「10年ひと昔」とはよく言うが、およそ10年前の国産車は環境や安全を重視する傾向が強まっていた。そんな時代のニューモデル試乗記を当時の記事と写真で紹介していこう。今回は「日産 スカイライン クロスオーバー」だ。
日産 スカイライン クロスオーバー(2009年)
スカイラインに、新たなボディバリエーションが加わった。クーペとSUVの融合により、さらにプレムアム感を高めて誕生したスカイライン「クロスオーバー」だ。スタイリッシュなボディとしなやかな走りは、世界のライバルたちを相手に、十分渡り合える実力を持っているようだ。
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厚めのドアを閉めたキャビンはピシッとした密閉感がある上に、シートもインパネも高級車然としている。しかも包まれ感が強い。これはFRベースらしいセンターコンソールの幅や、ドアからダッシュボードへと続くラウンディッシュな造形によるものだ。リアシートも同様で、足元は深さがあってきちんと座れるものの、前席との距離や頭まわりは相応にタイトだ。このあたりだけでも、スカイライン クロスオーバーが広さやユーティリティを魅力としてきたムラーノなど従来のSUVと一線を画しているのは明白だろう。
走り出しても、そうした印象は変わらない。FRでも1.7トン級の車重だが、330psを発生するVQ37VFR型エンジンはグイグイと加速する。スロットルの特性も踏み込みに対し比較的早く開いてレスポンスを高める方向にある。しかし過度な飛び出し感ではなく、機敏な動きのみを楽しめる。
シンクロレブ付き7速ATのステップ感も小気味良く、これだけスポーティならパドルシフトが欲しいと思わせるほど。ただ、車重が約100kg重い4WDではダウンシフトが頻繁になる傾向で、やはり重さに苦労している感はあった。
ハンドリングもSUVであることを一瞬忘れさせるほど軽快だ。ボディのオーバーアクションやステアリングのゆるい感覚がまったくなく、反応は鋭い。それでいて乗り心地も秀逸だ。入力のいなしが実にしなやかで、ドタバタした粗さと無縁なその走りは、ほとんど背の高いスポーティサルーンのようだ。
ミドルサイズのプレミアムSUVは世界的に盛り上がりを見せており、いち早く登場したBMW X3の先行を許すまじと、アウディ Q5、ボルボ XC60などが続々と参入している。スカイライン クロスオーバーは、ご存知のように海外ではインフィニティ EXとして販売しされているわけで、このマーケットに比較的早く参入した1台。しかも、そのルックスと走りは前述のライバルたちに引けをとらない。
さらに、車線からの逸脱に対しブレーキ制御でヨーを出し車線内に引き戻すレーン ディパーチャー プリベンション(LDP)も設定され、これはちょっとした脇見で進路が乱れた時などにかなり有効だし、音声にしたがってステア操作すれば車庫入れや縦列が一発で決められる駐車ガイド機能付きのアラウンドビューモニターも使いやすい。こうした装備面に「いかにも日本的」な先進技術を盛り込んでいる点にも注目しておきたい。
■スカイライン クロスオーバー 370GT Four タイプP 主要諸元
●全長×全幅×全高:4635×1800×1575mm
●ホイールベース:2800mm
●車両重量:1830kg
●エンジン種類:V6 DOHC
●排気量:3696cc
●最高出力:243kW<330ps>/7000rpm
●最大トルク:361Nm<36.8kgm>/5200rpm
●トランスミッション:7速AT
●駆動方式:フロント縦置き4WD
●10・15モード燃費:9.1km/L
●タイヤ:225/55R18
●当時の車両価格<税込み>:499万8000円
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みんなのコメント
日本人の感性がついて行けず批判的な評価で
売れなかった気の毒な車。
カイエンが出て認識がガラリと変った今なら
新型を出しても売れる。