Mercedes-AMG G63
メルセデスAMG G63
メルセデスAMG G63と行く1000kmの旅。究極のオフローダーが長距離走で見せた万能性をレポート【Playback GENROQ 2018】
死角のない王者、1000kmツーリングに臨む
1979年の誕生以来、究極のオフローダーとして世界を席巻してきたGクラスが新型へ生まれ変わった。初上陸したAMG G63を連れ出し、早速1000kmツーリングを敢行した。新型G63はロングドライブで果たしてどのようなポテンシャルを見せてくれるのか?
「Gクラスはフルモデルチェンジしたのか?」
豪雨が西日本を襲って間もないタイミングで撮影のために関西を訪れるのはどうかと一瞬考えた。娯楽を提供する業界の者がしばしば抱える問題だ。結局はこういう時こそ各自ができること=日常の仕事をすべきと自分を納得させ、計画通り新型メルセデスAMG G63を神戸、京都方面へ走らせた。途中、東日本各地の自衛隊の車列が西日本へ向かうのに出くわした。頼もしかった。
Gクラスはフルモデルチェンジしたのか否か。シャシーが新しいからフルモデルチェンジ? 型式がW463のままだからフルモデルチェンジではない? はっきり言ってどっちでもいい。そもそもフルモデルチェンジの定義が曖昧なのだからその議論は無意味だ。従来型をナロー、新型をワイドとでも呼んで区別すればよいではないか。
テストしたのはAMG専売店であるAMG東京世田谷の専用ボディカラー「デジーノマグノプラチナムマット」に塗られたG63。レザーエクスクルーシブパッケージ(78万円)とカーボンファイバーインテリアトリム(48万円)が備わる総額2161万円の車両だ。
「新型は乗用車としてバランスがとれている」
車体を見てまず感じるのはサイズの大きさ。長さも幅も高さも従来比プラスだが、特に全幅の+117mmが見た目の違いに大きな影響を与えているように思えた。従来型にあった腰高感が消え、踏ん張り感が増した。オフローダーにとって腰高感は独特の迫力を出す要素にもなり得るのだが、新型は乗用車としてバランスがとれている。いわゆる「フツーにカッコいい」というやつだ。
数少ない従来型からの流用部品であるドアハンドルに手をかけ、ノブを押してドアを開ける。「カチャ」とこれまでと同じ音がしてドアが開く。乗り込んでドアを閉めると、聞き慣れた「ガチャ」という金属音が響く。走り出してしばらくすると今度は「ガチャン」という自動的にドアがロックする音が響く。このカチャ、ガチャ、ガチャンの3点セットはなくすこともできたが、Gクラスの象徴としてあえて残したようだ。確かに雰囲気はある。その代わりドアノブに手を触れるだけでロック/アンロックする機能は備わらない。
東名高速、新東名高速、伊勢湾岸道とひたすら西へ向けて走る間、快適性が劇的に向上したことに感激していた。フラットネスとは無縁だった従来型に対し、新型は高速走行中、フラットに走ってくれる。シャシーそのものの剛性が上がったこととフロントサスがリジッド式から独立懸架のダブルウイッシュボーン式に変更されたことが大きいはずだ。
「オンロードを第一に考え、オフロードにも対応する手法に切り替えた」
ステアリング操作に対する反応も向上した。ステアリング機構がボール&ナットからラック&ピニオンへと変更され、パワステも電動式となった結果、より乗用車ライクな反応を示すようになった。けれどもこれは「向上」ではなく「変化」と表現すべきかもしれない。オフロードでは反応がマイルドで、キックバックの少ないボール&ナットのほうが適しているとも言えるからだ。ちなみに我らがスズキ ジムニーはモデルチェンジしてもボール&ナットを維持した。
ただし一般的に扱いやすいのはラック&ピニオンだ。オフロードを第一に考え、オンロードにも対応する開発手法から、オンロードを第一に考え、オフロードにも対応する手法に切り替えたのだろう。
