この記事をまとめると
■スバルの軽自動車「ステラ」の現行モデルと歴代モデルを振り返る
次期型インプレッサの「RS」グレードとは一体!? じつは過去にもあったスバル車の「RS」から紐解く
■初代はスバルのこだわりがふんだんに投入された軽自動車だった
■2代目以降はダイハツ・ムーブのOEMとなりスバル色は薄くなった
OEM車としていまも生き残るスバル・ステラ
すでに軽自動車の自主開発を行っていないスバルですが、ダイハツからOEM提供を受け、軽自動車は現在もラインアップしています。
ステラも現在販売されている軽自動車のひとつですが、初代はスバルが自社開発したハイトワゴンでした。
現行ステラの紹介とともに、スバル最後の自社開発軽乗用車となった初代を振り返ります。
スバル・ステラとは
現在販売されているステラは、ダイハツからムーヴをベースにOEM提供されたモデルです。現行ムーヴのフルモデルチェンジとともに2014年に登場。
ムーヴ同様に専用グリルやエアロパーツを施したステラカスタムもラインアップされました。
初代からステラはOEM車だったわけではありません。2006年に登場した初代ステラは2003年に登場した軽セダンのR2のプラットフォームを使用して開発。2011年まで販売されましたが、結果的にスバル自社生産としては最後の軽自動車となっています。
スバルが軽自動車の自社開発を終了した後、現行モデル同様にムーヴをベースとしたOEM車の2代目が2011年にデビュー。3代目が登場する2014年まで販売されました。
現行ステラの特徴
ボディサイズ:全長3395mm×全幅1475mm×全高1630mm 価格:120万1200円~164万4500円
現行ステラは、ダイハツのDモノコックと呼ばれる軽量高剛性ボディを採用して開発されました。ムーヴは「次世代ベストスモール」を目指して開発され、ステラは「Next Quality Small」をキャッチフレーズに販売されています。
Dモノコックは、ボディ側面に配された外板パネル全面に厚板高張力鋼板を使用。シート取り付け骨格やサスペンションメンバーなどの高剛性化を施したことで静粛性も高められています。
現行ステラですが、ベースとなったムーヴとエンブレム以外で外観に違いはありません。また、ステラカスタムはムーヴカスタムと同様に標準仕様をベースにエアロバンパーやサイドストーンガードなどを装備してプレミアム化。フロントグリルやアウタードアハンドルなどにメッキ加飾を施すなど標準仕様との差別化を図っています。
パワーユニットはKF型直3エンジンのNAとターボをラインアップ。インタークーラー付きターボエンジンは最高出力64馬力、最大トルク9.4kgmを発揮します。一方、NAエンジンの最高出力は52馬力、最大トルク6.1kgm。高速道路でのロングドライブなどではターボ車のパワーやトルクが大きなアドバンテージを得ますが、街乗りメインであればNAエンジンで走行性能に不満は出てこないでしょう。
室内空間は、ハイトワゴンだけに大人がゆったりとくつろげる広さを備えています。リヤシートは左右それぞれでスライドやリクライニングが可能。長い荷物の収納に便利な「フロントサイドフラットモード」や後席片側を倒し荷室が拡大できる「ハーフラゲージモード」など、多彩なシートアレンジを備えています。
ラゲッジルームには大容量深底アンダーボックスを備えていることで背が高い荷物を積載することも可能とするなど、高いユーティリティ性能を実現しました。
デビュー時はグレードにより装備されていた予防安全・運転支援機能の「スマートアシスト」は、2020年の一部改良で全車標準装備へと変更。また、2021年の一部改良によりオートライトが全車に標準装備となっています。
ステラ歴代モデルの歴史を振り返る
初代ステラ(2006~2011年)
2006年に登場した初代ステラ。現行モデルのベース車となるダイハツ・ムーヴやスズキ・ワゴンRのライバル車となるハイトワゴンのニューブランドとしてデビューしました。
ただし、その実情はというと、スバルが乾坤一擲で開発した軽自動車R1、R2が予想を大幅に超える販売不振に陥ったため、急遽開発されたモデルだったのです。そのため、プラットフォームはR2のものを使用し、設計から販売まで1年かからなかったと信じられないスピードで開発されました。
