新車試乗レポート [2022.10.03 UP]
【試乗レポート トヨタ クラウン クロスオーバー】スタイリッシュなデザインも含め好印象
文●九島辰也 写真●ユニット・コンパス
新型クラウンクロスオーバー 国産高級SUV&先代車と先取り比較!
16代目となる新型クラウンを語るには頭を一度リセットしなくてはならない。「クラウンとはこうあるべき」的な“べき論”を口にしてはいけないからだ。その理由は、試乗会前にメディアに配られた動画にある。チーフエンジニア皿田(サラダ)氏によれば、歴代クラウンは何かを継承するのではなく、その時一番いいモノを提供することをフィロソフィーとしてつくられてきたのだ。最新の技術、デザインのトレンド、安全装備がその都度注入されてきたということになる。
となれば、いつまでも4ドアサルーンである意味はなく、重厚さを前面に押し出す必要もない。時代のニーズに見合ったコンテンツを提供すれば使命は果たせることになる。
新生クラウン第一弾として登場した「クロスオーバー」
クラウン クロスオーバー(2.5Lハイブリッド 19インチホイール装着車)
という目線で新型クラウンを見てみると、その個性がわかる気がする。まずはそのスタイリングが多くを物語っていると言えよう。そこにはクラウンという呼称の概念とは少しもリンクしないクロスオーバーが並んでいた。
新型クラウンはご存知のように、このクロスオーバーのほか、セダン、エステート、スポーツが登場する予定だ。過去に2ドアレザートップのクーペやステーションワゴンがラインナップされていたことを考えると、少し懐かしさもある。時代が2、3周回って再び姿を現したといった感じだ。ただそこからスタートすると懐古主義的にも思われるかもしれない。そこで、第一弾としてクロスオーバーが選ばれたと考えても不思議ではない。
クラウン クロスオーバー(2.5Lハイブリッド 19インチホイール装着車)
新しいクラウンはステアリング操作に対し俊敏に反応する
クラウン クロスオーバー(2.5Lハイブリッド 19インチホイール装着車)
ステアリングを握ったクラウンは2.5リッターガソリンエンジンを積んだハイブリッドモデルとなる。特徴は新開発のバイポーラ型ニッケル水素電池を採用したバッテリーユニットだろう。既存のセルを一つの塊にすることで、抵抗値を下げタフで高出力を可能にした。バッテリー自体の高さを低くするのもメリットだ。初代プリウスからニッケル水素電池を手掛けてきたトヨタならではの経験値がそこにある。
走らせた印象は、ボディ剛性の高さがすぐに感じられた。5m近い全長だがステアリング操作に対し俊敏に反応する。ボディのたわみはほぼなく、ソリッドな動きに思えた。溶接や接着剤から見直している成果を伺える。と同時に、軽快さがリアステアから来るのも感じた。低速で4度、高速で1度切れることで取り扱い安さを得た。しかも自然なフィーリングで違和感はない。
パワーソースに関してはそれ自体スムーズで気持ちよさはあるのだが、車格からイメージすると少しパワー不足にも思える。システム最高出力234psは、出だしはともかく中間加速ではモーターのアシストがもっと強力でいい気がする。エクステリアのスタイリッシュなデザインから速そうなイメージがする分ギャップがある。
乗り心地に関しては、今回21インチの大径タイヤを履いていたので、少々硬め。整地されたアスファルトではフラットで気持ちがいいが、荒れた路面ではそれなりにピッチングが発生する。これをどこまで許容するかだが、個人的にイマドキ21インチといっても特別感はないので、おすすめはしない。乗ってはいないが19インチの方が長く付き合うことを考えればメリットはありそうだ。履き替えコストも大きく違うだろう。それに19インチだってこれまでと比べてかなり大きいのは確かである。
クラウン クロスオーバー(2.5Lハイブリッド 19インチホイール装着車)
まとめ
クラウン クロスオーバー(2.5Lハイブリッド 19インチホイール装着車)
というのが新型クラウンのファーストインプレッションとなる。スタイリッシュなデザインと共に総体的に好印象であることは間違いない。2.4リッターターボデュアルブーストハイブリッドシステム搭載の次なるパワーソースも期待だが、今回のユニットで不服はないと言える。ただインテリアに関してはもう少し攻めてもいいと思った。エクステリアの提案を鑑みると、少し物足りない。液晶モニターやスイッチの配置に新たな試みがあるともっとよかった気がする。
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