現在位置: carview! > ニュース > 業界ニュース > カメラとモニターの「電子ミラー」もあるけどあくまで補助的! 大型トラックから「普通のミラー」が消えないワケ

ここから本文です

カメラとモニターの「電子ミラー」もあるけどあくまで補助的! 大型トラックから「普通のミラー」が消えないワケ

掲載 12
カメラとモニターの「電子ミラー」もあるけどあくまで補助的! 大型トラックから「普通のミラー」が消えないワケ

 この記事をまとめると

■大型トラックはボディの各所に多くのミラーを装備している

荷台で見えなくても用途はあった! トラックにルームミラーが装備されるワケ

■乗用車にも普及していないのと同様にトラックでもミラーのカメラ化は進んでいない

■大型トラックに電子ミラーが普及しない理由を解説

 電子ミラーは耐久性や信頼性が低い

 トラック、とくに大型トラックはミラーをたくさん装備している。左右のAピラーにはミラーステーにいくつものミラーがマウントされているのを見かけるはずだ。これは左右の後方だけでなく、ボディの両サイドの路面付近、キャブ直前の死角のフォローなど、安全のために必要な装備なのだ。

 近年は左右の死角をカバーするカメラやミリ波レーダーなどを装備する大型トラックも増えてきた。けれども、乗用車でもドアミラーのカメラ化があまり進んでいないように、トラックでも従来のミラーのカメラ化は進んでいない印象だ。

 これは、乗用車には乗用車の、トラックにはトラックの理由がある。乗用車はカメラから画像処理してモニターに表示するまでのタイムラグにより、実像と比べて遅延が発生することによる違和感がどうしても残っており、その一方でコストの割にはスタイリングの自由度に貢献する程度でメリットを見出しにくいのだ。

 一方のトラックでは、電子ミラーは耐久性や信頼性での不安が拭い切れない、というのが大きな理由のようだ。遅延自体は大型トラック必須のバックカメラでも発生するため慣れが解決するものの、さらなる普及には電子部品の特性ゆえの問題が課題となっているのである。

 現在、トラックメーカーが採用しているカメラシステムはすべて補助的なもので、メインの後方視界確認はミラーによって行なうようになっている。これはメーカーによって判断はわかれるところだろうが、電子ミラーは物理ミラーよりも耐久性や信頼性が低いことが影響している。

 物理ミラーの場合、ぶつけてしまったり、樹脂部品が劣化して壊れるなどがなければ、長期間安定して利用できる。しかし、電子ミラーは、カメラや制御部、表示部などの部品は一定以上の耐久性は確保しているものの、それを過ぎればいつ壊れてもおかしくない。長距離走行を日常的に行うトラックでは、乗用車よりも部品に対する負荷も高く、耐久性を考慮した作りとなっているため、条件も厳しい。突然、後方視界を失うようになったら、走行を続けるのは極めて危険なので、事実上の走行不能に陥ることになる。

 そんなことになったら業務に支障を来たすので、トラック事業者はそんなミラーは敬遠したいのだ。トラックメーカーもリスクを考えれば、やたらと電子ミラーを推し進めることはできない。

 とはいえ物理ミラーはドライバーから見て反射できる範囲しか確認できないので、カメラとモニターによる電子ミラーも死角を解消するためには役立てられているのが、現状ということなのだ。

 いずれ自動運転が普及してくれば、レーダーとカメラによる画像認識で周囲の状況を判断しながら走行することになるから、物理ミラーは廃止され、電子ミラーに統一されるようになるのかもしれない。

 しかし、高速道路はともかく、一般道での完全自動運転を実現するのは、かなり先のことになるだろう。ということは、当分は現在の組み合わせが続いていく、ということになりそうだ。

関連タグ

【キャンペーン】第2・4 金土日はお得に給油!車検月登録でガソリン・軽油7円/L引き!(要マイカー登録)