直4エンジン、4輪独立サスペンション、CVTとスバルユーザーが欲するお約束機能が備わっていたため、発売後1週間で5000台以上の受注台数を受けるほど人気となりました。裏を返せば、スバルファンにとってR2は求めていない車種だったともいえます。
搭載していたパワーユニットはEN07型直4エンジン。現行モデルは直3エンジンとなっていることを考えると贅沢なパワーユニットでした。このエンジンはNAとスーパーチャージャー付き仕様をラインアップ。NAの最高出力は54馬力、スーパーチャージャー付きは64馬力を発揮し、CVTもしくは5速MTが組み合わされています。
また、スバルお得意の4WD仕様も用意されていました。この4WDはビスカスカップリングを備えたオンデマンド式。雪道や悪路など、路面状況により前輪と後輪の前後差が生じることで4WDへと自動で切り替わるシステムです。
初代ステラのエクステリアデザインはR2とは大きく異なり、背の高さを強調したハイトワゴンそのもののフォルム。カスタムは現行モデル同様に、標準モデルと比べフロントグリルなどにメッキパーツを多用し、上質感を備えていました。また、顔違いのリベスタもラインアップし、3タイプのモデルが設定されていました。
外観と比べインテリアはベースとなったR2と大きな差はありません。ただし、フロントシートはR2とは異なりベンチシートを配置するなど、高いユーティリティ性能を生かして利便性を向上させています。
2008年にスバルが軽自動車の開発から撤退することを発表してダイハツから軽自動車のOEM供給を受けることが決まると、初代ステラの注目度がアップし、スバルが想定した以上の販売台数を記録しました。スバルファンにとって、最後のオリジナル軽乗用車となった初代ステラはそれほど貴重な1台だったのです。
2代目ステラ(2011~2014年)
ダイハツからのOEM車となった2代目ステラ。ベースとなる5代目ムーヴの登場から1年後の2011年に登場しました。現行モデルと同じく、ムーヴと外観の差はエンブレム以外にはなく、またカスタムも設定されています。
2代目登場から1年半後の2012年12月にはムーヴ同様マイナーチェンジを実施。クラストップの低燃費性能を実現したパワーユニット、サスペンション、スマートアシストを設定するなど多岐にわたる変更が施されました。
とはいえ、あくまでムーヴのOEM車。スバルファンにとって初代ほど引きがあるクルマではなかったのは確かです。
気になる初代ステラの中古相場
先程紹介したことでスバル最後の軽自動車となった初代の購入を考えた方がいるかもしれません。執筆時点で初代ステラの中古車は全国で395台が販売されていました。中古相場は1000円~115万円となっています。
ただし、100万円を超えていたのはフロントグリルが標準モデルやカスタムと異なるリベスタのみ。このリベスタは初代ステラの中古車においては高めの値付けとなっています。また、販売数が多いのはカスタムで標準モデルはタマ数が少ないのが特徴といえるでしょう。
初代の中古車は販売数こそ多くはありませんが、50万円程度で比較的状態が良い車両が出まわっています。とはいえ、販売されていたのは2011年まで。すでに10年以上前のモデルであることには違いありません。
ちなみに2代目ステラの中古車は440台出まわっており、中古相場は1~105万円。3代目ステラの中古車は280台が販売されていて中古相場は30~160万円となっています。
まとめ
スバルファンにとって、現在ラインアップされている軽自動車に魅力を感じることは少ないでしょう。ダイハツのOEM車であるため、スバルがこだわっていた軽自動車へのこだわりが備わっていないからです。
そんななか、最後の自社開発軽乗用車だった初代は、急造されたモデルでありつつもスバルのこだわりが詰まった軽自動車でした。
改めて振り返ると、そのこだわりは魅力的でスバルが軽自動車の自主開発を止めてしまったことが残念でなりません。
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みんなのコメント
スバルのクルマ造りへのリスペクトを表現する方法として「現行モデルを卑下」するのは
スバルにとってマイナスになるのは確かで決してプラスにならない