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死ぬまでに一度は訪れたい「フェラーリ・マラネロ博物館」とは? 最新2022年の展示車両を一挙紹介

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死ぬまでに一度は訪れたい「フェラーリ・マラネロ博物館」とは? 最新2022年の展示車両を一挙紹介

普段は見られない細部まで観察できる貴重な博物館

 2022年6月、ヴェルナスカ・シルバーフラッグの取材でイタリアに出かけた際に、モデナとトリノ、そしてミラノで巡ってきた博物館のなかで、イタリアで最も新しい自動車博物館としてFCAヘリテージHUBを以前に紹介しました。

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 今回は、グループの一員ながらFIATが本拠を構えるトリノから300kmほど東に位置する、創業の地であるモデナで展開するフェラーリの企業博物館、フェラーリ・マラネロ博物館(The Ferrari Maranello Museum)を紹介します。フェラーリといえばやはりF1GPのイメージが強いのですが、同時にレーシングスポーツや、ロードゴーイングのスポーツカーまで、半世紀にわたって生みだされてきた全てのフェラーリが勢揃いしています。

黎明期のF1GPマシンの展示は少ないが、エンジンの単体展示など興味深い展示も数多い

 現在ではフェラーリ・マラネロ博物館を名乗っている同博物館ですが、かつてはガレリア・フェラーリ(Galleria Ferrari=フェラーリ・ギャラリー)の名で、博物館というよりも同社の旧車を含めた、すべてのフェラーリのためのショールーム的な立ち位置におかれていました。

 しかし現行の名称に変更されて以降もフェラーリの企業博物館として、フェラーリに関してのさまざまな企画展を行っています。今回訪れた際には、創設75周年を記念する企画展が開催されていました。ちなみに、ここからクルマで30分足らずの至近距離となるモデナにある、フェラーリのもうひとつの企業博物館、創業者であるエンツォ・フェラーリの生家に整備されたカーサ・エンツォ・フェラーリ博物館(Mef-Museum Casa Enzo Ferrari – Modena)は、企業博物館の“色合い”が薄まり、F1GPやスーパースポーツカーの歴史を振り返る企画展などを開催。

 F1GPの歴史を振り返る企画展では、アルファ ロメオやランチア、マセラティなど同じイタリアンのライバルだけでなく、メルセデス・ベンツやポルシェ、リジェやルノー、あるいはロータスやクーパー、ウイリアムズといった他国のライバルまでを招いて展示したこともあります。これに比べるとフェラーリ・マラネロ博物館はフェラーリに“特化した”自動車博物館ということになりますが、収蔵するフェラーリの、質量ともにほかの追随を許すものでないのは言うまでもありません。

フェラーリ・マラネロ博物館といえばF1マシン

 そんなフェラーリ・マラネロ博物館の収蔵展示モデルを紹介していくのには、やはりF1GPマシンから始めるのが相応しいでしょう。筆者は同博物館にこれまで3度訪れていますが、2013年に最初に訪れた際に1961年のフェラーリ156F1と対面、2017年の2度目の訪問では1952年のフェラーリ500F2と対面していますが、こちらは残念ながらF2。1950年代のF1GPマシンとは出会えていませんでした。

 今回は創立75周年を記念した企画展として、前回からは大幅なリニューアルがなされていましたが、もっとも旧いF1GPマシンは1981年のフェラーリF1 126だったものですから、ヒストリカルな面では少し欲求不満も感じてしまいました。

 もっとも、展示されていないのではなく、そもそもヒストリックなマシンを収蔵していない、あるいはマシンそのものが現存していないことも考えられるので、これはまだしばらく博物館行脚を続けざるを得ない、と勝手に納得しています。

 それでも、最初に訪れた際に出会った156F1は、フェラーリのF1GPマシンとして初めて、エンジンのミッドシップ化が図られたエポックメイキングなマシン。何よりも特徴的なラジエターグリルを二分割した“シャークノーズ”は、マイ・ファースト・フェラーリ=小学生のころに買ってもらったスロットカーで、もっとも馴染み深かった1台でもあり、感激したことを記憶しています。