こんな記事も読まれています

アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
アイザック・ハジャルがF1昇格。RBが2025年の起用を発表「チームのためにベストを尽くす準備はできている」
AUTOSPORT web
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
計29サイズ! ブリヂストンが新型タイヤ「REGNO GR-X III TYPE RV」を発売へ! ミニバン・コンパクトSUV向けに深みを増したタイヤとは!?
くるまのニュース
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
ヤリス・クロスの韓製ライバルの実力は? ヒョンデ・バイヨンに試乗 6速MTで軽快な走り!
AUTOCAR JAPAN
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
メルセデスAMG本社へはドイツ版新幹線「ICE」の1等車で! 優雅な旅を堪能できるかと思いきや、元気なオバサマたちに邪魔をされ…【みどり独乙通信】
Auto Messe Web
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
ホンダ「0シリーズ」SUVが来月初公開へ 米CES 2025でプロトタイプ2車種を出展
AUTOCAR JAPAN
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
大人好みに進化したアウトランダーPHEV【九島辰也】
グーネット
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
“トヨタのなかでトップレベルで戦えるドライバー”平川亮のF1テストは「コースをはみ出すことすらなかった」と中嶋TGR-E副会長が評価
AUTOSPORT web
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
2025年始動、世界初の水素燃料ワンメイク競技『エクストリームH』がFIAのワールドカップ格式を取得へ
AUTOSPORT web
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
【ドイツ】プリウス顔な新型「ハイパークーペ」がスゴイ! 5リッター「V8」搭載のナラン・オートモーティブの新モデルとは
くるまのニュース
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
上海汽車傘下のMG、「半固体電池」搭載EVを2025年発売 コスパ強調
AUTOCAR JAPAN
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
国産最高級ミニバン『アルファード』『ヴェルファイア』に初のPHEVが登場。1065万円から
AUTOSPORT web
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
新SUV時代に挑むトヨタ、ミツビシ、シボレーの全15チームに対し異例の“ドラフト制”で布陣が確定/SCB
AUTOSPORT web
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
日本の道路事情にピッタンコ!? 旧型「ミニ」生産終了から四半世紀 なぜ高値安定なのか?
乗りものニュース
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
【メキシコ】日産の新型「キックス」が人気スギ!? 8年ぶり全面刷新で“大胆顔”に!全長4.3m級ボディ&「クラス超え上質内装」の「小さな高級車」が売れてる
くるまのニュース
ホンダが大型スクーターの「X-ADV」をアップデート! 新型ヘッドライトや先進装備の採用で「カッコよさ&快適性」が大幅アップ
ホンダが大型スクーターの「X-ADV」をアップデート! 新型ヘッドライトや先進装備の採用で「カッコよさ&快適性」が大幅アップ
VAGUE
輪留めは物理的なブレーキであると共に気もちのブレーキとしても重要! 輪留めがプロドライバーの意識を高めていた
輪留めは物理的なブレーキであると共に気もちのブレーキとしても重要! 輪留めがプロドライバーの意識を高めていた
WEB CARTOP
グーマガ 今週のダイジェスト【12/14~12/20】池田直渡氏、吼える!
グーマガ 今週のダイジェスト【12/14~12/20】池田直渡氏、吼える!
グーネット
[DSP大全]「イコライザー」をプロ並みに使いこなすスペシャル・テクを紹介!
[DSP大全]「イコライザー」をプロ並みに使いこなすスペシャル・テクを紹介!
レスポンス

みんなのコメント

12件
  • 藍流頓瀬奈
    デジタルミラーには原理上埋めようが無い欠点あるからね。遠近感。
    ふつうのミラーなら単なる光の反射なので目のピントは対象物までの距離を正しく感じ取れる。
    が、デジタルミラーは目とモニターの距離でピントが合うと対象物までの距離が直感的に掴めない。
    そうなると同じく映っている車体の一部などと照らし合わせて対象物の位置と距離を推測するしかない。
  • zigadbore
    ミラーの代わりにカメラを装備する車が出た時、走行中に映らなくなればどうするのだろう?と単純に思った。自分も大型トラックを運転していたけど、ミラー式の方が分かりやすかった。
    今時のクルマ、何でもかんでも電子パーツになり過ぎ。
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

査定を依頼する

メーカー
モデル
年式
走行距離

おすすめのニュース

愛車管理はマイカーページで!

登録してお得なクーポンを獲得しよう

マイカー登録をする

おすすめのニュース

おすすめをもっと見る

あなたにおすすめのサービス

メーカー
モデル
年式
走行距離

新車見積りサービス

店舗に行かずにお家でカンタン新車見積り。まずはネットで地域や希望車種を入力!

新車見積りサービス
都道府県
市区町村