この記事をまとめると
■クラウンセダンをメルセデス・ベンツEクラスとBMW5シリーズと比較
ドッチもセダンなのになぜ設定? MIRAIがあるのにクラウンセダンにも燃料電池車をラインアップした理由
■クラウンセダンはフォーマルでありながら流麗なルーフラインや大径タイヤなどチャレンジングなキャラ
■5シリーズやEクラスとは少し違った立ち位置であくまでクラウンらしさで価値を提供する
当初は予定のなかったセダンを用意してきた意味
すでにご存じの方は多いだろうが、16代目クラウンに当初はセダンの予定はなかったが、現会長のひと声で開発された。ただし、内容的にはそのほかのクラウンとはまったく別物で、前輪駆動ベースの4WDではなく、MIRAIやレクサスLSと共通性が高い。
このクラスのセダンというのは、日本ではすっかり衰退した印象があり、そこになぜあえて新型車を送り込んだのかという気もするが、おそらくクラウンシリーズがもっとも売れる中国では、それなりに数が見込めるという目論見もあってのことに違いない。
そんなクラウンセダンが登場した直後に、新型になったばかりのBMW5シリーズと、メルセデス・ベンツEクラスという、奇しくもサイズの近いドイツのプレミアムブランドの2台が相次いで日本に導入された。そこで、日本発の高級セダンが世界を代表する2台に対してどうなのか? この機に比べてみたい。
ボディサイズは、全長5mを超えないのはEクラスのみ。かたやホイールベースが3mを超えたのはクラウンセダンのみだが、これには事情がある。ロングホイールベースが好まれる中国では、現地生産される5シリーズにもEクラスにも、中国専用のロング仕様があるのは知られた話だ。クラウンにも歴代モデルにはロング仕様があり、現行型も今後のことはわからないが、現状の車体で中国向けも日本国内向けもカバーすべくこうされたようだ。
外観はいずれもそれぞれのブランドの中堅モデルらしく、あえて奇をてらうことはしていない。位置づけとしては、BMWやメルセデス・ベンツには、上にさらに7シリーズやSクラスがあり、BMWの場合は7シリーズがかなり過激な顔つきになったのに対し、5シリーズは控えめで、そのなかにも全体的に若々しさを感じるデザインとされている。
メルセデス・ベンツは、歴代Eクラスでは丸目のヘッドライトなど他のクラスではやらない要素をいちはやく取り入れてきたが、現行型はいたって普遍的で、Sクラスの弟分というよりもCクラスの上級機種であることを感じさせる。
かたやクラウンは、クラウンシリーズ自体が大きく変わってまだ日は浅いが、あえてラインアップされたセダンは、トヨタブランドのフラッグシップとしての存在感をアピールしているように見受けられる。
さらには、フォーマルといいながらも流麗なルーフラインを描き、大径タイヤを履かせるなどチャレンジングな面も見て取れる。
「らしさ」でクラウンならではの価値を提供
インテリアはまさに三車三様で、高級セダンらしくフォーマルななかにも新しさを感じさせるクラウンや、オーソドックスななかに光の演出を取り入れるなど新しいことにも挑戦した5シリーズに対し、ダッシュ全面がスクリーンになるEクラスだけぶっ飛んでいる。
このクラスでは重要な後席の居住性は、そのために生まれたはずのクラウンがやや見劣りするのが気になる。水素タンクやその他諸々をくまなく積んだ事情もあって、シートの座面が高くて頭上空間に余裕がなく、膝前のスペースもそれほど広くない。加えてトランクも期待したほど広くない。その点、5シリーズは広々としている。EクラスもPHEVのトランクを除いて、十分な広さが確保されている。
走りについては、MモデルやAMGを含めると事情は変わるだろうが、本稿執筆時点で3車種の日本で買える全車のエンジンが4気筒である点には時代を感じずにいられない。
ドイツ勢ではディーゼルが選べ、MHEVやPHEVはあるが、かたやクラウンはFCEVを普通に選べるのが大きな特徴であるのはもちろん、もうひとつの新しい2.5リッター直4エンジンと、2モーターに有段ギヤを組み合わせたマルチステージハイブリッドのHEVも、なかなか注目に値する。より高度な電動化を実現しているのがクラウンセダンの強みだ。
モーターで駆動するFCEVの静かでなめらかで力強い走りはさすがのものがある。一方のHEVも、LS等のV6から直4になったものの、クラウンに相応しい上質なドライブフィールを実現している。
シャシー性能については、さすがはこのクラスのセダンだけあっていずれも上々の仕上がりだ。乗り心地が快適で、いずれもサイズを感じさせない軽快な走りを実現している。なかでももっとも印象的なのが5シリーズだ。快適性で一歩リードしているうえに、ハンドリングもこのサイズのクルマながら本当に意のままに操ることができることに感心した。
かたやトヨタブランドのフラッグシップであるクラウンセダンは、よりショーファードリブンを意識した乗り心地とされている印象を受けた。さらに、後席の快適性に特化したモードも選べるようになっている。それが与えられた使命ということだろう。また、あまりそう見えない気もするが、軽快な回頭性(とくにフロントの軽いPHEVはなおのこと)は、なかなか気もちがよい。
アッパーミドルクラスのセダンの市場が縮小しても根強い人気を誇る5シリーズやEクラスに対し、クラウンは少し違った立ち位置で、あくまでクラウンらしく、クラウンだからこそ提供できる価値を追求している、ということだろう。
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みんなのコメント
今回のクラウンなんか論外な大きさやろ笑
メルセデスで充分です。
何も文句ない