 もちろんそれだけでなく、1970年代後半からのF1GPマシンは数多く展示されています。またこれは、博物館に展示されるケースも少なくないのですが、当時のエンジンがスタンドに載せられて単体展示されているのも、メカニズムファンには嬉しいところです。そのF1GPマシンが現役だった時代には、近づくことさえ困難だったのですが、間近に寄って細部まで観察したり、写真に撮ったりすることもできるので、F1GPマシンなどを製作しているモデラーにもお勧めの博物館です。

レーシングカーとロードゴーイングの境界線が明確でないスーパースポーツも数多く展示

 来シーズンは世界耐久選手権(WEC)のトップカテゴリー=ハイパーカーに参戦することを表明していたフェラーリは、先ごろ、その主戦マシンとなるフェラーリ499Pをお披露目しています。スポーツカーによる世界選手権のトップカテゴリーにフェラーリが参戦するのはフェラーリ312PB/73で戦った1973年以来、じつに50年ぶりのこととなり、多くのファンから注目を集めることになりました。

 F1GPでの活躍にスポットの当たることが多いフェラーリですが、そんなフェラーリが初めて、創業者の名を冠したクルマをリリースしたのは1947年のこと。1.5L V12エンジンをフロントに搭載したレーシングスポーツの125Sで、3台のみが製造されています。125Sとしてのレース活動を終えたのちに、ほかのモデルにコンバートされたため、現存するモデルはありませんが、フェラーリが自ら当時の図面を参考にしてレプリカモデルを製作。普段からフェラーリ・マラネロ博物館に展示されています。

 F1GPマシンと違ってスポーツカーは、レーシングモデルとロードゴーイングモデルの境界線がはっきりしていません。フェラーリの場合は1967年に登場したディーノ206GTまではロードモデル=V12エンジンという不文律がありましたが、レーシング仕様はそのカテゴリーのテクニカルレギュレーション(車両規則)でエンジンのシリンダー数などを決めていました。例えば1954年にデビューしたフェラーリ750は3Lの直4エンジンを搭載しています。

 前年から始まった世界スポーツカー選手権に向けて開発された750は、1953年に続いてフェラーリにWSCの2連覇をもたらすことになりました。デビューレースのモンツァでマイク・ホーソンとウンベルト・マグリオーリが見事な1-2フィニッシュを飾ったことから、Monzaの愛称を得たのは有名なエピソードです。

 1961年の156F1から2年遅れの1963年には、スポーツカーにもミッドシップレイアウトが採用されています。これは市販モデルのフェラーリ250LMでしたが、市販モデルとは言うもののほぼレース専用の“マシン”でした。市販するために敢えてV12を搭載したとは穿ちすぎでしょうか。

* * *

 最後になりますが、ロードゴーイングのフェラーリももちろん数多く展示されています。先にも触れたようにスーパースポーツカーに特化したフェラーリだけに、レーシング仕様とロードモデルとの境界は、線を引きづらいところもあるのですが、1984年に登場したフェラーリ288GTOはロードモデルもあったと記憶しています。もちろん、GTOの名が示す通りGTカーのホモロゲーションを取得するために開発されているのでロードモデルが存在したのも当然ですが……。

 その288GTOの後継が、国内レースでも活躍していたフェラーリF40でした。これはフェラーリの創立40周年を記念したモデルでもあります。さらに1995年のフェラーリF50、そして2002年のエンツォ・フェラーリへと続いていきました。

 この辺りになると、もうアナザーワールドで、それがレース専用モデルなのかロードゴーイングカーなのか判然としないところも出てきますが、フェラーリ・マラネロ博物館のような博物館で出会う限りはプライスタグやパフォーマンスデータを気にすることなく1台のクルマとして見つめることができます。それも博物館行脚の大きな魅力と言えるでしょう。

文:Auto Messe Web 『AMW編集部』
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