なぜ増えない? 便利なのに…左右非対称のクルマの利点となるほど厳しい重荷
2021/12/15 12:03 ベストカーWeb 42
2021/12/15 12:03 ベストカーWeb 42
片側だけがスライドドアになっていたり、Bピラー(助手席側中央の支柱)がなかったり、左右でちがうデザインを持ったクルマはいくつかあります。
しかし、クルマは、時には100km/hにも達する速度で走行するもの。左右で重量や剛性が違うことで、走行したときに不安定になったりなど、走行性能や安全性能に悪影響を及ぼすことはないのでしょうか。
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文:Mr.ソラン、エムスリープロダクション
写真:DAIHATSU、HONDA、TOYOTA、NISSAN、MITSUBISHI
[gallink]
意外と多い、左右非対称のクルマ
販売されているクルマの多くは、外見上、左右で大きな違いはありません。しかし、遡ってみると左右非対称のクルマは意外と多く、古いところでは、助手席側の後席のみドアを装備した三菱の2代目ミニカトッポ、運転席側はヒンジドアで、助手席側には大型スライドドアのみを装備したトヨタのポルテ、また、ランクル70のリアゲートは左右のサイズが異なる観音開きの非対称ゲートでした。個性的なデザインが人気だった、日産の2代目以降のキューブも左右非対称デザインでした。
また、最近は、ほとんどのミニバンが両側スライドドアを採用していますが、日産セレナなど、初期のころは助手席側後席のみスライドドアとなっているモデルも多くありました。現在、片側だけスライトドアを採用しているモデルは、トヨタ「ハイエース」や日産「キャラバン」などの商用車に限られます。
そして、左右非対称のクルマとして、よく取り上げられるのが、ダイハツ「タント」やホンダ「N-VAN」などのBピラーレスのクルマ。この構造によって助手席側の開口部が大きくなり、乗降性や積載性を飛躍的に向上させています。
左右でデザインが多少違うくらいなら、影響は少なそうな気もしますが、重いスライドドアの有り無しは不安定になる気がしますし、Bピラーがないとなると、強度は大丈夫なのか、という気もしてきます。しかしもちろん、自動車メーカーはしっかりと対策しています。
ピラーレス構造を採用したダイハツのタント。フロントドアとリアスライドドアを全開すると、幅1480mm×高さ1355mmの圧倒的に広い開口部を実現
足回りのチューニングでキャンセル
スライドドアは、構造上部品が多く重くなるため、片側だけをスライドドアにすると重量と剛性のアンバランスが発生します。ピラーレスのスライドドアでも、Bピラーに相当する補強材をドア側に内蔵するため、重量が増大してアンバランスとなります。
もちろん、クルマが左右非対称であることは、左右の重量や剛性のバランスを崩す原因となります。究極のスピードとハンドリング性能が求められるF1のマシンでは、重量バランスによる走行性能への影響を避けるため、ドライバーが乗るポジションを含めて、徹底的に左右対称が図られています。
ただ、一般的な乗用車では、完全な左右対称とはなっていません。エンジンやトランスミッションは左右対称で搭載されていませんし、乗員の数や乗る場所によってもバランスは崩れます。たとえ見た目が対称であっても、厳密に言えば直進安定性や左右のハンドリング特性は、多少異なるはずです。
もちろん、一般のドライバーであっても、乗員の数や乗車位置の違いによって、右旋回と左旋回で違和感を覚えることもあるでしょうが、できるだけ重量や剛性のアンバランスをドライバーが感じないよう、主として足回りのチューニングでロバスト性を高めています。
片側にスライドドアであることで、左右に数10kgの重量差があったとしても、クルマの走行性能に影響を与えることがないようつくられているのです。
ピラーレスでも側突試験で最高ランク
スライドドアを装備すると、スライドドア部の開口部が大きくなるため、側突(側面衝突)に対しての強度が十分ではなくなりますが、周辺構造やドアを補強することで、しっかり安全性を確保しています。前述したように、重量は増えコストもアップしますが、スライドドア車だからといって、側突安全性が劣るということはありません。
また、タントやN-VANのようなピラーレスのスライドドアであっても、しっかりと対策がなされています。タントでは、ピラーレス構造ながら、ドアにハイテン材(超高張力鋼板)を使ったピラーを内蔵し、さらにドアロック数を増やすなどして、車体剛性と衝突安全性を向上。
その結果、タントはNASVA(自動車事故対策機構)の側突試験で、最高ランクのレベル5を獲得し、ピラーレスでも衝突安全性に問題ないことが実証されています。
ちなみに側突試験とは、試験車のピラーレス側に90度方向から1.3トンの台車を時速55km/hで衝突させて、助手席のダミー(人形)の被害状況から乗員保護性能を評価する方法のこと。この試験で「問題ない」とされているわけですから、タントが、少なくとも側突に弱いということはないとお分かりいただけると思います。
通常の側突試験は、運転者側に衝突させて運転者の衝撃を判定するが、タントの場合は、ピラーレス側から台車を側突させて助手席での被害状況を評価
ピラーレス車が少ない理由は「燃費悪化」や「コスト」の問題
利便性が高く、解放感にも優れているピラーレス構造は、タントにとって大きなアピールポイントですが、最近の軽自動車の人気ランキングでは、両側スライドドアのホンダ「N-BOX」とスズキ「スペーシア」の後塵を拝しており、また、その他のクルマでも、意外と採用は広がっていません。強度が十分であるならば、もっと広く採用されてもいい気がしますが、過去に採用していたクルマも、モデルチェンジで消えています。
採用が進まない理由としては、剛性や強度アップのための開発負担増やコスト高、また重量増加による燃費悪化などが挙げられます。またユーザーの立場からは、いくら「問題ない」とされていても、非対称であることや開口部が大きいことで不安になってしまう、といった人間の心理も、ピラーレス採用のマイナス要因に働いているかもしれません。
トヨタのポルテは、運転席側はヒンジドア、助手席側は大型の電動スライドドアの非対称車。人気となったが、2020年に生産を終了
◆ ◆ ◆
左右非対称車だから、一般の対称車に対して走行性能や安全性能が劣るということはありません。非対称車は、それをキャンセルするだけの十分な補強がされているからです。
ただ、コストがかかっていたり、重量が増えている場合が多いため、価格や燃費には影響してくることが考えられます。何を重要視するのかで「いいクルマ」の定義は変わってきますので、クルマを購入する際は、そのあたりをよく考えて購入しましょう。
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