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改名から1年半「デミオ」の名を捨てた「マツダ2」は成功したのか

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改名から1年半「デミオ」の名を捨てた「マツダ2」は成功したのか

 マツダは2019年9月、当時の主力コンパクトハッチ「デミオ」をマイナーチェンジした。その機会に、それまでマツダの販売車種のなかで最大の販売規模を持っていた「デミオ」の車名を捨て、グローバルで使われている「マツダ2」へと名称変更した。それから1年半が経過した現在、はたしてこの戦略は成功したといえるのだろうか。

 世の中では、トヨタヤリスが2020年のフルモデルチェンジ以来大ヒットを続けており、販売台数ランキングで1位を獲得。同年にはホンダフィット、日産ノートも新型へと切り替わって、令和のコンパクトカー戦国時代となっている。そんななか、かつてマツダのエースであった「デミオ」改め「マツダ2」の販売状況はやや低迷中。これでいいのかマツダ!! 挑戦は失敗だったのか!??? 毎日ディーラーを回って最前線の情報を届けてくれる、流通ジャーナリストの遠藤徹氏に伺った。

クリーンディーゼルの免税が廃止に! 2023年からエコカー減税の対象外で一気に窮地に追い込まれる!?

文/遠藤徹 写真/MAZDA

【画像ギャラリー】… マツダの大黒柱だった名門デミオ 機能性とデザインと美しさを兼ね備えた歴代モデルの姿

■今年のスケジュールには入っていない!??

 マツダ2の今年(2021年)1~2月の累計登録台数は4624台で、前年同期に比べて2.3%の増加となっている。かろうじて前年同期比アップだが、販売台数自体は月販平均2312台と、かなり心もとない実績といえる。

 ライバルのトヨタヤリス&アクア、日産ノート、ホンダフィットに比べると、大きく引き離されているのが現状である。

 2月における登録車銘柄別ランキングを見ると、23位でマツダのラインアップのなかではトップブランドを維持しているものの、24位のCX-5とほぼ肩を並べており、この1~2月累計では2番手になっている。

マツダ2 現在登録車銘柄別ランキング23位である

 ヤリス、ノート、フィットは新型車になってから間がない戦略的ニューモデルなのに対して、マツダ2は2019年9月の改名時では内外装のデザインを変更したマイナーチェンジだけで、モデル自体は前型デミオ(2014年9月発表)の登場から数えると6年半も経過している。それを考えると苦戦を強いられているのは当然と言えなくもない。

 現行デミオ改めマツダ2はいつ世代交代してもおかしくない状況にあるが、とりあえずフルモデルチェンジはマツダの今年の新車スケジュールには入っていないようだ。

■クリーンディーゼル車のニーズ後退

 マツダ2の売りになっているのは1.5Lクリーンディーゼル(ターボ付き)である。現行デミオの発売当初の販売構成比はこのディーゼル仕様が約70%と高く、同シリーズの主導的な役割を果たしていた。

 しかしマツダ2に改名してから最近までは、約70%がガソリンNA仕様になっており、クリーンディーゼルはすっかり影が薄くなっている。

 理由は「クリーンディーゼル車のニーズの後退」である。

現行マツダ2の1.5Lディーゼル

 現行デミオが新型車で発売された当時(2014年後半)は、燃費の良さや排ガスのクリーン性のアピールでマーケットの評価は高かった。ところがその後、ドイツメーカーを中心に排ガス測定の不正問題が発覚したことでイメージダウンが広がった。

 一方で電気自動車、プラグインハイブリッド、ハイブリッドなど電動化の流れが強まり、クリーンディーゼルのニーズが大幅に後退している。国内でもこうした流れに呼応した電動化のニーズが高まり、国の補助金制度も電気自動車やハイブリッドに対しては引き続き予算措置を講じているが、クリーンディーゼル車は一部カットなどで予算を減らす動きが出ている。

 こうなるとマツダ2としてはモデル自体の商品力の低下に加えて、頼みのディーゼル車の売れ行き頭打ちの二重苦によって販売の頭打ちが余計に顕著なっている。

■改名は失敗か?成功か?

 販売の現場でも厳しい状況が伺える。

 マツダは5年ほど前にスカイアクティブ技術の採用モデルについて一律に高い残価を設定している。残価設定クレジットの「スカイプラン」で購入する場合、残価率を3年後55%、5年後40%を設定し、これを保証することで、高いリセールバリューを維持することを目指している。

 これまで新車を販売する時、ライバル他社に比べて大幅値引きで売っていたため、中古車価格が大幅に下落し、リセールバリューが極端に低くなっていた。

 これを改めるためスカイプランの残価率を高くしており、このことでリセールバリューは次第に高くなっている。ただ大幅値引きで売ることが出来ないので、販売自体の促進がしにくくなっている。

 最近、マツダ2の中心グレードにナビ、ETC、フロアマット、サンバイザー、ドライブレコーダー、コーティングなど40万円相当のオプション&付属品をつけて見積もりを取るとガソリン車、ディーゼル車とも初回交渉の値引き提示額は5万円程度。これは、ライバル車に比べると10万円以上ものガードの固さとなっている。

マツダ2インテリア

 こうなると(「高級路線」へのイメージチェンジを含む)「マツダ2」へ改名したのは失敗と言えなくもない。

■次期型は2022年秋頃か⁉

 とはいえ、マツダ2の苦戦については、モデル自体の古さも差し引いて評価する必要がある。

 次期型へのバトンタッチは2022年秋頃が予想される。

 現行のクリーンディーゼルに代わる目玉を新たに開発する必要がある。それは1.5Lの「スカイアクティブX」であろう。

 現在、マツダが開発している「スカイアクティブX」は、現行4気筒2Lをベースに1気筒を外し、3気筒にした1.5Lバージョンといわれる。2Lは高圧縮比と超希薄燃焼で圧縮着火させ、これにモーターアシストのマイルドハイブリッドを組み合わせ、高性能と低燃費を高次元で両立させた画期的なパワーユニットである。

 2Lは現在、マツダ3やマツダMX-30に搭載しているが、他のスカイアクティブGに比べて60万円も高いために販売構成比は今のところ10%台と低い。1.5Lバージョンでコストダウンに成功すれば次期型マツダ2の目玉として主導できる可能性もある。

■「人気復活は可能」証言:首都圏首都圏マツダ店営業担当者

 マツダ2は、デミオから改名した1年半前の時点では、マツダ3と間違えたりして、分かりにくいと不評だったが、最近になってようやく定着しつつある。ただモデル自体は(デミオの前モデルから数えて)6年半も経過して古くなっているので、販売が低迷しているのも事実である。

マツダ2 モデル自体は6年半も経過している

 従来70%の構成比で売れていたディーゼル車が従来に比べると人気が大幅に落ち、30%程度に低迷しているのも足かせになっている。

 走りもデザインもお客さんの評価は高いが、ガソリン車と比べ30万円も高く、それでいて実用燃費はリッター1キロくらいしかよくないので「売り」になっていない。フルモデルチェンジし、売りとなる低コストのスカイアクティブXを搭載すれば人気復活は可能だと予想している。

【画像ギャラリー】… マツダの大黒柱だった名門デミオ 機能性とデザインと美しさを兼ね備えた歴代モデルの姿

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