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片道運行! 日本屈指の長距離特急に乗ってみた 4時間22分「島内で完結」

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片道運行! 日本屈指の長距離特急に乗ってみた 4時間22分「島内で完結」

下りはなく、宿毛→高松の「上り」だけ!

四国地方の面積は日本の5%ほどです。決して広い地域ではありませんが、新幹線がないこともあり、在来線の特急列車が発達している地域でもあります。

【写真】日本一レアか? たった2両だけの特急車両とは

四国に初めて特急列車が走ったのは1972(昭和47)年のこと。山陽新幹線の新大阪~岡山間開業に合わせて、高松~宇和島間の特急「しおかぜ」と、高松~中村間の特急「南風」が設定されました。所要時間は「しおかぜ」で4時間34~41分、「南風」で4時間18~23分でした。

これらは1988(昭和63)年、本四備讃線(瀬戸大橋線)が開通して岡山駅発着となり、さらに「南風」は1997(平成9)年、土佐くろしお鉄道の中村~宿毛間開通に伴い、岡山~宿毛間318kmで直通運転を開始します。2013(平成25)年の時刻表では、岡山~宿毛間を4時間43~59分で結び、在来線屈指の長距離特急となっています。

その後は利用状況の変化もあり、「南風」の終着駅は高知駅となりました。高知~中村・宿毛間は特急「あしずり」、高松~中村・宿毛間の直通特急は「しまんと」に系統分離されますが、「しまんと」の宿毛駅乗り入れは2022年に消滅します。

しかし、2024年に「しまんと8号」の運行区間が宿毛→高松間となります。対になる高松→宿毛間の「しまんと」は存在しないので、この「しまんと8号」が、単独で四国最長特急となったわけです。

JR四国によると、「効率的な車両運用と、お客様に乗り換えの手間を発生させないことなど利便性を考慮したうえで、早朝の高松発 中村行き『しまんと1号』、および夜間の宿毛発 高松行き『しまんと8号』については直通運転を行っています」とのこと。そこで筆者(安藤昌季:乗りものライター)は2025年2月の木曜日、復活した長距離特急に乗車してみました。

三セク保有のレア車両に乗車

宿毛駅には18時ごろ到着。出発直前に改札をするようです。

2025年時点で中村~宿毛間の特急は下り1本、上り2本であり、特急列車自体が珍しいダイヤです。車両は2700系気動車2両編成。普通車のみで、一部だけが指定席となっています。

2700系を見て筆者は驚きました。車体に「2780」と書いてあったからです。「2780」と対になる「2730」ともに土佐くろしお鉄道の保有で、同社保有の特急形車両はこの2両だけ。少数という意味で、日本一レアな特急車両といえなくもありません。JR四国2700系との違いは、側面にJRマークがないことくらい。最長特急だからなのか、レア車両だからなのか、記念撮影している男性客が2人いました。

18時24分、宿毛駅発車。乗客は指定席5人、自由席3人でした。宿毛線は高架が多く、線形も良好。ここを最高速度110km/hを維持して走ります。エンジン音が高鳴り、豪快です。1号車1~7番の列が指定席ですが、筆者は「7番」がベストだと感じます。なぜなら、車両中央に位置し、揺れが少なく窓が広いからです。

18時30分着の平田駅で1人が乗車し、18時46分着の中村駅では3人が下車、指定席へ1人、自由席へ7人が乗車しました。宿毛~中村間の特急料金は自由席310円ですから、短距離利用も見込めるのでしょう。

18時54分着の土佐入野駅でも1人が下車。ほどなく車掌が追いかけてきっぷを確認していましたが、JR四国はこまめなきっぷ確認をする印象です。この点は土佐くろしお鉄道も同様のようです。

19時22分、JR四国との境界駅である窪川に停車。2分停車し、1人が乗車、2人が下車しました。扉上の広告が、土佐くろしお鉄道からJR四国に変わるのは芸が細かいです。

土佐久礼駅や須崎駅でわずかな乗降があったものの、佐川、伊野、朝倉の各駅ではゼロ。20時25分着の旭駅で1人が乗車し、いよいよ高知県の県都へ向かいます。

4時間超え特急、乗り通したのは何人?

20時29分着の高知駅では5分停車。16人の乗客のうち8人が下車し、6人が乗車しました。高松方面への最終特急でもあるのですが、思ったほど動きはありませんでした。

20時41分着の後免駅で、旭駅からの学生が下車しました。わずか14kmですが、「25km以内の特急自由席は450円」という特定特急料金、もしくは特急用定期券「快てーき」の利用者なのでしょう。

土佐山田、大杉、大歩危の各駅では乗降ゼロ。ふと指定席の乗客が、「坂出駅でマリンライナーに乗り換えられるのか」と車掌に聞いていました。「しまんと8号」の坂出駅到着は22時32分、岡山行き「マリンライナー70号」の発車は22時45分です。最終列車どうしの乗り継ぎで不安があるのでしょうが、車掌は「大丈夫です」と伝えていました。

21時41分、三縄駅で運転停車。運転停車とはドアが開かずに停車することです。ここでは高知行き特急「南風25号」と行き違うため。22時前ですが、「南風25号」の乗車率は30%ほどで、本州からの需要の高さを感じました。

阿波池田駅での乗降はゼロ。琴平駅で1人が乗車し、善通寺、多度津の各駅で1人が下車しました。

22時26分着の丸亀駅では2人が乗車。丸亀~高松間は28.5kmあり、特急料金は自由席でも760円ですから、坂出駅までの「快てーき」の利用者なのでしょう。坂出駅では5人が下車しました。

いよいよ次は終点です。エンジン音が高くなり、スマートフォンのアプリで速度を測ると120km/hでした。ラストスパートを全力で走ります。22時46分、高松駅着。下車は15人でした。宿毛駅から4時間22分、乗り通したのは見落としがなければ4人。多くが指定席の乗客でした。

2025年2月時点で、高知~中村間では1往復だけグリーン車を連結した編成が使われていますが、「しまんと1・8号」にその編成があればよいと筆者は思いました。四国内で完結するとはいえ、乗りごたえのある列車旅でした。

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みんなのコメント

17件
  • ham********
    国鉄時代、300kmの特急は短い部類でした。
    そのため、長くて300km「程度」の183系では食堂車が作られませんでした。
    新幹線の延伸ですっかり変わってしまいました。
  • mt_********
    今ではにちりんシーガイアと仙台発着ひたちが長距離特急の代表格か…
※コメントは個人の見解であり、記事提供社と関係はありません。

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