クルマとしての実用性はもちろんのこと、ドライビングファンもしっかり味わいたい。そんなクルマ好きの欲張りな思いを満たしてくれるのが、“ホットハッチ”と呼ばれるスポーティモデルだ。実用的なハッチバック車のエンジンや足回りを強化して運転する楽しさを植え付けるという仕立てにいち早く目をつけたのがフォルクスワーゲンであり、そうして生まれたのがゴルフGTIである。先頃上陸した最新型のゴルフGTIももちろんその公式に則った仕立てとなっている。
期待を裏切らないホットモデル
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8代目となる新型は、歴代のゴルフGTIと同様にクルマ好きの心をくすぐる要素が満載だ。外装ではバンパーをアグレッシブな形状に変更するとともに、グリルなどへ赤のアクセントが施されるのがノーマルモデルとの識別点。内装ではGTIのアイコンともいえるタータンチェックのシート地を採用するなど、控えめながらも自己主張がはっきりとした、スーツの裏地にもこだわりを見せるファッショニスタのようである。
GTIの肝となるエンジンは、ゴルフの現行ラインナップ中で最大排気量となる2ℓ直4ターボを搭載。これは基本的に先代GTIからのキャリーオーバーだが、フリクションやノイズの低減を図るなど、より洗練されたものとなっている。ベースモデルの倍近くまで高められたパワーを受け止める足回りは、電子制御油圧式フロントディファレンシャルロックなどで強化。走行状況に合わせて電子制御ダンパーやエンジンの出力特性を切り替えられるDCC(アダプティブシャシーコントロール)もオプション設定される。そのディファレンシャルロックやDCCを統合制御する“ビークルダイナミクスマネージャー”を備えて、ドライビングダイナミクスに磨きを掛けたのも新しい。
バランスの良さのレベルが上がった
完全武装されたゴルフGTIでワインディングロードを行くと、すっきりとして気持ちの良い走りっぷりが味わえる。ノーマルモデルよりも引き締められた足回りにより、右へ左へとコーナーが続く道でも体幹はまったくぶれることなく、トラクションを路面にしっかりと伝えながら流れるように駆け抜けていける。その間、エンジンはスロットルペダルに置いた右足の動きに即応して、滑らかかつ力強いレスポンスを伝えてくれる。この点が燃費重視の穏やかなエンジン特性にしつけられたノーマルモデルとの大きな違いだ。
加えてGTIが乗り心地を疎かにしていないところにも好感が持てる。走りにこだわったモデルとなると、俊敏性を追い求めて足回りを締め上げた結果、突き上げが多くなり我慢を強いられがちになるが、ゴルフGTIは違う。特にダンピング特性が穏やかになるDCCのコンフォートモードに設定すれば、路面の凹凸をさらっと受け流してくれる優しい乗り心地が味わえる。スポーティなGTIといえどもゴルフ本来の素性の良さは健在で、そこが長きにわたって愛され続ける理由といえるだろう。
実用性とスポーティネスを合わせ持ちつつ、そのバランスを高次元で両立させたゴルフGTIというモデルは、実用ハッチバックの派生車種という枠を超えた良いモノ感に溢れている。使ってよし、走ってよしのゴルフGTIとなら、長く心豊かなモータリングライフが過ごせそうである。
大きく口を開けてアグレッシブな表情となったゴルフGTI。ハニカムメッシュグリルの両サイドにはフォグランプを兼ねた5つのLEDライトがX字型に配置される。
インストルメントパネルまわりのレイアウトはノーマルモデルに準じたもので、各種設定は中央のタッチパネル式モニターを用いたインフォテインメントシステムで操作できる。
デジタルメーター内にはGTI専用のグラフィックが採用された。
タータンチェック柄の表皮が特徴的なGTIのシートは、ホールド性に優れる専用のバケットタイプとなる。
標準装着タイヤは18インチ(写真はオプションの19インチホイール&タイヤ)。フロントアクスルには、駆動トルクを左右輪に適切に振り分ける電子制御油圧式ディファレンシャルロック機構も備わる。
リアエンドではエンブレム直下の「GTI」のロゴ(通常はGOLF )やクロームツインエキゾーストパイプ、バンパー下のディフューザーなどでスポーティモデルであることをアピール。
スペック
モデル名:フォルクスワーゲン・ゴルフ GTI
価格:4,660,000円(税込み)
ボディサイズ:全長×全幅×全高:4,295×1,790×1,465mm
車重:1,430kg
駆動方式:FWD
トランスミッション:7速AT
エンジン:直列4気筒ターボ 1,984cc
最高出力:180kW(245PS)/5,000~6,500rpm
最大トルク:370Nm(37.7kgm)/1,600~4,300rpm
問い合わせ先:フォルクスワーゲン 0120-993-199
TEXT:桐畑恒治(AQ編集部)
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