称された全日本F2シリーズで3勝して2連覇。

そして富士GCでは5戦3勝、しかも3勝いずれもポールtoウインという驚異的な速さを見せて初のGCタイトルを獲得する。名実ともに「日本一速い男」としての地位を確立した時期だと言える。

まさに脂の乗り切った年、星野は初めての海外遠征に挑んでいる。富士でのF1GP参戦では越えられなかった世界への壁に挑むため、6月にヨーロッパF2選手権へスポット参戦したのだ。マシンは国内最速のノバ532、BMWエンジンはヨーロッパにもその名を轟かすケン松浦チューン、メンテナンスはノバ・エンジニアリング、タイヤはブリヂストン、スポンサーはペンタックス。

国内で星野を支えてきた最強のチーム体制をそのまま持ち込んでの、満を持してのヨーロッパ挑戦のはず、だった。

しかし、乗りに乗っていた星野をもってしても、富士や鈴鹿に特化して開発されたマシンやタイヤを、ヨーロッパのコースにマッチさせることができず、苦戦の連続となってしまう。コースのコンディションによって一瞬は光る走りも見せもしたが、ヨーロッパの強豪ドライバーたちと完成度の高い最新のF2マシンを相手に国内で見せたような速さ、強さをついに発揮することはなかった。

星野の名を世界に知らしめるはずが、1戦目のルーアンでは予選8位・決勝リタイア、2戦目のドニトンでは予選8位・決勝リタイアという屈辱的な結果に沈む。しかもドニトンでは国内から持ち込んだドライブシャフトのスペアパーツが底を突いて、予定していた3戦目のエンナを走ることもできないという、惨憺たる結末となってしまう。

この遠征からしばらく、星野はヨーロッパへの挑戦を封印する。そしてこの屈辱をバネに、国内のレースへと集中。年のF2・GCダブルタイトルに始まる、80年代序盤にかけての圧倒的な強さを見せるきっかけとなった。(80年代に続く)

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