ハンドリングも劇的に進化した。僅かな操作が正確に挙動となって現れる。このスピードでステアリングをこう切ればクルマがこう動くという予測を立てやすくなった。従来型はとにかくステアリングをぐるぐる回してみないと、操舵量が足りないか多すぎるのかがわからなかった。
「4.0リッターV8ツインターボエンジンを思う存分に唸らせることができる」
コーナーでロールする際、従来型はフレームとシャシーが別々の傾き方をしておっとっと・・・というケースが多かったが、フロントサスがサブフレームではなくフレームに直接装着され、シャシーとボディのマウンティングにも手が加えられた新型にはそれがない。そうすべきクルマかどうかは別にして、高速コーナーへ思い切って進入することができるようになった。
つまりお膳立ては揃った。このシャシーとボディなら最高出力585ps/6000rpm、最大トルク850Nm/2500-3500rpmの4.0リッターV8ツインターボエンジンを思う存分に唸らせることができる。従来型にも12気筒をはじめ、とてつもないパワーを発するエンジンが搭載されてきたが、残念ながら車体にそれを受け止める許容量はなく、印籠のような効果にとどまっていた。
大阪市を見下ろすことができる六甲山に着いた。麓の街に住んでいた学生時代、夜な夜なユーノス ロードスターを六甲山で走らせていたこと、ある雨の夜、どアンダーでロードスターを壁に張り付かせてしまったことなどを思い出しながら、G63のペースを徐々に上げていく。
「G63は万能性に加え、圧倒的な速度をも備えた」
スポーツ+モードを選ぶ。9速ATは高回転をキープする設定となり、アクセルペダルを踏めばどこからでも野太い咆哮とともに怒涛の加速が始まる。
ダンパーも引き締められる。それでも高重心と絶対的重さからロールは残るが、恐怖でペースを緩めたくなるような姿勢変化はなくなる。ヘビー級のハイパフォーマンスSUVがこぞって採用するピレリ・スコーピオンは、なるほど絶対的なグリップレベルが高いにもかかわらず、滑り出しが穏やかでわかりやすい。
パドル操作による手動変速も試してみたが、段数が多すぎて忙しい。自動変速のほうがスマートで、運転に集中できた。AMGならではの、横Gがかかった時に外側のサイドサポートがエアによって膨らむシートはいつどのモデルに乗っても素晴らしいと思わせる。
気がつけば、額にうっすらと汗が滲むほど運転に集中していた。全高が2mになんなんとし、車重が2485kgにおよぶ、そもそもフレームシャシーのクルマはどう考えてもワインディングロード向きではない。けれども世界中のお客さんが望むのなら、持てる技術力を駆使して成立させてみせるというシュトゥットガルトの意地を見せつけられた。Gクラスは39年目にしてとうとう万能性を身につけた。G63は万能性に加え、圧倒的な速度をも備えた。目に見える勢いで減っていく燃料計と引き換えにではあるが・・・。
REPORT/塩見 智(Satoshi SHIOMI)
PHOTO/小林邦寿(Kunihisa KOBAYASHI)
【SPECIFICATIONS】
メルセデスAMG G63
ボディサイズ:全長4873 全幅1984 全高1966mm
ホイールベース:2890mm
車両重量:2485kg
エンジン:V型8気筒DOHCツインターボ
ボア×ストローク:83×92mm
総排気量:3982cc
最高出力:430kW(585ps)/6000rpm
最大トルク:850Nm(86.7kgm)/2500-3500rpm
トランスミッション:9速AT
駆動方式:AWD
サスペンション形式:前ダブルウイッシュボーン 後5リンク
ブレーキ:前後ベンチレーテッドディスク
タイヤサイズ:前後275/50R20
最高速度:220km/h
0-100km/h加速:4.5秒
CO2排出量:299g/km
燃料消費率:13.1/100km
車両本体価格:2035万円
※GENROQ 2018年 9月号の記事を再構成。記事内容及びデータはすべて発行当時のものです。
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