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2度目の富士決戦、GT500の直線番長はどの車両となるか。ニッサンZ、GRスープラのエンジン開発者に聞く

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2度目の富士決戦、GT500の直線番長はどの車両となるか。ニッサンZ、GRスープラのエンジン開発者に聞く

 ゴールデンウィーク(GW)の"3時間"決戦に続き、記録的な猛暑が続く真夏の富士スピードウェイは、ふたたび未知なる350kmのレースとなる。そこで注目を集めるのが前回ワン・ツー・フィニッシュを飾ったニッサン勢だろう。24年型でNissan Z NISMO GT500へとベース車両を更新した上で、先代から最高速のアドバンテージという"美点"も受け継いだモデルは、3号車Niterra MOTUL Zと23号車MOTUL AUTECH ZのNISMO陣営が決勝の3時間を支配した。

「前回の結果が示すとおり、Zはこのサーキットに上手く合わせられていると思います」と語るのは、長年にわたりNMC(ニッサン・モータースポーツ&カスタマイズ)のエンジン開発責任者を務め、現在は車両開発全体も統括する石川裕造氏だ。

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 ただしGWの気候条件と灼熱の8月ではまったく条件が異なるのに加え、今回ランキング2位の3号車が60kgのサクセスウエイト(SW)を搭載して燃料リストリクターの1ランクダウン措置を受け、エンジンの出力が絞られるうえ、同ランク4位の23号車も46kgと相応の重量を搭載する。

「今回は、やはり当然のことにSWが増えているので、GWのようには行かないでしょうけれど、それでも少し長めのレースですし予選順位ですべてが決まる……というのもないでしょう。とくに12号車(26kg)、24号車(4kg)はここがチャンスかなと。きっちり350kmを戦えれば少し上の方に上がれるチャンスは持っている、と考えています」と続けた石川氏。

 同じく今季ベースモデルをスイッチしたホンダ陣営のCIVIC TYPE R-GTは、ベース車両の形状由来となるそのロードラッグな特性から、新たな"直線番長"を襲名するスピードを披露。一方で、そのデビュー当初に他を圧倒する最高速を誇ったトヨタのGR Supraは、今季の開幕戦岡山、そして第3戦鈴鹿でワン・ツーを飾った事実も示すとおり、その特性を大きく変化させている。そんな両陣営ともに口を揃えるのが、今も続くNissan Zの直線スピードの優位性だ。

「それは隣の芝生で(笑)。お互いに、とは思うのですが、最高速の点でZが優位ではあるかと思っているので、それは活かしてやっていきたい。その上で、セクター3をきちんと走れるセッティングをということですね。1周のタイムのゲインでは大きいと思いますので」

 一方で、前回の富士ではトップスピードの点で苦しいレース展開を強いられたトヨタ陣営、TCD/TRDで開発責任者を務める佐々木孝博氏は、シーズン開発凍結の厳しい前提も踏まえつつ車両バランスの改善に取り組んできたという。

「この2カ月、開発凍結により出来ないことも多いなかで、前回の第2戦富士をもう1回振り返って見直してみて、足りていなかったところの要素を抽出しています。タイヤの選択もそうですし、使い方もそう」と佐々木氏。

「前回とは完全に気温と路温も違うので、少しまた別の景色になってしまうかもしれないですが、とにかく前回予選で厳しかったところ。最高速はタイムにも影響してきますし、エンジンも出来るところはやってきています。それらが上手く機能すれば"少し"は追いつくかなと。少し……ですよ?(笑)」と、続ける。

 そんなトヨタ、ニッサン、そしてホンダの各陣営ともに、年間2基目の新スペックエンジン投入のタイミングも気になるところだが、今回の第4戦金曜搬入日に確認できた範囲では、各陣営とも「今後の戦況次第でズレ込む可能性はある」としつつ、次戦の第5戦鈴鹿での刷新を計画しているという。

「一応今回までという予定で、次戦で全車一斉に投入を予定しています。シーズンの半分を経過したところで、今季は型式も『B』に変えましたし(RI4AGからRI4BGへ)そういったことも踏まえて、あまり無理をせず。壊して終わるよりは、残して調べるのも大事ですので、ここでいったん、お役御免とは考えています」(TCD/TRD佐々木氏)

「前半に長いレースもあったので、次のレース(鈴鹿)か、その次ぐらいには入れる感じで考えています。年間の半分半分で第4戦までか。第5戦まで使うのか。そこを最終的に『どうしようかな』と思っているところです。台上ではもう少し長く使えるという確認をしているのと、ここまで3戦の使い方のデータ上は、とくにダメージを与えたようなことはなく使えているので。普通に行けば第5戦から変えるのがいいかな……とは思います」(NMC石川氏)

 例年であれば、わずかに気温の下がる第6戦SUGOからの年間2基目投入がセオリーとなってきた近年のGT500だが、今季より新たなエンジン開発サイクルの年次を迎えた点や、前半戦に長距離イベントが続いたカレンダーの影響などで、今回の富士350kmが1基目最後の勝負となりそうだ。

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